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東急電鉄

地産地消のキッチンカー 小池一美さん

地産地消にまつわる人々 VOL.10

みずみずしい野菜や果物を作り続けている人たちがいて、その恵みを私たちのもとへと届けてくれる人たちがいる――。東急沿線で地産地消に取り組む、さまざまな人たちを紹介します。

仕掛け人
小池 一美こいけひとみさん

編集者として編集制作会社や旅行会社での勤務経験を持ち、食べることが好きで調理師学校に通った小池さん。「料理を仕事にするなんてとても無理!」と思っていたのが、オーガニックスーパー「マザーズ」での勤務をきっかけに縁と縁がつながり、キッチンカーをスタート。大きな笑顔と元気な声をトレードマークに、地元の旬をのせて走ります。

地元・青葉区の人と食と農をつなぎながら地域を巡る、走る!ロコキッチン「コマデリ」。地元の旬がつまったお弁当は滋味にあふれて栄養も満点! さらにキッチンカーで青葉区を駆け抜けながら、文字通り“コマ”のようにクルクルとたくさんの人と出会い、縁をつなぎ、地域を回します。

料理の仕事はやりたくなかった!?

「動く地産地消ガール」と呼ばれ、青葉区LOVEの思いが止まらない小池さん。生まれも育ちも、もちろん青葉区。
調理師学校に通っている間も「食の現場では働きませんと言ってたはずなんですけど」と笑う小池さん。

――キッチンカーを始めたきっかけを教えてください。

正直に言えば、成り行き、です。食べることは昔から好きでした。その思いが募り、働きながら夜間の調理師学校まで行きましたから。でも食の現場で働くつもりはなかった。肉体労働はやりたくない、と思っていました。なのに不思議なもので、学校で学ぶうちに自分でもやりたくなってしまったんですね。それでオーガニックスーパーの「MOTHER’S(マザーズ)」で働き始めました。そのマザーズ時代に横浜市が推進する地産地消活動「はまふぅどコンシェルジュ」に参加したことで、ここで学んだことや出会った人たちのネットワークを形にしないのはもったいないと思い、マザーズ地産地消マルシェを企画したんです。そうしたら青葉区のエコ情報を発信するWEBメディア「森ノオト」編集長の北原まどかさんを紹介され、そこから縁がどんどんつながって、いつの間にかキッチンカーにたどり着いたという感じです。

――最初から移動販売を目指していたわけではないのですか?

考えたこともなかったですね。かつての編集者経験を生かして「森ノオト」で農家レポートを担当したことで、地域には素晴らしい生産者の方がたくさんいることを知り、そうなると地域の人と農家をつなぎたいと思うようになって。そう思っていたら今度は地元のカジュアルダイニング「フラメシ」の立ち上げに関わることになり……。その後あざみ野で、同じ会社が経営する、今の前身であるお弁当やお惣菜の販売店「コマデリ」に移ることになって、2014年の5月に新業態のキッチンカー、走る!ロコキッチン「コマデリ」となって独立しました。

――食の仕事をやるつもりがなくて、キッチンカーも考えていなかったという話は意外です。

いい意味で流されてきたというか、人と人のつながりだけであとはすべて成り行きです。青葉区大好きだけでここまできましたし、今こんなことをやっているなんて、と自分自身が驚いています。

愛情スパイスたっぷり! 地元の旬を届けます

左から日替わりメニューの「豆乳仕立てチキンカレー」、看板メニュー「塩ブタBOX」、ルーから手作り動物性食品不使用の「コマロコカレー」。いずれも690円。
コマデリに農家さんの協力は欠かせない。青葉区寺家町で農薬や化学肥料に頼らない米づくりをしている大橋さんと。

――販売しているメニューを教えてください。

コマデリの看板メニューは「塩ブタBOX」です。自家製の塩麹タレに漬け込んだ神奈川県産の豚肉は、やわらかくてジューシーなんですよ。それと何度も試作を重ねてたどり着いたココナッツベースのオリジナルカレーに、季節の野菜をたっぷりと加えた「コマロコカレー」。それに日替わりメニューが加わります。

――食材はすべて地元のものなんですか?

そうです。「はまふぅどコンシェルジュ」の活動や、「森ノオト」の取材で出会った農家さんの食材を使っています。生産者を知っているという安心感は絶大ですね。だからメニューを考える時は、いつも食材ありき。この自家製塩麹は農家レポートで出会った緑区十日市場の佐藤農園さんの特別栽培米を使った米麹です。野菜は青葉グリーンファーム内藤さんのものなど地元の野菜を使っています。特に内藤さんは、有機栽培農家のネットワークを持っているので、一年を通じ安定していろいろな野菜が手に入ります。そうやって食材がそろうと、「さあ、これを使って何作ろう」という気持ちになるわけです。

――地元の食材はなくてはならないものなんですね。

お客さんから「野菜がおいしい」「ごはんがおいしい」という言葉をいただくことがありますが、それってとってもうれしい言葉。地元の食材はまさにコマデリの主役なんです。

キッチンカーを飛び出し、新たな地域交流の試み

エコを大事にするコデマリは、普段のランチBOXでもマイ箸持参の方には10円割引、マイ容器持参の方には20円割引のサービスがある。
青葉台のベーカリーカフェCOPPET×コマデリの「あおば野菜カレー!」は週末だけの限定品です。
昼食会「りびんぐるーむ」で供された、ひじき入りサラダにんじんドレッシング添えと青ナスステーキのねぎ味噌添え。

