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植栽を美しく保ち、ゴミのポイ捨てを防ぎたい。そんな思いのもと、活動を続ける小島さんのインタビュー。

渋谷駅の待ち合わせスポット、モヤイ像。その周りは、美しい花や緑が植えられている花壇になっています。ここで植物を育てているのが、『渋谷Flowerプロジェクト』、通称“シブハナ”の皆さん。渋谷のさまざまな場所を植栽で美しく保つことで、街行く人のゴミのポイ捨てを防ぎたいと考えている『シブハナ』。その活動に込めた思いとは? 気になるあれこれを、代表の小島さんにお聞きしました。

小島盛利さん

PROFILE●こじまもりかず
『渋谷Flowerプロジェクト』の代表。再生可能エネルギーの企業向けコンサルタントとして活躍する傍ら、『シブハナ』の活動を取りまとめています。高校では園芸科、大学では農学部に所属。社会人になった今も趣味は「花を生けること・ベランダ園芸」という根っからの花好き。

渋谷を花や緑でいっぱいにすることで、ポイ捨てを減らしたい。

『シブハナ』の活動が始まる前のモヤイ像。花壇がなく、とても殺風景でした。『シブハナ』の活動が始まる前のモヤイ像。花壇がなく、とても殺風景でした。
現在のモヤイ像の様子がこちら。現在のモヤイ像の様子がこちら。
小島さんは11年以上も活動に参加し続けています。小島さんは11年以上も活動に参加し続けています。

『シブハナ』は、渋谷駅周辺にいくつか管理している花壇を持っています。ひとつがモヤイ像周り。それから渋谷公園通りの街路樹周り、みやした こうえん北側の歩道脇、美竹公園の入り口 のものです。これらの花壇で花を植え育てるのが私たちの主な活動です。

――どうして渋谷の街で花や緑を植えようと?

渋谷はゴミのポイ捨てが多い街です。その渋谷が花でいっぱいになれば、道行く人にポイ捨てを思い留まらせるような、気持ちの変化を起こすことができるのではないかと考えたのです。人 工的なものばかりあふれている渋谷ですが、そこに花や緑があることで、「自然があると気持ちいい」「キレイだな」と思ってもらえるかもしれない。そこから少しずつ、自然や環境を守ること の大切さについて考えてもらえるようになればいいなと思っています。

──活動を始めるきっかけは?

もともとは、2003年に開催された環境保護イベント「Earth Day Tokyo 2003」で、モヤイ像の周りに1,000個の花を並べてみようという企画から始まりました。このときは2週間限定で実施 したのですが、やってみると大変好評で。それならば年間を通じて花を植えようと渋谷区に相談し、翌年の2004年から本格的に活動をスタートさせました。今は主に毎週末、集まってくれたボラ ンティアと一緒に花壇のメンテナンスや周囲のゴミ拾いをしています。

──毎週末のボランティア活動を続けるのは大変なことだと思います。みなさんが活動を続けられた原動力は何なのでしょう?

例えば、私は京都出身で仕事のために東京に出てきたのですが、こちらには知っている人がほとんどいませんでした。職場でのコミュニケーションはあるものの、同世代の人とのつながりや 出会いはなく、基本的には家と職場を往復する毎日でした。ところが、『シブハナ』の活動に参加すれば、気持ちを同じくする仲間がいます。さらに活動をすることで、街行く人たちから「キレ イになったね」「ありがとう」と声を掛けられます。この2つがとても大きい。私たちの活動の大きな原動力になっています。

メンバーは若者中心。結婚したカップルも!

広報を担当している“しょうなり”さんは、普段はコンピューター関連のプログラマー。広報を担当している“しょうなり”さんは、普段はコンピューター関連のプログラマー。
唯一の植物の専門家“あやや”さん。現在は植栽チームのリーダーとして活躍。唯一の植物の専門家“あやや”さん。現在は植栽チームのリーダーとして活躍。
メンバーだけでなく、一日だけのボランティアも常時募集中。手軽に参加できることにこだわっていて、目指すは「買い物ついでに参加できるボランティア」だとか。メンバーだけでなく、一日だけのボランティアも常時募集中。手軽に参加できることにこだわっていて、目指すは「買い物ついでに参加できるボランティア」だとか。

──若い世代の方々が中心となっていると聞いたのですが、どういったメンバーで構成されているのでしょう?

