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青葉区の豊かな自然を通して、大切なものを伝えていきたい

街×人インタビュー 「あおば川ガール森ガールになろう!」運営委員 加茂千津子さん・柏木由美子さん

平日は東京都心部へ通勤通学する人が多く、洗練された街というイメージの横浜市青葉区ですが、実は豊かな自然が今もなお大切に守られています。「あおば川ガール森ガールになろう!」は、青葉区の自然をもっと知ってほしい、親しんでほしいという思いで企画された講座です。運営委員を務める加茂千津子さんと柏木由美子さんは、とある場所で運命の出会いを果たしたのだそう。そんなお二人に「あおば川ガール森ガールになろう!」のこれまでのこと、これからのことについてお話を伺いました。

  • 加茂 千津子さん
  • 柏木 由美子さん

加茂 千津子さん 柏木 由美子さん

かもちづこ
非常勤で学校教諭をする傍ら、長年にわたり青葉区での地域活動に従事。「あおばく・川を楽しむ会」、青葉区民会議など、その活動は幅広い。昨年夏には「小学生のためのエコ・デイキャンプ2015」を主催。地域と自然、人をつなぐ活動の先駆者的存在。
かしわぎゆみこ
青葉区在住歴8年。都内でフリーランスのライターをしつつ、地域活動にも積極的に参画。昨年、地元青葉区をさらに知ってほしい、楽しんでほしいとの思いから、フリーペーパー「スパイスアップ」を仲間と創刊。

青葉区の自然をもっと知ってほしい……。“同じ思い”だからできること。

2016年4月10日からスタートする、第2期の受講者募集ポスター。
「それぞれ得意分野が異なるからこそ、うまくいくんです」と加茂さんと柏木さん。お互いのスキルや人脈をフル活用し、青葉区の自然の魅力を最大限に伝えられるような活動を目指しています。

――「あおば川ガール森ガールになろう!」(以下「あおば川ガール」)は青葉区の区民企画運営講座ということですが、そもそも誕生のいきさつについて教えていただけますか?

柏木 加茂さんと初めて出会ったのは、平成27年1月から2月にかけて開催された青葉区役所地域振興課主催の運営委員養成講座でした。地域活動やコミュニティに関する意識を高め、区民同士で学び合おうという趣旨で、区民が企画・運営し、区民に対して提供するという講座です。その講座で、たまたま正面に座っていらしたのが加茂さんでした。加茂さんとお話するにつれ、私たちのやりたいこと、目指すことがとても似ていることに気付いたんです。ならば一緒にやってみよう、ということになり「あおば川ガール」が誕生しました。

加茂 私は青葉区になる少し前、今から20年以上前に青葉区に住み始め、地域のことや自然のことを知りたくて「区民会議」に参加しました。そこで「あおばく・川を楽しむ会」が地域の保全活動をしていることを知り、この市民団体に所属しました。青葉区には緑があり、川や田んぼ、谷戸など豊かな自然がたくさんあります。けれどもいまだ、それを知らない方がたくさんいらっしゃいます。振り返ると素晴らしい自然がたくさん残っているということを少しでも多くの方に伝えたいと思い、これまでさまざまなことを実践してきました。最近では時代の流れと共に、区役所の市民講座でも自然に関わるような講座が少なくなってきました。ならば市民がやらねばと思い、柏木さんと出会った講座に参加しました。

――柏木さんが地域に目を向けたのはどのようなきっかけだったのでしょうか?

柏木 青葉区に引っ越しして8年になりますが、以前から夫と二人で鎌倉や高尾山など、いろいろな場所を歩いていました。ある時、ひょんなことから鶴見川沿いを歩くことになったんです。すると地元にもたくさんすてきな場所があるんだ、ということに気付きまして。区内には川や古墳があったり、とても自然豊かな所なのに、知らない人が多いのではと思いました。ならば、青葉区の自然を知ってもらえるような講座ができたら良いなと考え、運営委員養成講座を受講したところ、加茂さんとの出会いがあったというわけです。

青葉の自然を、五感を通して感じてもらいたい。

初回のオリエンテーションでは今後の講座の内容や、フィールドマナー、散策時の服装・持ち物などについてレクチャーがありました。
地産地消のおやつを食べながら、参加者で簡単な自己紹介。長年住んでいても、これまではあまり自然に触れる機会のない人が多かったようです。
案内人を先頭に、寺家ふるさとの森を歩く受講生。これまで何度か訪れている受講生も、今まで歩いていない場所や、気付かなかったことが多くあったと語り合いながらの散策でした。

――キャッチーなネーミングがワクワク感満載の講座ですが、参加者は必ずしも“ガール”でなくても良いのでしょうか?

