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東急電鉄

耳で知る地域の情報「コミュニティ放送」をもっと聴こう!

東急沿線のコミュニティ放送

日常もしくは災害時、あなたは地域の情報を何から得ますか? 2011年の東日本大震災時、一番知りたい地域ごとの細かいライフライン情報を、臨時災害局を立ち上げていち早く発信したのは「コミュニティ放送局」でした。それを機に注目されている、地域に密着した「コミュニティ放送局」を、地域情報・運営方法・防災・サテライトスタジオの面で特徴を持つ4局にスポットを当てて紹介します。

あなたの街の情報、どんな時でもラジオから届けます! ~かわさきFM

ビルの1階にある放送室。外から気軽に見学ができます。
放送グループチーム総責任者の山田立子さん。夜間に放送している音楽番組「MUSIC SELECTION」は、全て山田さんの手作りです。通常は難しいとされている楽器の生演奏の放送なども、「この人がいるから何でもできる」と絶大な信頼を得ています。
「かわさきFM」が販売するカード式ラジオ。聞こえ方に問題がないか、半年以上テストを行う念の入れようです。イメージキャラクターの“ラジボラちゃん”のロゴマーク入りです。
予備の放送室で準備する次の番組のパーソナリティー。メインの放送室との入れ替え時間は1分! 壁には放送で使う音源がずらりと並んでいます。

コミュニティ放送は、1992年に制度化された超短波放送(FM)を使用する放送局です。“地域密着”をキーワードに、商業や行政、地元情報に特化し、地域活性化や防災に役立つ放送を目指しています。

その一つで、1996年7月、川崎市が55%出資する第三セクターとして武蔵小杉駅近くに開局したのが「かわさきFM」です。ラジオを周波数79.1MHzに合わせれば、建物や地形の影響によって聴こえ方の差はありますが、川崎市のほぼ全域で聴こえます。「サイマルラジオ」や「ListenRadio(リスラジ)」といったアプリを使ったインターネットラジオでは、地形に関係なく鮮明に聴くことができます。また、夜中に災害が発生した場合でも、すぐに川崎市の確かな災害情報を迅速に伝えられるように、開局当時から24時間放送が行われています。

「かわさきFM」では、コミュニティ放送の特徴である“地域密着”を、強く意識した放送づくりがされています。番組枠は、局の自主制作番組と、地元の人による制作番組で全てが埋まっています。コミュニティ放送では予算の関係から、音楽番組などを外部から買い取って流すことも多いのですが、「かわさきFM」では買い取り番組を一切使わず、音楽番組も自主制作のものになっています。
地元の人による制作番組には、武蔵小杉の小売店主や塾経営者、地元のミュージシャンが出演し、地元企業がスポンサーとなり、まさに作り手・伝え手・聴き手の一連が川崎の地域でつながっているのです。

また、人口の約2.3%を占める外国人(2016年7月1日現在)にも必要な情報を届けるため、市政情報や市民参加のコミュニティ情報番組は、7カ国語(日本語・韓国語・ポルトガル語・中国語・スペイン語・英語・タガログ語)で順次放送しているなど、地域性を捉えた丁寧な情報発信がされています。

「かわさきFM」は、多くの人に存在を知ってもらうために、スタジオからの発信だけでなく川崎の街に“中継”をしに行き、積極的に人前に出てアピールをしています。「情報を得る媒体の選択肢の一つとして、ラジオが定着してほしい」と統括部長の林敏明さんは、強い思いを語ります。特に中継で力を入れているのがスポーツ。地元サッカーチーム・川崎フロンターレの全試合や、川崎国際マラソンなどを中継しています。今後は専用競技場があるアメリカンフットボールや格闘技など、いろいろな種類のスポーツの中継を積極的に行っていく予定です。

また、災害時でも確実な情報を入手できるツールの一つになるように、備え置くにも携帯にも便利なカード式ラジオ(比較的どこでも入手しやすい単4電池仕様)を販売しました。「情報を絶対届ける」という使命感を持って、「かわさきFM」は今日も“地元”にこだわった生きた情報を川崎に届けています。

文:白川麻里江(Loco共感編集部)

顔が見える放送――サテライトスタジオでもっと身近に ~エフエム世田谷

「金パラ~長江健次のDARADAラジオ」の生放送中。お昼ご飯を食べながら、間近で見られるのはこの場所ならではです。毎週遠方から来ているというファンも。
世田谷線を見下ろす展望ロビーからの眺め。
番組アシスタントの小林佳果さん。サテライトスタジオの魅力はこの距離感です。
“DJせたハチ”(エフエム世田谷キャラクター)は、さまざまなイベントで「エフエム世田谷」のPRに大活躍です。後ろに見えるマイクは、スタジオキャロット専用“ニンジンマイク”。

