たまプラーザの美しが丘公園に隣接し、地域住民・行政・大学・企業などが連携してまちづくりを進めていくための場としてオープンした「WISE Living Lab(ワイズ リビング ラボ)」。横浜市と東急電鉄が推進する「次世代郊外まちづくり」の情報発信や活動の拠点としても期待されているWISE Living Labの“ヒト・コト・モノ”を、イベントレポートやインタビューでお伝えします。

75歳以降も元気でいよう──フレイル予防につながる運動のコツ

WISE Living Labの共創スペースで11月27日、“運動とまちづくり”をテーマにしたセミナーが開催されました。「次世代郊外まちづくり」のプロジェクトでは、住民の健康増進をまちづくりの一環と捉え、健康に関する連続セミナーを行っています。今回はその第4弾として、健康寿命を延ばすために必要な運動(トレーニング)について学びました。

まずはみんなで体力測定。東急スポーツシステムのトレーナーの指導の下、下肢や腕の筋力、バランスを見る3種類のテストを実施しました。3~4人のグループになって参加者同士で和やかに測定し合い、測定結果から自分の「体力年齢」を確認しました。

続いて、老年医学が専門の筑波大学人間総合学研究科准教授・山田実さんの講演です。「いま、日本各地で“2025年”に向けたまちづくりが進められています」と山田さん。2025年は、団塊世代が75歳以上になる年で、医療や介護の需要がさらに増すことが予想されています。介護保険給付の負担を減らすために、今から一人ひとりが自らの健康を維持することが求められているのです。

「介護要因を年齢別に見ると、脳卒中は年齢とともに減っていきますが、“老年症候群”と呼ばれる衰弱(フレイル)・転倒・骨折・認知症は増えていきます。これから75歳を迎える方々が老年症候群を予防するには、運動をする、運動をし続けること、そして、栄養に気をつかうことが大切です」(山田さん)。

「フレイル」は、食事(栄養)の観点から健康を考えた前回のセミナーでもキーワードでした。その概念は広く、ロコモやサルコペニアといった「身体的フレイル」だけでなく、認知機能の低下や老年性の“うつ”などの「心理・精神的フレイル」、閉じこもりのような「社会的フレイル」も含まれます。

ここで山田さんはすかさず、「少なくとも、皆さんに社会的フレイルはないですね。なぜならここにいるから」。会場がどっと沸きました。「今後もぜひ維持してください。3つのフレイルは、組み合わさった3つの歯車のようなもの。どれかひとつが悪い方へ回り始めると、他のフレイルもどんどん悪い方向へ向かっていきます」。

とはいえ、たとえ今、フレイルの状態であっても、乳製品の摂取、中強度の運動、そして社会参加によって、元気な状態に戻る可能性が高くなり、中でも社会参加はもっとも効果的とのこと。家に閉じこもらず、一人で散歩するだけでもいいから外に出ることを、山田さんは勧めていました。

運動の効果を高めるには栄養も十分摂り、たんぱく質は3食を通して均等に摂ること。そしてサルコペニアと密接にかかわる口腔機能の低下を防ぐために、入浴時などに「ぱぱぱぱぱ……」と5秒間連続して声に出すこと(これを「た」と「か」でも同様に行うといいそうです)、など実践的なアドバイスが続きます。実際の運動は、負荷は弱くてもいいので時間をかけること、そして続けていくことが重要、とも。ウォーキングは体を支える筋肉を鍛えることができ、しかも筋量の維持だけでなく「もの忘れ」予防にも有効と言われています。そして「運動日記」を付けること。成果を記録することで達成感が感じられ、継続につながります。

山田さんは、「今日私がお話したことを、ここに来ていない方に、最低でも3人には伝えてください」と勧めます。「口腔機能のトレーニングは、ぜひ今日から始めてください。ただし、くれぐれも家族に説明してから。でないと『おばあちゃんがお風呂で急に“ぱぱぱぱぱ……”とわけのわからないことを言い出した!』と心配しますから」と、また会場の笑いを誘っていました。

講演の後は、次世代郊外まちづくりの「住民創発プロジェクト」のひとつで、心身の健康と多様なコミュニティづくりを目指す「オールたまプラーザの健康・コミュニティづくり」の村田ちさとさんから、筋トレ・ストレッチを学びました。みんなで体を動かすことで、会場には楽しい一体感も生まれました。

まちづくりには住民の健康が欠かせないこと、そして社会参加が健康につながることを学んだ今回のセミナー。参加者自身が健康づくりに取り組むだけでなく、地域の皆さんに学んだことを伝えることで、コミュニケーションが生まれ、健康な生活を支えるまちの仕組みづくりが進んでいくことでしょう。

文:柏木由美子(スパイスアップ編集部)

体力測定は「椅子の立ち座り」「片足立ち」「握力」の3種類。片足立ちでは、それぞれが交代で測定する人、タイムを計る人、万一の転倒を支える人になりました。

講師の山田実さんは、高齢者の虚弱予防研究における若手の第一人者。親しみやすい言葉を使い、軽快な関西弁でお話をしてくださいました。

30人の地域の方々が参加。WISE Living Labの共創スペースの1階をフルに使ってセミナーが行われました。

中央が「オールたまプラーザの健康・コミュニティづくり」の村田ちさとさん。参加者が輪になって椅子に座り、ストレッチと筋トレを行いました。

更新:2018年1月11日 取材:2017年11月27日

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