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東急電鉄

キーパーソンに聞く、「セグウェイ×交通安全」がよく分かる3つの話

セグウェイで新しい交通安全を考える VOL.2

2016年春、二子玉川における新しい交通マナー啓発プログラムとして、「セグウェイツアー in 二子玉川」の取り組みが始まりました。それに先駆け、2016年1月より、PTA経験者や町会をはじめ、日頃から地域の交通浄化に取り組む方々が中心となり、“セグウェイを通じた新しい交通安全”を考える「セグウェイランチ」という取り組みがスタートしています。今回は「セグウェイランチ」のキーパーソン3人に、活動内容や目的など、気になるあれこれを聞きました!

“セグウェイに乗る感覚”を街の交通安全に役立てたい

「交通浄化」には、交通安全に関する活動を行う「交通部会」と、街の清掃活動を行う「環境部会」の2つの組織があり、中村さんは「交通部会」の会長です。
2016年2月に実施された「たまチャリルール」を街の皆さんに広めるためのパレードの様子。写真では、「止まれ」の位置で両足をついて止まる「足ポン」を行っています。
2016年4月に行われた「セグウェイツアーin二子玉川」プレス発表の様子。セグウェイランチメンバーが中心となってデモンストレーション走行を行いました。
プレス発表のデモンストレーションが無事終わり、安堵の表情を見せるセグウェイランチのメンバー。おそろいのユニフォームが印象的。

中村 輝之さん

PROFILE●なかむらてるゆき

「セグウェイツアー in 二子玉川」を主催する団体の一つ「二子玉川地区交通環境浄化推進協議会」の交通部会長であり、二子玉川駅周辺の町会である「玉川町会」の事務局長も務める街の重鎮。最近は特に多摩川の水辺を安全に楽しむ活動に夢中なんだとか。

──中村さんが活動する「二子玉川地区交通環境浄化推進協議会(以下、交通浄化)」とは、そもそもどういう団体なのでしょう?

「交通浄化」は、もともと玉川警察から要請があってできた会で、玉川町会を中心に地域の企業、学校、PTAならびに行政が一緒になって、交通環境を良くするためのさまざまな取り組みを住民発信で行っている団体です。駅前の放置自転車を解消するための駐輪場の誘致が最初の活動で、そこから街の清掃活動や、生活道路を走る車にスピードを時速30km以下に抑えようと呼び掛ける「ゾーン30」、自転車マナーの向上のための「たまチャリルール」をつくって街に広めるといった、交通に関するいろいろな啓蒙活動をしてきました。こうした活動の一つとして、今回セグウェイを使った取り組みに参加することになったのです。

──交通安全のための取り組みとセグウェイとが、どうしてつながったのでしょう?

東急電鉄とセグウェイジャパンが、二子玉川でのセグウェイ走行について検討している中で、私たちもセグウェイに乗せてもらう機会をもらったんですね。そのときに、セグウェイならではのゆったりとしたスピードや周りに気遣いをしながら乗れる感覚は、交通安全にすごくいいなと感じました。例えば、街中を自転車でビュンビュンと走り回っている人に、セグウェイに乗るときのような感覚を持ってもらえると、交通状況が随分と改善されるだろうなと考えたのです。

──ゆっくり、周りに気遣いをしながら走るセグウェイを体験すると、交通に対する意識が変わると?

はい。コミュニケーションの活性化にもつながると感じたのも大きいですね。セグウェイ自体が珍しいということもあり、運転していると、子どもたちが「あ、セグウェイだ!」と近寄ってきてくれます。またすれ違う人たちが笑顔で手を振ってくれたり、あいさつを自然に交わせたりします。セグウェイがコミュニケーションを生み出しやすい媒体になっているんでしょうね。セグウェイに乗っているときのように、みんながお互いにコミュニケーションを取り、「お先にどうぞ」と道を譲り合う、そうしたやりとりが増えると、街の交通状況の改善にもつながると感じたのです。

──「セグウェイランチ」では、どのような活動を?

