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「こすぎの大学」で楽しみながら地元を知る!

街×人 インタビュー 「こすぎの大学」企画・運営 岡本克彦さん

武蔵小杉エリアで大きな注目を集めている話題の学び舎「こすぎの大学」。2013年秋のスタート以来、地元密着型のバラエティー豊かな講座(もっともっと武蔵小杉を好きになるための楽しい授業!)を展開し続けているソーシャル系大学です。敷居は低いが、そこに込められた想いは熱い。そして現場には喜びが溢れている。そんな「こすぎの大学」を運営する企画編集ユニット「6355」のメンバー・岡本克彦さんに、これまでの歩みと将来の展望を語っていただきました。

  • 岡本 克彦さん

岡本克彦さん

おかもとかつひこ
「こすぎの大学」を運営する企画編集ユニット「6355」のメンバー。NEC(日本電気株式会社)コーポレートマーケティング本部マネージャー。最近ハマっているのは“せんべろ”。「千円でべろべろに酔える立ち飲み屋さん、せんべろマニアです(笑)。あとジョギングやウォーキングにもハマってます。どっちの趣味も街を知りたい、ということなんですけどね」とのこと。身長185cm(自称、実寸187cm)

この街のことをもっと知りたい、という想いから

2013年9月からスタートした「こすぎの大学」。“武蔵小杉に関わる人を知る・語る・好きになる”ための学び舎です。
企画編集ユニット「6355」の面々。武蔵小杉を愛する彼らの気持ちが「こすぎの大学」の原動力となっています。

──2013年の秋にスタートした「こすぎの大学」。誕生のきっかけを教えていただけますか?

ふたつありまして。まずは、僕の個人的なきっかけです。僕は2002年から武蔵小杉に住んでいるので、この「こすぎの大学」が始まった時点で既に10年以上が経過してたんですけど。それなのに、この街に知り合いがいない、この街について何も知らない、ということに気付いたんです。
会社も武蔵小杉で、家と会社を自転車で往復するだけの日々を過ごしていたら、ふいに虚無感に襲われたと言いますか……だってオフィスまでの行き帰りの道で知ってる人に全然会わないんですから。それで武蔵小杉に知り合いがほしい、もっと街のことを知りたい、と。そこから武蔵小杉に住んでいる方や勤めている方が集える学びの場、ソーシャル系大学があればいいのに、と思うようになったんです。
もうひとつのきっかけは、それまで会社でやっていた「ムサコ大学」という活動を外部に拡張しよう、という発想。「ムサコ大学」は、僕が勤めているNECの中で会社内のコミュニケーションを活性化させる目的でやってたんです。2011年9月から2013年10月まで計26回開催して、その目的は達成できたので、じゃあ今度は会社の外にも踏み出してみようじゃないか、と。だから武蔵小杉の住民としての僕と、それからNECの一員としての僕と、その両方の想いが交錯して「こすぎの大学」が誕生したっていう感じです。

──「こすぎの大学」という名称は?

「ムサコ大学」の延長だから「ムサコ大学院」という名前にしようかとも思ってたんですけど。でも、ある時「地元の人たちは武蔵小杉のことを“ムサコ”とは略しませんよ」という指摘を受けまして(笑)。それで、じゃあ「コスギ大学」か、という話になったんですけど、なんか「コスギ大学」だと堅苦しい印象になっちゃうじゃないですか。だから平仮名にして、さらに“の”を入れて「こすぎの大学」にしました。

──柔らかくて、かわいらしい名前ですね。

初めての人も参加しやすい雰囲気にしたかったんですよ。集まって学んでネットワーキングして終わり、というふうにはしたくなくて。そうじゃなくて、もっと楽しいものにしたかった。だから、いい意味での、ゆるさというか(笑)。敷居の低さ。そういうものが感じられる名前にしたかったんです。

──「こすぎの大学」を運営している「6355」というのは?

立ち上げ当初は5人、今は6人のメンバーからなる企画編集ユニットです。「こすぎの大学」を始めるにあたって、まず僕は地元のコミュニティに参加してみようと思いまして。それが「こすぎナイトキャンパス読書会」だったんですけど、その運営をしているのが「NPO法人小杉駅周辺エリアマネジメント」の方々で。そこでの出会いがきっかけで、地元の方と、それからNECの中でやってた「ムサコ大学」の運営に関わっていた者とで「こすぎの大学」を共同運営することにしたんです。せっかくだからユニット名を決めようということになり、じゃあムサコ(635)の5人だから「6355」ね、という。これまた遊び心のある名前にしました。

「私が先生役でいいの?」「あなたの話が聞きたいの!」

こちらは第32回「武蔵小杉をつなぐ vol.2」の一場面です。授業は4時限で構成。教室内には親密さと熱気が溢れます。
お話を聞くだけではありません。参加者の方々によるダイアログやワークショップで、さらに理解を深めます。
武蔵小杉と武蔵溝ノ口のあいだに“街と街の繋がりが生まれた”という第5回。こちらは、その授業で使われたプレゼン資料。

──「こすぎの大学」が始まってから、もう2年半になるわけですが。スタート当初から手応えはありましたか?

