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東急電鉄

地元を食べる 地元で食べる~地産地消にまつわる人々~

みずみずしい野菜や果物を作り続けている人たちがいて、その恵みを私たちのもとへと届けてくれる人たちがいる――。東急沿線で地産地消に取り組む、さまざまな人たちを紹介します。

VOL.8 仕掛け人 安良城 慎也さん

PROFILE ● あらしろしんや

『野菜とワインのお店 maaru(マアル)』のオーナー。三重県四日市に生まれ横浜育ち。食べることが大好きで、10代のころから自分のお店を持つことが夢だったとか。地元・青葉区の野菜を使うことにこだわった料理は、添加物や化学調味料を使わず、体が喜ぶ優しい味わいと評判です。

夜遅い時間に気軽にお酒を飲んだり食べたりできるお店が少なかった江田駅前に、2年前にオープンした、『野菜とワインのお店 maaru』。家族と共に夢を現実のものとしてきたオーナー・安良城慎也さんに、地元の野菜にこだわる理由やこれからの活動についてお話を伺いました。

生産者の顔が見えるって大事なこと

ランチタイムを終えてホッと一息。食べることと飲むことが大好きな、オーナーの安良城慎也さんと調理担当の菜穂子さんご夫妻。
白い漆喰壁と木のテーブル、椅子がナチュラルな雰囲気をつくり出している『maaru』。
店名の考案者は菜穂子さん。店名の文字をイメージしているときに自然に浮かんできた文字が“maru”。同名のお店があったため一文字加えて『maaru』になったのだそう。看板も菜穂子さんの手作り。
――安良城さんが地元の野菜にこだわったお店にしたきっかけを教えてください。

まず料理のベースを“野菜”にすることに決めたのは、僕と妻の食べ物に対する考え方や普段の生活が大きく関係しています。二人とも食べることが好きでおいしいものを食べたいと思っているんですが、それは高価なものを食べたいということではありません。普段の食事で安心して食べられて、おいしいものと思っていたら、地元の農家の方が作る野菜に行き着いたということです。だから、地元の野菜を使ったお店にしようと決めたのは自然な流れなんです。

――奥さまの出産もきっかけになっているとか。

出産をした助産院が、出産は自分の力で子どもを産んで育てるための体をつくることが大事、そしてそのためには食事が大事、という考え方でした。もともと無農薬や自然農法には興味があったのですが、そこでの出産をきっかけに、さらにいろいろな情報を集めるようになりました。でも店を始める前はそれほど徹底したものではなく、できるだけ体に悪くないものを、と考えて食べているくらい。でも次第に地元農家の野菜の味の力強さやおいしさが、スーパーのものとは全然違うことがわかってきました。最近はスーパーでも“生産者の顔が見える野菜”ということで生産者の顔写真を見かけるようになりましたが、自分たちが使っている野菜は生産者からの手渡し。まさに“生産者の顔が見える野菜”なんです。あの人が作ってくれた野菜だから、なおさら無駄なく使わなきゃって。生産者の顔が見えるというのは、すごく大事だなって感じています。

野菜のうま味を引き立てる料理

調味料には天然醸造のものを使用し、白砂糖や精製塩、添加物を使っていません。ランチメニューの「赤カブとスナップエンドウ、いんげん豆のドライカレープレート」(手前)、「海南鶏飯」(左奥)、「スパイシーチキンカレー」(右奥)。
地元農家の無農薬野菜が並ぶ「夜の野菜プレート」は、ワインとの相性もピッタリ。
――『maaru』の料理では野菜はどのような存在なのですか?

地元の農家さんの野菜は本当においしい。だからうちの料理は、野菜のうま味をじゃましないようにドレッシングやソースが勝ってしまうような味付けはしません。だから濃い味に慣れた男性には、ちょっと物足りない味付けかも。でもそういう人は、舌がマヒしているのかもしれませんよ(笑)。

――農家の方の意見を、料理の参考にすることもありますか?

味付けそのものではありませんが、この野菜は蒸した方がいいとか、炒めた方が味が出るとか、農家さんからのアドバイスはいつもメニューを考える時の参考にします。

――地元の農家を中心とした、地産地消の良さはなんでしょう?

市場には出ない収穫前の間引き菜とか食べられる花芽など、ほんのわずかな期間しか出回らず、農家さんとのお付き合いがないと知らないようなものが手に入るのがいいですね。ほかにも取れたての新鮮な野菜が手に入るとか、安心して使うことができるとか、メリットはいろいろあると思うんですが、一番得しているって感じるのは、料理に合わせて作ってほしい野菜をオーダーできること。料理の彩りにこんな野菜が欲しいなと思ったときに、種をまく前であればいろいろ相談できるんです。実は今使っている米も、料理に合うように水分量を抑えた品種をお願いしているんですよ。

お世話になった人たちに恩返しをしたい

店内では、農家から届いたばかりの野菜や雑穀おやつの販売もしています。
「社会福祉法人グリーン」の田植えの様子。自分たちで生産した野菜とお米を使って、おにぎりやお惣菜を作り、福祉専門学校の職員の方などに販売しています。
――お取り引きしている農家の方とは、どのようなきっかけで?