柏木 もちろんです! ハードルを低く、裾野を広げるためにあえて“ガール”という言葉を使いましたが、中学生以上ならばどなたでも参加できます。青葉区にある豊かな自然の魅力ももっと伝えたいという思いから、私もそうでしたが、普段都内で仕事をしていると、なかなか地元の魅力に触れる機会がないので、 休日くらいは青葉区で楽しんでみませんか?という提案をしたいと思いました。ですから休日開催にこだわりました。

加茂 こういった講座でよくあるのは、情報を得て単に歩くというイベント的なものですが、私たちは体感いただくことを重視し、五感で感じてもらうことを意識しました。自然が大好きな人も、歩くのが少し苦手という人にとってもピクニック気分で楽しめるような構成を心がけています。

――具体的にはどのような活動をするのでしょうか。

柏木 全5回の講座では、第1回目に座学とオリエンテーション。第2回から4回はすべて体験型となっています。案内人の方と森を散策したり、川沿いを歩いたりと体で感じていただきます。毎回違った専門知識をお持ちの案内人によるレクチャーを聞きながら歩くと、より自然についての洞察が深まることを実感いただけると思います。第2回から4回はこだわりのランチ付きですので、ピクニック気分で楽しめると思います。5回目の最終回は振り返りとワークショップ。この講座に参加したことで、自分にどのような変化があったか、今後どうしていきたいか、といったことをそれぞれ「あおば川ガール森ガール宣言」としてシェアしていただきます。単に「楽しいね、よかったね」と終わるのではなく、受講することで、参加した一人一人が変化を感じられたと思うので、そこをしっかり認識していただけるといいなと思います。過去現在未来と自分の意識の変化を感じることで、“気付き”をより日常に落とし込めるのではないでしょうか。この講座をきっかけに、何か変化を感じていただけたらうれしいですね。

――こだわりのランチ付きというのも、参加者の方にとってうれしい配慮ですね。

柏木 予想以上に皆さん喜んでくださいました。地元のレストランやお店にお願いして、地産地消にこだわったお弁当やおやつをご用意しています。お弁当付きというのは、運営側にとっては大変ですが、参加された皆さんが、おいしそうに食べてくださっているのを見ると、やって良かったなと思いますね。

自然や環境を伝えることは難しい。本質からずれないよう丁寧に……。

寺家ふるさと村四季の家ウェルカムセンター講師の六浦先生がこの回の案内人。寺家ふるさとの森に生息する植物についての解説がありました。
2時間半の散策の後は、森の中で地産地消のお弁当。ピクニック気分です。
青葉区内とは思えないほど深い森の中を進みます。

――長年、地域の自然に関わっていらした加茂さんですが、特別な思いや大切にされていることなどありますか?

加茂 環境保全の在り方というものは、丁寧に本質からずれることなく伝えていかなければと思っています。うわべだけでサラッと伝えてしまうと問題を起こしかねない、そこは常に念頭に置きながら活動しています。農家さんであったり、保全活動団体の方々など、自然に関わっている人たちの思いを理解してから発信していきたいですね。生物多様性って生き物だけでなく、人も同じなんですね。そこに気付くと謙虚な思いで、生き物たちと関わることができるんです。人間も自然の一部ですから。共生しましょうということです。

柏木 環境とか自然って本当に難しいですよね。加茂さんと話をするなかで、ただ広げたら良いかというとそうではなくて。わかってくれている人に広げないと、と感じました。

――前回参加された方々からは、どのような声が聞かれましたか?

