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「三宿四二〇商店会」で、街のブランド向上と地域に愛される街づくりを。

街×人 インタビュー 三宿四二〇商店会会長 間中伸也さん

三軒茶屋と池尻大橋の中間に位置する三宿通り。その周辺店舗のオーナーなどが中心となり、2009年10月、「三宿四二〇(よんにいまる)商店会」が結成されました。これは世田谷区では、実に十数年ぶりとなる“新規商店会”の立ち上げ。若い店舗オーナーが敬遠しがちな「商店会」という組織を立ち上げた理由、そして今や日本最大級のパンイベントとなった「世田谷パン祭り」開催のきっかけなど、商店会の立ち上げメンバーで会長の間中伸也さんにお話を聞きました。

  • 間中 伸也さん
間中伸也さん
まなかしんや
ハンカチ専門店「H TOKYO」のオーナー兼「三宿四二〇商店会」の会長。廃校となった中学校校舎を再利用したIID 世田谷ものづくり学校の副校長在職時に「三宿四二〇商店会」を立ち上げる。2011年には自らが仕掛け人となり、第1回「世田谷パン祭り」を開催。趣味はランニングで、トライアスロンから自転車ロードレースを除いた「アクアスロン」の大会に出場するほど熱中しているとか。

“IID 世田谷ものづくり学校”の活動を理解してもらいたいという思い

IID 世田谷ものづくり学校。イベントやワークショップの会場として数多く利用されています。
「三宿四二〇商店会」の集会の様子。若い加盟店オーナーが多く、毎回、活発な意見が飛び交います。
間中さんが運営するハンカチ専門店「H TOKYO」の店内。間中さんはIID 世田谷ものづくり学校に勤める前に大手流通量販店のバイヤーをしており、その経験を生かしてお店を開いたのだとか。

――まずは「三宿四二〇商店会」の概要を教えていただけますか?

「三宿四二〇商店会」は、三宿通り(都道420号鮫洲大山線)の周辺地域の店舗オーナーなどが中心となり、2009年10月に発足した商店会です。現在の加盟店は30店舗ほど。三宿通り沿道や世田谷公園を活用しながら、集客力の向上や街のにぎわい創出、住環境の向上などを目指し活動しています。

――IID 世田谷ものづくり学校在職時に「三宿四二〇商店会」を立ち上げたそうですが、そもそものきっかけは何だったのでしょう?

大きな理由としては二つあります。IID 世田谷ものづくり学校は、2004年に廃校になった旧池尻中学校をクリエイターやデザイナー向けのオフィスとして再生させた民間施設です。実は開設当初、地元には施設の使われ方を不安視する声もありました。そこでわれわれは地域の学校関係者やPTA会長、町会メンバーを招いて、交流イベントを開催したんですね。それでも実際に近隣に住んでいる地域の皆さんに学校でやっているさまざまな活動の内容などが浸透せず、それでは自ら外に出て、学校でやっていることを街に広げながら理解を深めてもらおうと考えたのです。
例えば、学校で行っているワークショップやセミナーを街の店舗や通りでも実施するなど、地域全体に私たちの活動を広げていこうと考えました。そうした活動の一つとして、夏至に電気を消してロウソクで過ごす「キャンドルナイト」というイベントを近隣店舗にお声掛けし実施したんですね。その際、1店舗1店舗回って声をかけていくのは手間も時間もかかりました。じゃあ、商店会のような、一気に情報が伝わる仕組みをつくればいいじゃないかと考えたのです。これが一つ目のきっかけです。

――二つ目のきっかけは?

IID 世田谷ものづくり学校在職中に、私は「H TOKYO」というハンカチ専門店をオープンさせたんですね。その準備をしながら近隣店舗の人たちと会話を交わすうちに徐々に仲良くなっていき、せっかくなら何かイベントを一緒にやりたいですねという話になりました。ちょうどその頃、IID 世田谷ものづくり学校の活動を通して商店会があればいいなと考えていたので、じゃあ自分たちで商店会を立ち上げようと行動に移したのです。

――一般的に、若い店舗オーナーさんは「商店会」という組織を敬遠しがちなイメージがありますが、その辺りはどう対処を?