お店を始める前、8年間ほど福祉の仕事に就いた経験があるんです。「社会福祉法人グリーン」という、主に知的障がいのある方を対象にした福祉サービス施設なんですが、農家さんとはすべてその時のつながりからです。というのも「グリーン」は、活動の中心が農業になっているんです。肥料となる堆肥を自分たちで作り、野菜を無農薬で栽培しているんです。農薬や化学肥料をできるだけ抑えて野菜を作っている「はやし農園」さんとのつながりも、ここからでした。「はやし農園」の奥さまは、「グリーン」時代の同僚なんです。

――障がい者福祉とは、意外な経歴をお持ちですね?

そうかもしれません。でもそこで働いたことで、障がいのある方たちが作る野菜をもっと地域で食べてほしいという思いを持つようになりました。『maaru』は「グリーン」や農家と地域をつなげる場でありたい。そんな思いを込めた店でもあるんです。

――地産地消と福祉の両方を目指しているんですね。

障がいを持っているというだけで、人は見えない壁を作ってしまうように思います。今は野菜をお願いしているだけですが、将来は就労支援という形での恩返しができればと思っています。

足を運ぶのが楽しくなるように荏田の街を盛り上げたい

商店会の呼びかけで、東急電鉄『みど*リンク』アクションの支援を受け江田駅前に設置した花壇。
お店の存在をもっと知ってもらおうと、近隣で開催されるマルシェにも積極的に参加しています。
――地域の活動にも熱心に参加されていると伺いましたが。

2013年に「江田駅周辺商店会」が発足したので、自分も街を盛り上げたいと思い参加しました。それからは『maaru』を商店会メンバーとの話し合いの場所に使ってもらったりと、徐々にですが地域の活動拠点にもなりつつあります。もともとお客様との距離が近いお店にしたいと思っていましたし、コミュニティーカフェとまではいかないのですが、みんなが集まる場所になるのはうれしいですね。

――商店会ではどのような活動をされているのですか?

まだ新しい商店会なので大きなイベントはこれからですが、荏田の歴史を知って街をもっと好きになってもらうための「えださんぽ」というウォーキングイベントや、駅前広場に花壇を設置する取り組みなど、すでにいろいろな活動が始まっています。昨年開催した商店会の1周年記念パーティーは、地元の方のほか、神奈川県の県会議員や横浜市の市会議員の方にも参加いただき、新しいつながりが生まれました。また商店会には専修大学経営学部の学生ゼミが協力してくれているんですが、荏田を盛り上げるためのアイデアプレゼンも行われ、これから新しいことが始まりそうな予感がしました。

――安良城さんにもすでに何かアイデアがありそうです。

今考えているのは「ちょい呑みフェスティバル」と「マルシェ」。お店をやりながらなので、なかなか進まないのですが、近いうちに必ず実現したいと思っています。なにせ、実は僕が商店会のマルシェ部長なんです。“地産地消”と“福祉”と“地域活性”、みんなまとめて楽しいイベントにするので、実現したときにはぜひいらしてください。

一言でいうと、安良城さんは“芯の通った人”です。お店をやりたいと聞いたとき、一度は反対したんですが、昔からの夢だったと聞き、それならと応援する方に回りました。

安全・安心な野菜を提供すること。それが自分たちにできることです。安良城さんは私たちの仕事の難しさをわかっているので、届けた野菜については何も言いませんが、彼の希望にできる限り応えたいと思っています。

お店にも時々行きますけど、お客さまが徐々に増えているようで、自分のことのように嬉しいですね。

社会福祉法人グリーン
上田 正人さん

20年ほど前から農業を通じた障がい者福祉サービスに取り組んでいる「社会福祉法人グリーン」。近くの大学農場の牛ふんや施設から出る生ゴミを使い、自家製の堆肥作りから行い、年間30~40種の野菜と米を無農薬で生産しています。安良城さんと上田さんはグリーンで苦労を共にし、今は仕事を超えた仲。『maaru』の漆喰壁も一緒に塗って完成させました。

更新:2015年7月1日 取材:2015年5月

東急沿線 地産地消マップ
特集「地元を食べる 地元で食べる」で紹介してきた東急沿線の地産地消スポットをGoogleマップでチェック! 各ポイントをクリックすると、写真や詳細情報を見ることができます。

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