PTA経験者や町会などのメンバーを中心とした「セグウェイランチ」というワーキンググループをつくり、活動を始めています。「セグウェイランチ」では、コミュニケーションがさらに生まれるようなツアーのアイデアを考えたり、広報用の壁新聞を作ったり、いろいろな企画を考案しています。また、日本大学の稲垣先生や国士舘大学の寺内先生にもお手伝いいただき、“セグウェイが交通安全にどう役立つのか”といったことを、学術的に調査する活動も始めてもらっています。

“街をすてきにするアイデア”を街の人が生み出す場

覚張さんにセグウェイの印象を聞くと、「ものすごく楽しくて、誰もがフレンドリーになれるすごい乗り物」と話してくれました。
セグウェイランチで「ランチョンマット新聞」について話し合っている様子。紙面にはツアー説明のほか、メンバーのイメージから発想したキャラクターなども掲載されており、楽しげな雰囲気が伝わってきます。
最近では、ツアー中にすれ違った街の人が手を上げてあいさつしてくれる場面が増えてきたそうです。
「セグウェイランチ」メンバーでのツアー体験。休憩タイムには、セグウェイで街を走り気付いたことや感じたことを共有し、振り返ります。

覚張 和美さん

PROFILE●がくはりかずみ

「セグウェイランチ」の主要メンバー。二子玉川に住み、元PTA会長として、子育て目線からセグウェイを通じた交通安全について考える。今最も力を入れているのは、毎週末、子どもが所属するサッカー部の応援に出掛けること。

──覚張さんが「セグウェイランチ」に参加するようになったきっかけと経緯は?

昨年、PTAの会長をしているときに、玉川町会の方から「セグウェイに乗ってみない?」と声を掛けられて、実証実験が行われているつくば市に行ったのがきっかけです。講習を受けて街を走ったときに「これは楽しい!」と。終わるころには「次はいつ乗れる?」と聞くほどほれ込んでいました。その後も「インストラクターの資格を取らない?」と誘われて、「じゃ取る」と(笑)。そうこうするうちに「セグウェイランチ」の活動が始まり、自然と私も参加するようになりました。

──「セグウェイランチ」では、具体的にどのようなことをしているのでしょう?

例えば、ツアーについて、「こういうコンテンツがあったらいいな」ということを話し合っています。セグウェイで走っている途中でどんな体験をしたら交通マナーを考えるきっかけになるのか、街を走るにあたりどこに気を付けるべきなのかといったことですね。ツアー以外では、交通状況などを学ぶミニ講座を開いたり、活動について情報発信する「ランチョンマット新聞」(壁新聞)を作ったり、みんなで楽しみながら、街をすてきにするためのいろいろな企画を練って実行しています。

──二子玉川で子育てをされているとのことですが、そういった立場から、今の二子玉川の交通事情をどう感じますか?

二子玉川は再開発が終わり歩道が広くなった分、自転車のスピードが上がったように感じます。また、来街者が増えたこともあり、時間帯によって、街の様子が随分変わりました。例えば、朝は通勤者が多く急いでいる印象ですし、午後になると、ベビーカーを押しながら散歩している人やご高齢の方などが増えます。街の景色が時間帯によってがらりと変わるので、通行するときの気の遣い方も違ってきますね。

──セグウェイに乗ると、そういった変化に気付きやすくなるのでしょうか?

セグウェイに乗ると、視野が広がり周囲が見渡せるようになります。すると隠れて見えなかったものが見えるようになり、気付きが増えます。交通安全について考えるときに、この「目線が変わる」ということは、とても大きな要素だと感じています。

──実際に「セグウェイランチ」の活動を始めてみて、以前と変わったなと感じることや、今後期待することを教えてください。

活動が浸透してきたこともあり、運転中に街の人から「頑張っているね」と声を掛けてもらえることも増えました。また、今まではすれ違うだけだった人とも、あいさつし合えるようになったり。「セグウェイでコミュニケーションが生まれる」ことをいろいろな場面で実感しています。
また、私自身、この取り組みに参加したことで道路や歩道での意識が変わりました。セグウェイに乗っていると、横断歩道を渡る人がいるかもしれないと気になったり、歩道で人が横一列に歩いていて通行できなかったりといった体験をします。それが普段の生活に反映されていくわけですね。なので、多くの方がセグウェイを体感したことをきっかけに、周囲への気遣いの気持ちが芽生えてくれるといいなと思います。