エフエム世田谷」は、1998年に放送を開始したコミュニティラジオ。周波数は83.4MHz、パソコンやスマートフォンからも聴くことができます。アプリを使わず、公式サイトから「click here!」をクリックするとすぐ聴けるところが、周波数の通り「83.4=やさしい」ラジオです。

「エフエム世田谷」のスタジオは現在2カ所。一つは用賀の本社にあり、もう一つはサテライトスタジオとして、三軒茶屋駅直結のキャロットタワーの最上階にあります。スタジオの名前は“スタジオキャロット”。多くの人に楽しんでもらえるようにと設置されたサテライトスタジオです。
エレベーターで26階に上がると、ガラス張りの放送ブースがあります。放送中はカーテンが開かれ、パーソナリティーの顔など、中の様子が見えます。スタジオのある26階は、23時まで無料で楽しめる展望スペースとして一般開放されており、晴れた日には遠くは横浜ランドマークタワーや富士山まで眺められる憩いの場として利用されています。タワー内の施設の利用者や近くのオフィスに勤務する人などが、椅子に座って弁当などを食べながら放送を聴いたりしているのも、ここならではの良さです。

スタジオキャロットで生放送されている番組は、「アフタヌーンパラダイス」「金パラ~長江健次のDARADAラジオ」「あの頃青春グラフィティ~70’sConnextion~」の3本です。アーティストや俳優がパーソナリティーを務めたり、番組ゲストの個性をライブ感覚で楽しめたりする内容になっています。
「エフエム世田谷」では、70~90年代の曲を主流にした音楽を放送していますが、その時代を代表するアーティストが番組に日替わりで出演し、訪れる人に「ここに来れば会える」と喜ばれています。この場所ならではの身近さが、地域の人と「エフエム世田谷」をつないでいます。何気ない日常のひと時には安らぎを、災害時にはその時にその時に必要な情報を速やかに伝えることをモットーに、放送を行っています。

「エフエム世田谷」は、2018年に開局20周年を迎えるのを機に、「原点回帰」を目指しています。世田谷区の地域性を生かした情報コーナーを増やし、街を歩く人が気軽に足を止めてもらえるような新たなサテライトスタジオの増設なども検討しています。開局当初から心掛けている、放送の安定したクオリティーはそのままに、区民のニーズに応じて変化し、新しい情報を伝える「エフエム世田谷」。電波を通してだけではなく、“顔が見える場所”で、地域の人にますます親しまれる存在になっていきそうです。

文:田中ゆきみ(Loco共感編集部)

ラジオで高める防災意識 ~FMサルース

たまプラーザ テラス内にあるイッツコムスタジオ。ガラス越しに見える目の前の“今”を伝えています。
「区内の小学生や中学生を対象に職業体験や出張講座を実施し、幅広い層に『FMサルース』を知ってもらうことを心掛けている」と語る前田さん。町を歩くと声を掛けられることも多いとか。手にしているのは「防災ラジオ」。
前田さんの必需品のポータブルマイクとレコーダー。地域のお役立ち情報だけでなく、もしもの災害時でも、機動力を生かして情報や声を集められます。
地元で活動する人たちもたびたびゲストとして登場し、ここから思いを伝えています。

「横浜コミュニティ放送株式会社」は、「FMサルース」の愛称で青葉区民に広く親しまれています。2002年に設立され、東急沿線のケーブルテレビ局「iTSCOM」が運営を受託しています。周波数は84.1MHz、青葉区を中心とした電波による受信可能エリアで聴けるほか、「iTSCOM」のエリア内でケーブルTVサービスを使っている場合は、同軸ケーブルをFMチューナーのFM入力端子に接続すれば聴取可能です。またインターネット(サイマルラジオ)・スマートフォンアプリ(リスラジなど)・USTREAMの動画配信によって、エリア外でも聴くことができます。

コンセプトは「くらしのBGM」――その日の天気・話題・ゲストと、それに合った音楽を選び、生活に寄り添った番組を制作、日常的に青葉区民とのコミュニケーションを大切にしています。編成・制作部統括リーダーの前田美由喜さんは、自らマイクとレコーダーを持ち、区内で開催されるイベント会場に足を運んでは、「一言でいいのでコメントいただけますか?」と、区民の皆さんの声に耳を傾けています。

コミュニティ放送は、日々の防災情報と、“いざという時”の地域情報を発信するという重要な役割を担っています。横浜市には防災行政無線(屋外スピーカー)がなく、そのため青葉区と横浜コミュニティ放送株式会社は、災害時の情報伝達手段として「FMサルース」から緊急放送を実施する「災害時における緊急放送に関する協定」を締結しました。2016年9月には、「防災ラジオ」の導入と「青葉区版防災情報伝達システム」の運用を開始。「防災ラジオ」とは、災害情報専用のラジオで、特定のパルス信号を流すとラジオの電源が自動的にONになるというもので、地域の防災拠点運営を担う自治会や町内会の会長さんなどには、無償で貸与されています。