住まいはバラバラですし、職業も性別も違います。普段花とは関係のない生活をしている人がほとんどです。例えば副代表の“ゆーた”は、車のエンジンの設計者ですし、発起人の“おぎんた” も『シブハナ』を立ち上げた当初は植物のプロというわけではありません。そんなメンバーがさまざまなきっかけで参加し、楽しみながら活動を続けています。活動自体は決して楽なことばかり ではないのですが、何年も同じ時間を共有する中で、程よい距離感でつながれる良い仲間になったという感じですね。ちなみに『シブハナ』では、活動を通して出会い、結婚したカップルが2組も いるんですよ。

──お一人、植物の専門家がいらっしゃると聞いたのですが。

“あやや”という本職のガーデナーがいます。彼女は、造園の現場で処分される植物の再利用先を探しているときに我々に出会い、植物のリユースを提案してくれたんです。ただその段階で、 『シブハナ』には植物専門家がほとんどいないということを知り、「大切な植物のためにも、これは私も参加しなければ」と、正式に仲間入りしてくれました(笑)。

──お話を聞いていると、すごく興味が湧いてきます。ボランティアに参加したいときには、『シブハナ』のオフィシャルサイトの“参加希望フォーム新しいウィンドウで開く”から申 し込めばいいんですか?

はい。事前に申し込んでいただけるとありがたいですね。その日に参加者がどれだけいるのかを把握できると活動しやすいので。ただ、活動している我々を見かけて、その場で飛び入り参加 していただいても大丈夫です。実際にそういう方も時々いますし。私たちは別に花の専門集団ではありませんから、ちょっとした興味からでも参加していただければ、それで十分だと考えていま すので。私たちを街で見かけたら気軽にお声掛けください。

こだわりは都会の中で「自然が感じられる花壇」にすること。

モヤイ像周りの花壇は、モヤイ像を寄贈してくれた「新島の自然を感じられる植栽」を意識しているそう。モヤイ像周りの花壇は、モヤイ像を寄贈してくれた「新島の自然を感じられる植栽」を意識しているそう。
都会の中の原っぱに見立てた公園通りの花壇は、「野原の自然を感じる植栽」がテーマ。都会の中の原っぱに見立てた公園通りの花壇は、「野原の自然を感じる植栽」がテーマ。
山のイメージを重ね、「野山の自然を感じる植栽」がコンセプトのみやした こうえん北側の花壇。山のイメージを重ね、「野山の自然を感じる植栽」がコンセプトのみやした こうえん北側の花壇。

──毎週末の花壇のメンテナンス以外にはどのような活動を?

季節の変わり目に、全ての花壇で枯れてきた花を新しい花に植え替える作業を行っています。その年々の季節の進み具合で変わりますが、4月の終わりから5月ぐらい、夏の終わりの9月ぐら い、それから冬に向けて11月の年3回、実施しています。

──植栽に関して『シブハナ』がこだわっていることは?

目で見てキレイというのも大事にしているのですが、それよりも、できるだけ「自然を感じてもらえる花壇」であることを心掛けています。例えば、花壇に花だけを植えるのではなく、その 花に合った別の植物を植えるとか、できるだけ自然に近い状態になるよう気を配っています。というのも、我々の活動の目的のひとつは、見ている人に、自然の良さや自然の持っている美しさを 感じてもらうことです。また、植栽する上で、昔から言われていることに“適地適作”という言葉があります。その土地に適した植物を植えるということですが、ここ渋谷の中でも環境に合わせて 、モヤイ像、公園通り、みやした こうえんと、場所によって植栽するものを変えているんです。

──維持管理にはコストが掛かると思うのですが、どのように運営しているのですか?

商店街から少しずつ援助してもらったり、渋谷の近隣企業から協賛金を頂くことで運営しています。ただ、以前は運営費が安定しないこともありました。それで、その時々にできる方法を考 えたり、意見を出し合って、活動内容を少しずつ調整するようにしたんです。節約のために種から育てようとして、メンバーたちの家のベランダが、ヒマワリの苗で埋め尽くされたことがありま した。生物多様性じゃないですが、私たちはメンバーも多様なので、いろんな意見が出ます。だからこそ状況に対して柔軟に対応できたのだと思います。これが、プロ意識が強い人ばかりだと、 なかなか厳しいものがあったのではないかと。プロ意識が強いと、例えば少し花に元気がないと気になってしまいますよね。でもうちのメンバーは、少しぐらい枯れていても「これも自然らしい からいい」という人もいる(笑)。ゆるいけど、気持ちは熱い。このバランスが絶妙なのだと思います。

福島の被災地と“気持ちでつながる”。

原宿外苑中学の卒業生のボランティア体験として、渋谷公園通りで花壇メンテナンスと花植えを行っている様子。原宿外苑中学の卒業生のボランティア体験として、渋谷公園通りで花壇メンテナンスと花植えを行っている様子。
渋谷公園通商店街の街路樹脇。南相馬のサルビアに込めた思いをつづったプレートも。渋谷公園通商店街の街路樹脇。南相馬のサルビアに込めた思いをつづったプレートも。
『シブハナ』のキャラクター“くもっくる”が南相馬のサルビア大使の一人に。小島さんと南相馬出身の大学生が一緒にサルビアを植えました。『シブハナ』のキャラクター“くもっくる”が南相馬のサルビア大使の一人に。小島さんと南相馬出身の大学生が一緒にサルビアを植えました。