セグウェイが交通に与える影響を“学術的”に調査する

交通安全に必要なのは「コミュニケーション」。他者に対する思いやりや理解を深めることで、街の交通状況は大きく変わると語る稲垣先生。
日本大学理工学部の船橋キャンパス(千葉県船橋市)には、セグウェイが6台あり、二子玉川の街で行う調査のための予備的な実験などを行っているそうです。
日本大学と国士舘大学の学生たちは、学会で行われるまちづくり政策のデザインコンペに参加。そこで交通安全におけるコミュニケーション向上の例として、二子玉川のセグウェイツアーを取り上げたそうです。写真はその発表時の様子。
セグウェイの試乗会では、学生たちもインストラクターとして参加。一般の参加者に、乗り方をレクチャーしました。

稲垣 具志さん

PROFILE●いながきともゆき

日本大学理工学部 交通システム工学科の助教。交通工学を専門とし、「交通浄化」のこれまでの取り組みを学術的な面からサポート。学生時代には軽音学部に所属し、ドラムを担当。休日には、ゴスペルや賛美歌を演奏することも。

──稲垣先生の研究テーマについて教えてください。

私の研究分野は、交通工学です。交通というのは、いろいろな分野の研究者がアプローチするテーマです。その中でも、工学(主に土木工学・人間工学)の分野の観点から交通安全について考えています。また、ユニバーサルデザインやバリアフリーについての研究も長く続けています。

──「セグウェイランチ」とはどのような関わり方を?

「セグウェイランチ」は、セグウェイを使って交通安全について考えましょう、という地域の人たちを中心とした集まりなわけですが、そこに例えば、客観的な意見が欲しいというときには、われわれがお手伝いします。学生が活動の中に入っていき、交通安全について意見を述べたり、新しい企画を提案したりすることもその中に含まれます。以前、「交通浄化」が行った「ゾーン30」の取り組みでは、国士舘大学の寺内先生と共に、調査のノウハウを提供したり、交通データの分析や結果の見せ方についてフォローをしたりしました。今回の「セグウェイランチ」でも、そういった技術的・学術的な面からサポートしていければと考えています。

──今回はどのような調査を計画しているんでしょう?

まだ企画の段階ですが、二つのタイプの調査を行おうと考えています。一つが、目で見て分かることについてですね。例えば、セグウェイが走っている様子をビデオカメラで撮影して、人とすれ違ったときにはどれくらいの速度で走ると安全なのか、セグウェイの隊列がやってくると自転車の動きが普段と比べてどのように変わるのかといったことを観察します。また、どれくらいのコミュニケーションが生まれるかも調べたいですね。例えば、セグウェイがやってくることで、何回あいさつや譲りの行動が生じたかを観察したり、どれくらいの頻度で笑顔が生まれたかを調べたり。たくさんのサンプルを集めることで、統計的に何かを証明することにつながるんじゃないかと考えています。

──もう一つのタイプの調査というのは?

「意識」の部分の調査ですね。これは目に見えないのでヒアリングやアンケートを行うことになります。「セグウェイに乗って楽しかったですか?」「セグウェイは公道に出ても安全だと思いますか?」といった感想や印象を聞くような質問もありますが、そこからさらに踏み込んで、「今後、自転車や車に乗ったときに、周りへの関心が増えると思いますか?」といったような、乗る前と乗った後で他者とのコミュニケーションについてどのような意識の高まりがあるかを調べようと考えています。ツアーを通して、交通行動の基本的な考え方がどう変わるのか、これが意識調査で調べられると、とても価値のあるものになると思っています。

──今後の展望を教えてください。

調査をしてデータを取ることは、あくまで手段でしかありません。データを取った後、数字で定量化し、分析し、証明する。そして学術的な論文にして世に発表していく。そうした取り組みを続けていくことで、最終的に、日本人に欠けている交通コミュニケーションの重要性や必要性を訴えながら、新しい交通の文化を創っていくことができたらいいなと考えています。

更新:2016年8月8日 取材:2016年7月

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