三宿通り周辺の店舗オーナーさんは、30~40代の比較的若い人が多いという特徴があります。もともとここに住んでいた人というよりは、地方出身で場所を借りて出店している人が多い。そのため、何か新しいことを始めたり、ブランディングしたりといったことに積極的な人が多く、商店会立ち上げを敬遠するといった雰囲気は感じませんでした。むしろ若くて意欲的なオーナーさんがたくさんいたことが、立ち上げや運営にとても良い影響を与えているように思います。

興味を持ってもらうことで加盟店を増やす

商店会結成の経緯について語る間中さん。IID 世田谷ものづくり学校事務局メンバーと各店舗を回り、説明会で賛同してくれた約20店舗のオーナーと立ち上げたのだとか。
商店会の取り組みで作成したマップ付きのパンフレット。このほかWEBサイトの作成やイベントを開催することなどで集客を促しているそうです。
商店会による清掃活動。各店舗や街に来る人を増やす取り組みだけでなく、地域に貢献する活動にも積極的です。

――加盟店はどのように増やしていったのでしょう?

何かのきっかけで商店会に興味を持ってくれた店舗オーナーさんから「入りたい」と言ってもらうケースが多かったですね。われわれも強力に入ることを勧めようという気持ちはなく、これから商店会を一緒につくっていこうという意欲のある方に集まっていただきたい気持ちの方が強い。私たちの商店会は歴史があるわけではなく、また会費を払っていればお客さまが自然に店舗に集まってくる仕組みがあるわけではありません。定例会に出てどんどん意見を言うとか、役職を担うとか、まちづくりに積極的に参加するとか、そうした取り組みが将来的に自分の店舗に返ってくる、そういう展望を持てる人に集まってもらい、会の形をきちんと整えていくことが、今取り組むべきことだと考えています。

――会の目指す方向や目的について教えてください。

三宿のイメージとしてある「洗練」「センス」を感じさせるような活動をして、街のブランド価値を上げることを目的に掲げています。その一方で、地域の方々に愛されるようなまちづくりを行うことにも力を入れています。商店会としてはやはり、地域の人に信頼されて支持されるような活動をしていかなければいけません。そこで、加盟店の皆さんとは、清掃活動をしたり、地域の学校のバザーに協賛したり、街のためにできることはやっていこうと話をしています。
また、これは商店会を立ち上げて初めて知ったのですが、地域の人たちも、実は困りごとを相談できる“窓口”を求めていたようなのですね。実際、商店会を立ち上げた後、地域の方から「こういうことを相談したかったんだよね」と感謝されることが増えました。そういった経験も踏まえ、今私たちは、地域住民や福祉団体などが集まって地域の困りごとについて考える「三宿・池尻まちこま会」という会に参加しています。そこで地域の人たちと情報を共有し、解決に向けたさまざまな活動を行っています。

――直近の活動として予定していることは?

今年中に、新たな街路灯を43機立てる予定です。大きな理由としては、夜の安全を確保するため。「三宿・池尻まちこま会」でも場所によっては危険なところがあると報告されています。そういったところの安全性を高めることが目的です。あと、街路灯には商店会の名前も記載されますから、会の認知度を上げるという狙いもあります。一緒に、商店会の名前が入ったフラッグも取り付ける予定です。

街の人も来街者も、毎年参加したくなる“地域のお祭り”

「三宿蚤の市」当日の様子。毎年初夏に、商店会や地域のクリエイター、地元の人などが訳あり品やサンプル品などを販売します。
三宿四二○商店会の飲食店もフードブースを出店し、「三宿蚤の市」を盛り上げます。
「世田谷パン祭り」当日の様子。昨年は約100店舗が参加。6回目となる2016年は、日本中から約120店ものお店が勢ぞろいするとか。
「世田谷パン祭り」では、三宿の“3”にちなみ「三宿三色パンコンテスト」も実施。写真は、昨年グランプリの「ル・コルドン・ブルー / ラ・ブティック」による「三つ味&三つ編みブリオッシュ」。

――ここから商店会主催のイベントについてお聞きします。大きなものとしては「三宿蚤の市」と「世田谷パン祭り」がありますね。

商店会の立ち上げ当初は細かいイベントをたくさん実施していました。ただ、イベントは大きなものでも小さなものでも事務的な作業は変わりませんから、加盟店や事務局の負担が増え、継続的に細かいイベントを開催し続けるのは難しいと考えるようになりました。それよりもイベントを集約し、年に一つか二つ大きなものを開催して人があふれるほどの人気が出れば、商店会の加盟店はもちろん街の人にも喜んでもらえるんじゃないかと。そこで実施するようになったのが「三宿蚤の市」と「世田谷パン祭り」です。

――まず「三宿蚤の市」はどんな思いから開催することに?

