第3回とくらく×ピーティックス「シビックプライド」支援キャンペーンの採択団体が、たまプラーザの「WISE Living Lab(ワイズ リビング ラボ)」に集合。座談会を通してそれぞれの思いやイベントの舞台裏を共有しました。当日の模様をレポートします。

イベント名 とくらくギャザリング2017
開催 2017年12月3日(日)
場所 WISE Living Lab
最寄駅

人と街をつなぐ仕掛け人たち

東急沿線でイベントを開催する団体を募集し、経費や広報などの面で支援をする「とくらく×ピーティックス 『シビックプライド』支援キャンペーン」。第3回で採用された5団体のイベントは、街の課題にそれぞれの視点で取り組むオリジナリティーあふれるもので、座談会では他の団体から具体的な質問が飛び交いました。

洗足池 本まつり~みんなでのんびり街さんぽ~」は、池上線洗足池駅近くの八百屋さんで読み聞かせイベントをしていた松田良子さんが「本でお店とお客さんの会話のきっかけをつくれないか」と考えたことが発端とのこと。松田さんへの質問は「商店街の枠を超えて、28店舗のお店にどう交渉したの?」――もちろん八百屋さんの存在は大きかったようですが、自身も街歩きが好きな松田さんが「いいな」と思ったお店に、募集チラシを持って直接交渉しに行ったのだそうです。まさに飛び込み営業です。

「あおばソーシャルビズ」は、代表の田原雅さん自身が経営する店でのお客さんとの会話をきっかけに、2年前から周辺に住むシニアを対象にランチ会を展開しています。今回のキャンペーンでは地元の市民落語家を招いて「りびんぐるーむ 新春初笑いスペシャル」を開催しました。「シニア向けの食事で何に気を付ける?」という質問に「あえて老人扱いしない」と田原さん。コンビニやスーパーで総菜を1~2品買ってきて済ませるのが日常の独居または夫婦二人暮らしのシニアにとって、地元食材をふんだんに使った手作りの料理を大勢で食べること自体が楽しく、お代わりする人もいるそう。同じものを食べる、というのがいいんですね。

「イベント後『自分でも何かやりたいな』とお店の人が思ってくれたことがうれしかった」と松田良子さん。

地元の商店街の副会長も務める田原雅さん(写真中央)からは、商店街を巻き込むコツも。

課題を「楽しいコト」に

「まなびのば」は、池上線石川台駅の石川台希望ヶ丘商店街を舞台に「商店街すごろくをつくろう」を開催しました。高齢化が進み閉店が相次ぐ商店街を盛り上げ、かつ子どもに大人とコミュニケーションする機会をつくることが狙いです。「子どもがお店を回って取材する際の見守りは誰が?」という質問に、代表の村上好さんは「お母さんたちにお願いしました。最初は異なる学年でチームを組むことに不安を感じていたお母さんも、協力し合ったりお店の方と話をしたりするわが子の意外な一面に驚いていました」。お母さんたちにとっても、わが子の成長を喜び、地域ともつながる機会になったようです。

「たまプラ一座まちなかパフォーマンスプロジェクト」は、代表の林月子さんの「楽器や衣装の制作、演技の練習を通してみんなで育ちあい、大家族のようなつながりが生まれれば」との思いから、多世代が参加するパフォーマンスを街なかで展開。今回は第4弾として、竹の楽器を使ったオリジナルストーリー「BAMBOOOM/バンブーン」を公園で披露しました。「ターニングポイントは?」という質問に、映像のプロ集団「PVプロボノ」と関わったことを挙げた林さん。プロの企画の進め方やクオリティーを追求する姿勢にみんなが刺激を受け、「いいものにしたい」という思いがより一層強くなったそうです。

「P35(パパサンゴー)」は、横浜市港北区の子育て支援拠点「どろっぷ」でつながったパパサークル。「港北区は地縁のない子育て世代が多い。子育ての話でパパたちの交流を深め、地域への入り口になりたい」と開催したのが「子育てパパの井戸端カフェ『パパトーーク』」です。代表の浦瀬亘さんにはすかさず「今どきのパパの悩みって?」という質問が飛びましたが、ママのトークとさほど変わらない模様(笑)。拠点を利用するママに呼び掛けたりSNSを活用したりしながら、集客をがんばっているそうです。

「最近の子どもはコミュニケーション力が低いと言われるけれど、機会がないだけでは」と、村上好さんは機会づくりに取り組む。

商業施設でフラッシュモブを手掛けたときの苦労話も披露してくれた林月子さん。

「自分のやりたいことを企画できるのは仕事では味わえない楽しさ」と語るのは、平日は会社員として働く浦瀬亘さん(写真右)。

人を巻き込むコツは?