──活動の広がりや他団体とのつながりについて教えてください。

10年以上活動を続けているうちに、いろいろな方面からサポートしていただけるようになりました。例えば、渋谷公園通商店街さんは我々をさまざまな面で支援してくださいますし、東急百 貨店さんには活動当初から、水道を使わせてもらったり、道具を預かってもらったりしています。また、活動を続けていくうちに、環境省などが運営するGEOC発行の「環境ボランティアナビ」に 掲載していただいけるようになったり、ボランティアや市民活動に精通している「東京ボランティア・市民活動センター」からも学生ボランティアをあっせんしてもらえるようになりました。

──東日本大震災の被災地である福島の方々ともつながりがあると聞いたのですが。

渋谷公園通商店街の方が、被災地の南相馬市鹿島区でサルビアを育てる活動をしている方々を紹介してくださったのです。私も現地でお話を聞いたのですが、原発事故の影響で若い人がいな くなり、地域としていつまで存続できるか分からない状態で。そこで『シブハナ』でも何かできないかと考え、公園通りに新しく花壇をつくり、福島のサルビアを植えることにしたのです。

──どういった目的で花壇を新設したんでしょう?

南相馬の方々が30年以上にわたって自家採種してきたサルビアを引き継ぐことで、“気持ちをつなげる”ことができると思っています。南相馬のサルビアが、渋谷の真ん中で花を咲かせて、道 行く人の目を楽しませる。それが被災地の皆さんを少しでも元気づけることができるのではないかと考えたのです。単純に物を買ったり、物資を送ったりという支援もあります。でも原資は無限 ではありません。いずれ続かなくなってしまいます。であれば、長く続けられる、思いをつなぐような支援の方がいい。手前みそですが、私たちの取り組みは、そういう意味でとても意義がある ものだと思っています。

あちこちの街に、同じ思いを持つ人が増えてほしい。

「Earth Day Tokyo 2014」では、“くもっくる”と一緒に「シブハナ花壇」のコンセプトを表した寄せ植え鉢を販売しました。「Earth Day Tokyo 2014」では、“くもっくる”と一緒に「シブハナ花壇」のコンセプトを表した寄せ植え鉢を販売しました。
「これからも、環境や自然の大切さを考えるきっかけとなる花壇を提供していきたい」と語る小島さん。「これからも、環境や自然の大切さを考えるきっかけとなる花壇を提供していきたい」と語る小島さん。

──今後の展開について教えてください。

せっかくここまでやってきたのですから、これからも長く続けたいなと思っています。ただ、程よい“ゆるさ”も大事だと思っているので、規模の拡大をするつもりはありません。私たちのよ うな活動に共感してくれる方がいて、お声掛けいただけるのであれば喜んでお手伝いします。でもそれは、その方々の花壇を、我々の管理する花壇として引き受けるのではなく、あくまでもお手 伝いで。自分たちは自分たちで今の規模を変えずに活動をする。それで同じような思いを持った人たちが、あちこちの街に増えてくれればうれしいですね。

──なるほど。

植物に“適地適作”が大事なように、こういう活動にもその地域に合う活動内容というのがあるのと思うのです。例えば住宅地が多い青葉台やたまプラーザだったらどうだろう、あるいは自由 が丘ならどうなるか、それぞれ答えは違うと思うんです。その地域に合った活動が増えてくれば、我々も刺激を受けて、「こんな活動の仕方があるんだ」「よし自分たちも頑張ろう」と思える。 そうやっていろんな地域の活動が程よい距離感でつながり、いい意味で刺激し合えるようになればすてきですね。

──最後に小島さんが感じる、渋谷の魅力についてお聞かせください。

渋谷は、いい意味でも悪い意味でも、とても都会らしい街だと思うんですね。でもちょっと解像度を上げていくと、我々『シブハナ』だけではく、ゴミ拾いをしている団体など、いろいろな グループが街を良くするための活動をしています。また宮益坂、公園通り、桜丘など、場所によっても全く印象が違います。つまりとても多様性があり、いろいろな魅力がある街でもあります。 そういう渋谷の中で、通行する人が「やっぱり街はキレイな方がいいよね」と思ってもらえるような花壇を、これからも提供していければと考えています。
※『渋谷Flowerプロジェクト』は、2014年度「『みど*リンク』アクション」支援団体です。

更新:2015年9月9日 取材:2015年7月

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