いやいや全然です(笑)。というか手応えということより、とにかく自分が武蔵小杉のことを知りたい、という気持ちが第一でしたからね。だから、たくさんの人に参加してほしいとは特に思ってなかったんです。それよりも運営している自分たちが楽しむんだ、という気持ちが強かった。何人以上集めないといけない、というような目標も設定しませんでしたし。先生役として、また生徒として、ここに参加してくださった方々と知り合える。それだけで僕自身は嬉しくて。さっきも言いましたが、それまでは知人がゼロでしたから。街で会って挨拶できる人ができるだけで、すごく嬉しい(笑)。

──授業のテーマや先生役に関しては、いかがですか? 当初イメージしていたとおりに展開できましたか?

はい。ただ、嬉しい誤算もありました。ざっと最初の数回を振り返りますと、まず第1回はNECのデザインを統括している佐藤敏明さんに「NECと地域デザイン」というテーマで授業をしていただきました。初回が企業だったから次は地元商店街がいいだろうということで、この武蔵小杉で40年以上の実績がある“メガネのオーサカ”の大坂亮志さんを第2回の先生役にお招きして、そのときのテーマは「メガネ越しに見る個人店舗経営」。第3回は武蔵小杉に住んでる人の代表として「NPO法人小杉駅周辺エリアマネジメント」の副理事長、豊田浩人さんに「武蔵小杉の楽しみ方」を教えていただき。さらに次はお医者さん、井田病院の西智弘さんをお招きして「武蔵小杉を生きる」という授業をしていただきました。この第4回までは想定内だったんです。ところが第5回で、いきなり“武蔵小杉を外から見る”という予想外の視点が持ち込まれまして。

──第5回のテーマは「武蔵●●から武蔵小杉を知るシリーズ第1弾」ですね。

パークシティ溝の口でマンションコミュニティの活動を推進されている山本美賢さんが先生役でした。(JRの)武蔵小杉と武蔵溝ノ口は3駅しか離れてないのに、それまでは連携がほとんどなくて。なので、これからはお互いのことを共有しよう、という感じで街と街の繋がりが生まれたんです。「こすぎの大学」で、こういう展開になるとは考えてもいませんでした。
さらに第9回は川崎市の副市長・三浦淳さんが先生役を務めてくださったんですよ。これも驚きでしたね。三浦さんは、企画編集ユニット「6355」の一人であり、第2回の先生役だった大坂さんと親交があり、その縁で先生役をやっていただいたんですけど。まさか川崎市の副市長さんとの接点があるなんて思ってもいなかったので本当にびっくりしたというか。武蔵小杉をベースにしつつ、そこから溝の口、そして川崎市と、ぐんぐん広がっていく感覚が面白かったですね。ちなみに三浦副市長は「武蔵小杉を知る、つくる」をテーマに語ってくださいました。

──先生役の選定には、ご苦労があるのでは?

それが、そうでもないんです。実を言いますと、こちらからお願いすることって少ないんですよ。これまで36回開催したんですが、そのうちの10回もないと思います。「私、やりたいです!」と立候補してくださる方が多いですし、そうじゃない場合でも授業のあとの懇親会で参加者同士で話してて「その話すごく面白い! 今度、先生やってよ」「えっ! 私でいいの? こんな話でいいの?」「その話が聞きたいんですよ」みたいな感じで次の先生役が決まったり。身近にいる方が実は興味深い考えを持ってることって、あるんですよ。誰もが先生なんだなって思いますね。

授業のあとに具体的な成果が表れることが大きな喜び

“出会い→発想→実践”を目指す「こすぎの大学」。こちらは実践のひとつ「こすぎトラベラーズサロン」の様子です。
授業に参加したデザイナーさんが自発的に描いてくれたロゴ。サンズイのような部分は、武蔵小杉から外部に発信するイメージです。

──誰もが先生である。いい言葉ですね。

あ、すみません、それはソーシャル系大学の元祖「シブヤ大学」さんの真似です(笑)。誰もが“学生”になることができ、 そして“先生”にも挑戦できます、というふうに「シブヤ大学」では打ち出していて。「こすぎの大学」を始めるにあたって、いろいろと「シブヤ大学」を参考にさせてもらったんです。開校する前には学長の左京泰明さんに連絡すると共に、「こすぎの大学」開校1周年の際に左京さんを先生としてお招きして「ソーシャル系大学による人づくり・街づくりの可能性」をテーマにした特別授業を開催しました。とにかく、そんな感じなので先生役を決めるのに苦労はなくて。むしろ場所探しで苦労してます。最初の頃は特に苦労しましたね。収容人数の制約。使用料金の問題。ワンドリンクしながら先生役のお話を聞けるようにしたかったので、そこもネックになりました。区役所の会議室なんかは、ワンドリンクの制約があって。

──どうしてワンドリンクにこだわりが?