――キッチンカー以外にケータリングサービスも行っていると伺いました。

キッチンカーを始めた時からお弁当のお届けやケータリングサービスは行っています。もちろん食材はいつも使っている地元産のもの。予算やアレルギーに応じて、ご希望のメニューを提供できるように心掛けています。

――ママ友のランチパーティーなどに便利そうですね。

キッチンカーにいらっしゃる方も、小さなお子さんをお持ちの方が多いんですよ。生産者がはっきりしている安心安全の食材を使っていますし、野菜もたくさん入っているから栄養バランスもいい。人がたくさん集まるような時には便利だと思います。

――いろいろなコラボ企画も進んでいるようですが。

青葉区はホントに、どんどんいろんな人とつながって形になっていくんです。2015年11月には森ノオトとの共催で3回目になる「あおばを食べる収穫祭」を開催しましたが、このイベントが一般的なマルシェイベントと違うのは、環境意識が高いこと。お客さんの多くはマイ容器を持参し、ゴミも持ち帰えるため、イベントで出たゴミの量はゴミ袋がたった1つだけでした。地域の農と人がつながっていくのは本当にうれしいです。イベントではコマデリも「塩ブタDOG」を販売しましたが、この時のパンは、青葉台のパン屋「COPPET(コペ)」さん製です。COPPETさんはコラボ企画としてコマデリのコマロコカレーを使った「あおば野菜カレー」を土日限定で販売してくれています。

ちょっと変わったところでは、桜台の家具屋「エスニカ」さんの企画へのご協力があります。孤立する高齢者の増加を防ごうと企画されたもので、今は、同じマンションでも誰が住んでいるのか知るのが難しい時代ですよね。だから人が集まって情報共有すれば地域防災にもつながるんじゃないかと。「エスニカ」さんが桜台ビレジや周辺地域の住民の方に呼びかけて昼食会が実現し、そのお料理を提供しました。

キッチンカーはコンテンツの一つ。地域とつながり地域の思いを形に

ナチュラルなイメージのキッチンカー。マルシェでも一際目立つ存在です。
「キッチンカーの良さはお客さんとの距離が近いこと」と小池さん。「どこからきたの?」「一人で大変ね」とお客さんに励まされながらキッチンカーで青葉区を駆け抜けます。

――キッチンカーも青葉区の住民にはおなじみになりましたね。

そうですね。リピーターのお客さんも多いですし、かなり浸透しました。そもそも青葉区でキッチンカーを走らせているのは私だけなので、珍しい存在なんです。それにだいたい決まった曜日に決まった場所にいますから、覚えてもらいやすい。でも実は、私の一番やりたいことは、料理でもキッチンカーでもないんです。

――それでは将来はまた何か違う展望があるのでしょうか。

私がやりたいことは地域とつながることなんです。コマデリはそのためのコンテンツの一つといえるのかもしれません。森ノオトの代表北原まどかさんや野菜を提供いただいている内藤さんと「地域が持つ力」について話すことがあるのですが、地域が持つポテンシャルの大きさを、ますます感じるようになりました。地域の人たちと出会い、青葉区の食と農と人をつなぎ、いろんな縁をコマのようにクルクルと回していきたいと考えて始めたコマデリですが、今それが次々とつながって形になっているんです。

――いろんな場所でいろんなコマが回っているんですね。

そうなんです。クルクルとコマが回ってきています。あおばを食べる収穫祭やいろいろなコラボ企画など、思いが次々に形になっています。なんだか地域に動かされているように感じます。やっぱり、いい意味で流されているのかな。だから会う人みんなに「地域って大事にしなきゃね」って話すんです。

コマデリさんの野菜は私たちが作っています。

青葉グリーンファーム 内藤 泉さん

小池さんとのお付き合いは、森ノオトの取材で人参酵母菌の取材に来ていただいてからなので7年ほどになります。その後、小池さんがキッチンカーを使ってコマデリをやると聞き、一緒にやらないかって話になりました。

今の世の中、自分のことしか考えられない人が多いけど、小池さんは利害なしに人をつないでいこうという気持ちが強く、青葉区のいろんな人が小池さんのおかげで回っているんじゃないですか。

料理に使うものなので、時には野菜に細かい注文をもらうこともありますが、見た目より、食べておいしいと言っていただける小池さんのような方はとてもうれしいです。野菜はどうしても形の悪いものもできますからね。

青葉グリーンファーム
内藤 泉さん

青葉グリーンファームの内藤泉さんは、元・生協の敏腕バイヤー。「野菜は売るよりも作る方が楽しい」と、有機農家に転身し、現在は40軒ほどの地元農家をまとめ、農薬と化学肥料に頼らない野菜作りを行っています。人参を発酵させた独自の人参酵母菌を使った畑の土はふかふか。のびのびと育った朝採れ野菜は、青葉区内の軒下マルシェで購入することができます。

更新:2016年2月25日 取材:2015年12月

東急沿線 地産地消マップ
特集「地元を食べる 地元で食べる」で紹介してきた東急沿線の地産地消スポットをGoogleマップでチェック! 各ポイントをクリックすると、写真や詳細情報を見ることができます。

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