柏木 初めての開催ということもあり、前回は30代から80代、総勢22名の方にご参加いただきました。男性の参加もあり、ご夫婦でご参加くださった方も4組いらっしゃいました。「青葉区に自然が残っていることは知っていたけれど、見方が変わった」とか、「虫が苦手だったけれど、愛情がわくようになった」「川沿いを歩いていると、それまで気付かなかった雑草(野草)が気になるようになった」など、うれしい感想を頂きました。なかでも「講座で行った場所へもう一回行きました」とか「お弁当を出してくれたレストランへ行きました」という報告を頂いたことは、この講座をやって良かったなと思った瞬間でしたね。

――参加者の方々は、大いに青葉区の自然を満喫されたようですね。

柏木 皆さん、本当に楽しんでくださいました。うれしいことに、前回の参加者から第2期の運営委員を募ったのですが、なんと5名が応募してくださいました。また、前回の参加者の中には、子どもとまた訪れてみます、と言ってくださった方もいらっしゃいました。次回は、できれば若い世代の方々にももっとご参加いただけるといいなと思っています。子育て世代の方に青葉の自然を知っていただき、それをぜひお子さんにつなげてほしい、そんな思いがありますので。

――運営委員の皆さんは、講座をやり終えてどのような感想をお持ちでしたか?

加茂 運営側としては本当にチームワーク良く、素晴らしいチームだったと思います。メンバー一人一人が異なるスキルを持っているので、ノウハウとネットワークが抜群。私たち二人だけではできませんでしたし、みんなで協力し合ったからこそやり遂げられたので、これぞ区民のパワーだなと思いました。それぞれに得意分野があり、スタッフ自体が楽しめ充実していました。

柏木 実は私の夫も運営委員として参加したのですが、これまで地域活動やボランティアやったことがなかったんです。けれども今回やり終えて、やってよかったと喜びを感じていたようです。

身近な自然を残していく活動に触れてほしい。

青葉区の中央を流れる鶴見川の親水護岸「市ヶ尾水辺の広場」。鶴見川は汚いと思っていた人も多く、水がきれいなことや鳥が多いことに驚く受講生も。
最終回ではワークショップ形式でそれぞれの気付きや思いを共有。グループワークでは、進行役の声が聞こえないほど話し合いに熱が入っていました。
青葉区地域振興課の担当者と運営委員の皆さん。

――恐らく多くの市民団体が同じだと思うのですが、初めての方にとっては、興味はあるけれどどう関わったら良いかわからない、きっかけがなかなかつかめない、と思われている方が多いと思います。そういった方にとってはこのような講座が良いきっかけになるのではないでしょうか。

加茂 このような講座を開講したことで、市民団体に関わるきっかけになったとおっしゃっていただけたのはうれしいですね。実は「あおばく・川を楽しむ会」にもお一人加入いただいたんです。

柏木 2016年については、「あおば川ガール」を、よりステップアップした講座を秋に開講したいと思っていますが、一方でもっともっと川ガール森ガールを増やしたいので、前回と同じ内容の「あおば川ガール」を今度は春に開催したいと思っています。

――年に2種類の講座が開かれるのですね。

柏木 はい、忙しくなりそうです。新規に入った5名も前回の受講経験を生かし、4月からの講座の運営に積極的に参加してくれています。秋の講座は、すでに活動されている方のところで実際に活動してみるというものをイメージしています。手入れする人や住む人など、人が介在してこそ自然が残っていることを知ってもらいたい。自然を通して、人の活動に触れてもらいたいと思います。そこから多くの人たちの思いを感じてもらいたいですね。

――五感をフル活用し感じ取る、ということですね。お二人が活動されているまち、青葉区についてそれぞれの思いをお聞かせいただけますか?

加茂 青葉区は里山や街路樹など、いろいろな緑が調和している街だと思いますが、同じ“緑”でも、生き物の育つ緑と育たない緑があるということ、その部分をまず皆さんに知ってほしいと思います。そして青葉区に限りませんが、今では道はほぼアスファルトとなっていて、土を歩いたり、でこぼこを歩くことがありません。土の上を歩くことはとても大切です。この青葉区の環境を生かし、休日などを利用して意識的に自然の中を歩いてほしいです。

柏木 街自体も公園などが多く、緑に親しんでいるイメージがあります。一方で自然に触れる機会が少ない方には、「あおば川ガール」にご参加いただき、休日を利用して身近な自然を体感していただきたいなと。「あおば川ガール」の活動を通して、専門家や地域活動をする方、お弁当を作ってくださる方など、この講座に関わる青葉区の皆さんから多くのことを学びながら私たちも着実に歩んでいきたいと思います。

インタビュー・文:富岡麻美(*port)

更新:2016年3月8日 取材:2016年2月

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