地域イベントは、自分に関わる人やコトの発見の連続。やってみるとその楽しさがわかりますが、一人ひとりの入り口をつくるのは難しいもの。座談会でも人を巻き込む方法の話で盛り上がりました。毎回100人ほどの参加者を集めている林さんは、「耳元くらいまで手を挙げている人を見つけ、『あなたのその○○が必要なの』と伝える」と言います。周囲の人から“ナンパ”と呼ばれている力を発揮するわけです。「キーパーソン」となる人を街の中で見つけ、思いを伝えていく努力は、やはり他の団体の皆さんもしています。

その上でさらに盛り上がったのが「パパ世代をいかにして地域へ呼び込むか」という課題。これに関しては、皆さんの話から「例えばわが子の成長を実感できたり、自分の趣味や特技を生かして周囲に喜んでもらったり、自分ゴトとして捉えられるイベントが、地域活動を“やりたい”につながるのでは」ということが見えてきました。また「空き店舗で“週末起業”する人も出てきている。これからは“よそ者”の若い人が新しい風を吹かせることも増えそう」という話も出ました。社会的な広がりを見せている多様な働き方は、地域活動の追い風になるかもしれません。

5つの団体は次なる仕掛けを始動しています。松田さんは洗足池の桜が美しい季節の本まつり開催を構想し、林さんは古い団地を舞台にしたパフォーマンスを企画中。田原さんは活動を地域へ拡大してシニア×商店街×大学生の連携企画を動かそうとしていて、村上さんは商店街のPR動画を作るイベントをスタート。浦瀬さんはパパトーークに続き「パパのがっこう」の立ち上げを考えています。

参加者のほとんどは初顔合わせですが、皆さんここぞとばかりに聞いてみたかったことを質問し合いました。

座談会を聴いて「継続的に活動されている皆さんのエネルギーに圧倒された」と東急電鉄の泉課長。

地元食材をふんだんに使った手作りごはんとともに

第2部のネットワーキングタイムに先立ち、会場となった「WISE Living Lab」の紹介がありました。横浜市と東急電鉄が推進する「次世代郊外まちづくり」の情報発信や活動の拠点として2017年、横浜市青葉区美しが丘にオープンし、まちづくり活動のミーティングやイベントをはじめ、住民や企業、行政、学校の共創の場として広く利用されています。敷地が三角形であることから、愛称は「さんかくBASE」です。

その後は、二子玉川を拠点に活動している村上ゆかさん主宰の「どうぞのごはん」のケータリングをいただきながらのネットワーキングタイムへと移ります。電車に乗って一人で持ってきたとは思えないボリュームに一同驚き! メニューはどれも世田谷で採れた素材を使ったもの。夏みかんのシロップ漬けを練り込んだパウンドケーキ、パクチー&白菜(生のまま塩で食べます)、赤カブ、大根、里芋に地元のパン屋さんのバタール、etc.。
おいしいサプライズがいっぱいのごはんを楽しみながら、本記事で写真担当のフォトグラファー・木村雅章さん、そして執筆担当のわたくし柏木由美子の活動についてもお話させていただきました。

村上ゆかさんは「どうぞのごはん」に加え、多摩川河川敷で子どもたちに自然の魅力を伝える「NPO法人 せたがや水辺デザインネットワーク」で活動。木村さんは西小山でフリーペーパー「24580(ニシコヤマ)」を発行し、柏木も横浜市青葉区でフリーペーパー「スパイスアップ」や自然散策を楽しむ「かわもりあおば」で活動しています。参加者全員がひととおり自身の活動について話した後は、さらに場が和みます。テーブルの向こうでは新しい企画を田原さんが提案して、早速ブレストが始まっていました。ひとつ終われば次のステージを目指す、皆さんのパワーを感じた会となりました。

「生の白菜がこんなにおいしいなんて!」と驚きの連続の「どうぞのごはん」。

中央が「どうぞのごはん」の村上ゆかさん。一つひとつのお料理を、生産者のお名前とともに丁寧に紹介してくれました。

沿線を通じて思いやノウハウを広げよう

街にはたくさんの活動があります。それぞれ、やりたい事、街のあり様が少しずつ違うから別々に活動しているのであって、だからこそ多様で面白いし、いろいろなことが見えてきます。“よそ”の団体の活動は外から見ているだけではよくわからないけれど、主催者の思いを聞いたり、その団体のイベントに実際に参加したりすれば、自らの活動に生かせることや励みになることが見えてきて“同志”になる。「沿線」というつながりを生かして人と情報がどんどん行き来すれば、この沿線の活動が、ひいては私たちの暮らすまちが、みんなにとってもっともっと魅力的になっていく。今回のギャザリングに参加してそう強く感じました。今回のようなギャザリングイベントをはじめ、さまざまな形で沿線の交流が増えていくことを願います。

文:柏木由美子(スパイスアップ編集部)

第3回とくらく×ピーティックス「シビックプライド」支援キャンペーンの採用団体の皆さんで集合写真。前列左から順に、林月子さん、松田良子さん、村上好さん、瓶子和幸さん、浦瀬亘さん、田原雅さん。

更新:2018年1月25日 取材:2017年12月3日

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