授業ごとに茶菓代としてワンコイン(500円)を頂戴していて、そこにはワンドリンクと、ちょっとしたお菓子が含まれているんです。ソフトドリンクに加えて、アルコールも用意しています。人と人との心理的な距離を縮めるっていう効果を考えて、アルコールもOKにしたかったんですよ。ディスカッションなどで頭を使うことによって糖分が不足するでしょうから、お菓子は甘いものを出すことが多いです。

──それでは逆に「こすぎの大学」を運営していて、どのような点に喜びを感じますか?

知り合い。それ以上の友人。そういう存在がたくさんできたっていうことですね。今では街で声を掛けてもらえるようにもなりましたから。それが、とにかく嬉しいです。それから「こすぎの大学」の授業をきっかけに、そこから何らかの活動が始まるケースがあるんですが、そういった具体的な成果も大きな喜びですね。
ひとつ例を挙げると「こすぎトラベラーズサロン」というコミュニティ。旅行が大好きなんだけど今は小さな子供がいるから旅に出られない、という主婦の方がいらっしゃいまして。その方の「だけど旅の話をするだけで実際に旅行をしたような気分になれるから、そういうイベントをやりたいです」というアイデアに賛同する方がたくさんいて、その結果「こすぎトラベラーズサロン」が立ち上がりました。こういうのは本当に嬉しいです。

新しい住民と先輩住民の歩み寄り。それが武蔵小杉の魅力

秘伝のタレのレシピとも言える「ノウハウ集」を惜しげもなく公開! これさえあれば、あなたも企画運営ができる!?
「今では街を歩けばたくさんの人が“オカポン!”と声を掛けてくれるようになりました」と笑顔で語る岡本さん。

──今年3月、「6355」は“市民参加型街づくりコミュニティのノウハウ集”をウェブで公開されましたね。

これまでの活動をまとめて発表しました。他の地域でのコミュニティ運営の参考にしてもらえたらいいな、ということで。それと「こすぎの大学」をやりながら僕ら自身、ものすごく楽しんでいるわけですけど、この楽しみをもっと多くの方に味わっていただきたいという想いもありました。たくさんの方が企画運営をする機会が増えればいいな、とも思ってるんです。

──確かにノウハウ集を拝見していると、なんとなく自分でも企画してみたくなります。具体的に説明してくださっているので、できるような気がしてくると言いますか。

できますできます。ぜひ、やってみてください。すごく楽しいですから(笑)。僕ら「6355」の強みは、こういうふうに何かを残していくことだと考えてまして。イベントなどを企画すると、やる前は盛り上がるんだけど、いざ本番の日を迎えたらそのままさらっと終了しちゃうことって、ありがちじゃないですか。どういう結果になったのかよくわからない、みたいな。「こすぎの大学」では、そうじゃなくて、このノウハウ集にしろ、それから各授業のレポートにしろ、ちゃんとアーカイブ化してます。そうやって地域、地元に恩返しをしていく。そこは大切にしてますね。

──「こすぎの大学」の今後の展望、将来の夢や目標のようなものはありますか?

時々、僕らの活動を知った方から「うまくいってるんだから規模を大きくしなよ。もっと大きなことを仕掛けなよ」って言われるんです。それに対しては「いいえ。大きくしません」とお答えしていて。というのも最初に話したような敷居の低さを失いたくないんですよ。それに小さなコミュニティがたくさんあるところが武蔵小杉という街の魅力で、そのコミュニティにそれぞれの良さがある。それを束ねて大きくするのは違うと思うんです。
僕の理想は小さなコミュニティがたくさんあって、そこに参加している人たちも流動的で……今日このコミュニティで会った人と、また別の日には別のコミュニティで一緒になる、みたいな感じだといいなって思っていて。こっちでは参加者だった人が、あっちのコミュニティでは運営側にいたりね。そういうふうに活性化していくのが理想。だから質問の答えとしては“今後も、できるだけ大きくしないのが目標です”ということになりますかね(笑)。

──最後の質問です。岡本さんにとって武蔵小杉というのはどんな街ですか?

新しい地元ですね。僕は横浜出身なんで、ずっと「地元は横浜です」って言いながら生きてきたんですが、それとは少し違う文脈で「武蔵小杉が地元です」と言えるようになってきました。大切にしたい街であり、そして大切な友人が住んでる街になってきたということですよね。
武蔵小杉には新旧の融合という特徴があると思っていて。タワーマンションを中心に新しく入ってきた住民の方々。この街で暮らし続けてきた先輩住民の方々。その両者が一歩ずつ踏み出して、お互いのことを知ろうとする。そして街の現状を知ろうとする。そういう雰囲気が武蔵小杉という街にはあって、それこそが「こすぎの大学」がうまくいっている理由のひとつでもあるんじゃないかと思っています。

更新:2016年6月10日 取材:2016年5月19日

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