「世田谷パン祭り」が2011年に始まったのですが、こちらは飲食店中心の祭り。そこで、物販店が参加しやすいイベントもやっていこうと「三宿蚤の市」の開催に至りました。お店では普段新品の商品を扱っていますが、どうしてもB級品や傷物の商品は出てきます。そうしたものを再利用できないかという思い、またIID 世田谷ものづくり学校が、廃校になった中学校を再生している施設でもあり、“B級品や訳あり品を再利用すること”をテーマにしたイベントがあってもいいのかなと考えました。街の人にも喜んでもらっていますし、多くの物販店さんにも納得してもらっています。今後も長く続けたいですね。

――「世田谷パン祭り」について、開催のきっかけや経緯を教えていただけますか?

世田谷区内を見回してみると、なぜか有名なパンのお店がとても多い。そうぼんやりと思っていたときに知り合いのまちあるきツアーを開催している方から、三宿の街を案内してほしいと依頼されたんですね。そこで街のパン屋をいくつか案内したところ、とても喜ばれまして。そこから「パン」というくくりでイベントを企画するとたくさんの人が来てくれるんじゃないかと思うようになったのです。パン屋さんが集まるようなイベントがないかと調べてみても、ほとんど見つからなくて。それならと思い切って開催することにしました。

――第1回は2011年に開催されましたが、当日はどのような反響がありましたか?

世田谷公園にパン屋さんが出店し、来場者がベンチに座り、のんびりとパンを食べているという様子をイメージしていたのですが、実際は想像を絶する事態になってしまって(笑)。40店舗ぐらい参加していたのですが、来場者が殺到し、午後の早い時間には全て売り切れとなりました。その後いらしたお客さまもいらっしゃり……。何とも申し訳ないことをしました。

――毎年にぎやかさを増し、昨年は2万5000人もが来場する日本最大級のパンイベントとなりました。祭りを開催するようになり、街や商店会が変わったことは?

イベントを開催すると、「三宿・池尻まちこま会」や他の町会の集いなどでとても喜ばれますし、地域のたくさんの方から「今年はいつなの?」と聞かれるなど、楽しみにしてくださる方がどんどん増えてきているのを実感しています。また、それまで加盟していなかった店舗が、当日街に人があふれかえっているのを見て驚いて「商店会に入りたい」と。加盟店が増えるという効果もありました。

――今後、「世田谷パン祭り」はどうしていこうとお考えですか?

私たちが目指すのはあくまでも“地域のお祭り”です。地域の人が地元のお祭りに行ったのに入れないという状況は悲しいので、3年目くらいから地域優先入場の時間を設けることにしました。運営においては例年200人近くのボランティアの方に支えてもらっていますが、地方出身の方も多いです。そういった方も含め、地元の盆踊りに行くような感覚で参加できる、地域に根差したお祭りになればうれしいですね。一方で、三宿らしい感度の高い洗練されたお祭りとして、地域以外の人たちにも楽しめるイベントにしていきたいという思いもあります。去年はわざわざ飛行機に乗って来たという人も。そういうありがたいお客さまも、地域の方も、ファミリーもカップルも高齢者も、みんなが楽しめるイベントにしていければと考えています。

“空気感”も“人”もいいエリアで、楽しみながら街づくりを

三宿の街は、世田谷公園や学校などもあり、外の空気感がすごくいい。そこが魅力だと間中さんは言います。

――最後に、三軒茶屋から池尻大橋エリアの魅力を教えてください。

われわれが活動するエリアというのは、駅からも離れており、商店会とすると商売しづらい面はあります。ただ、その一方で、街を歩いたり、お店に入ったり、世田谷公園でゆっくり過ごすことができます。これが街の最大の魅力だと考えています。また、街に来てくれる方やお店のお客さま、住んでいる方も、皆さんすごくいい方々です。そういった方と協力し、これからもまちづくりを楽しんでいければと思います。

撮影:三浦孝明(間中伸也さん)

更新:2016年10月5日 取材:2016年9月

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