「FMサルース」では、「サロン・ド・防災」という番組を開局当初から放送し、「災害が起こる前に何ができるのか、何をしたら良いのか」を、消防や医療などの専門家の話を通して考えてきました。また、青葉区の広報番組内の「防災あおば」のコーナーも、2008年から続いています。こうした実績を減災につなげるため、「FMサルース」のサイト「iTSCOM」のサイトで番組のアーカイブもしています。
そのほか、「エフエム世田谷」とは、沿線情報を番組内で互いに紹介し合っていて、災害時、都内(世田谷区)で働いている人と郊外(横浜市・川崎市)にいる家族が互いの状況を共有するのに役立つと期待されています。

「FMサルース」は、さまざまな取り組みを通じて地域の“ライフライン”の一つとなっています。

文:遠藤聖子(Loco共感編集部)

ラジオで“大きな町内会”をつくる ~渋谷のラジオ

スマートフォンで、アプリをダウンロードするとクリアに聴くことができます。
「渋谷のラジオ」チーフプロデューサーのKATSU佐藤さん。木曜日の総合司会を担当し、自らレポートに出ることも。渋谷への愛情あふれる、熱いお話を聞かせてくれました。
渋谷のラジオを支える市民ファウンダーの名前がスタジオに飾られています。箭内さんが木札に一つ一つ直筆で書いたもの。
渋谷のラジオのスタジオはガラス張りになっており、窓からは再開発で生まれ変わりつつある渋谷の景色が見えます。バイクは、取材用にと佐藤さんが自費で購入しました。

ボランティアが運営するコミュニティ放送として注目されている「渋谷のラジオ」は、2016年4月1日に本放送を開始しました。「渋谷のラジオ」の聴取方法は、ラジオと公式アプリからの2つがあります。ラジオでは、周波数87.6MHzに合わせると、渋谷区内および近辺で聴くことができます。また、スマートフォンで公式のアプリをインストールすれば、全国で聴取可能です(インストールには、渋谷区内・近辺でアプリを立ち上げるか、フェイスブックやツイッターで「渋谷のラジオ」をシェアする必要があります)。

「渋谷のラジオ」ができたきっかけは、それまで放送されていたコミュニティラジオ「SHIBUYA-FM」の閉局でした。コミュニティ放送は、渋谷の活性化や非常時の情報伝達に欠かせないもので、「このまま絶やしてはならない」と渋谷区商店会を中心とする人々が立ち上がりました。

開局時の当面の資金は、クリエイターの箭内道彦さんやミュージシャンの福山雅治さん、「渋谷のラジオ」チーフプロデューサーのKATSU佐藤さんが出資して合同会社を立ち上げ、「渋谷のラジオ」の母体であるNPO法人「CQ(シーキュー)」に貸し付ける形でつくりました。現在の運営資金は、スペシャルサポーターの企業3社と渋谷区の広報予算、「市民ファウンダー」からのもので支えられています。「市民ファウンダー」は寄付会員として初年度は一口1万円、次年度以降は一口5千円で、渋谷区民に限らず誰でも参加することができます。ゆくゆくは、その寄付のみで運営することが目標です。「聴くラジオよりも、参加するラジオにしたい」と佐藤さんは力を込めて言います。

「渋谷のラジオ」では番組を“部活”、パーソナリティーを“センパイ”と呼び、「CQ」の設立などに関わった5人が総合司会として各曜日を担当しています。各番組のパーソナリティーは、総合司会がコーディネート。平日19時からの番組「渋谷のナイト」のパーソナリティーは、アーティストや俳優などの著名人が担当します。交通費のみの支給ですが、「渋谷のために!」という思いで出演しています。番組編成は3カ月を1クールとし、番組編成会議で方針や内容が決められ、中にはボランティアが企画した番組もあります。

このように、著名人も一般の人も一緒につくり上げている「渋谷のラジオ」ですが、そこには“大きな町内会”をつくりたいという強い思いがあります。それは、自然災害などの非常時に助け合える安心・安全な関係を築くためのものです。聴取率にこだわるよりも、渋谷のラジオを通して人と人がつながることを大事にしています。
世界中から多様な人々が集う渋谷に、コミュニティをつくるという「渋谷のラジオ」の取り組みは、そのステーションコンセプト「ダイバーシティ、シブヤシティ」と「地域密着×世界最先端」をまさに表しているようです。運営にも参加することで、渋谷の新たな魅力に出合えるかもしれません。

文:田中ゆきみ(Loco共感編集部)

更新:2016年11月1日

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