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東急電鉄

“視点を変えること”で見えてくる――東急池上線沿線が持つポテンシャル

リノベーションまちづくり@東急池上線 VOL.3

全国的に大きな地域課題となっている、空き家や空きビルの増加。その課題に対し、東急電鉄がリノベーションを通じたまちづくりに取り組み始めました。そのスタートとして、株式会社リノベリングの協力のもと、池上周辺エリアで2月に3回にわたるシンポジウムが、3月には実践の場となる「リノベーションスクール@東急池上線」が開催されます。シンポジウム3回目となる今回は、“官能都市”という街の魅力を測る新たな物差しを提唱する島原万丈さん(HOME’S総研)と、都会と田舎の「二地域居住」を実践する馬場未織さん(NPO法人南房総リパブリック)を迎え、2人の講演を中心に、池上線沿線のポテンシャルについて考えました。

“新しい視点”で見直すことが、街の再発見につながる!

登壇した島原さん。HOME’S総研所長として、日本の住まいに関するさまざまな研究・調査を実施しています。
調査レポート『Sensuous City[官能都市]』(センシュアスシティ)。レポートは、HOME'S総研のサイトで全ページダウンロードができます。
講演中の馬場さん。『二地域居住』を始めたきっかけは、子どもが生き物好きだったこと、「自分たちの代で田舎を持とう」と夫婦で思い立ったことだとか。
南房総リパブリックでは、里山環境を守るため、「南房総を知る人をつくる」「コアなファンをつくる」「拠点をつくる」という3つの事業を同時進行しています。

シンポジウムでは、まず島原さん、馬場さんによる講演が行われました。

■まちの魅力を“官能”で測るセンシュアスシティ
島原万丈さん(HOME’S総研所長)

島原さんは2015年に発表した調査レポート『Sensuous City[官能都市]』(センシュアスシティ)をもとに講演を行いました。現在、日本中の都市が同じような姿になる「均質化」が起こっています。例えば「駅前再開発」というキーワードで画像検索をかけると、似たような画像がずらりと並びます。こうした現状に問題意識を持ち、都市の魅力を測る新しい物差しを提案しようと実施したのがセンシュアスシティの調査だと言います。

「センシュアス」とは“官能”という意味。機能性や市場性という人口あたりのデータで出される冷たい数字ではなく、人間らしい柔らかい感覚(五感)で都市の魅力を測ろうというのが、この調査のコンセプトです。「共同体に帰属している」「匿名性がある」「ロマンスがある」「機会がある」「食文化がある」「街を感じられる」「自然を感じる」「歩ける」に関連するさまざまなアクティビティを、住人が日々どう積み重ねているか、日本全国に住む人々を対象に調査しました。
その結果として都市のランキングを発表するとともに、センシュアスな街とは、「個人経営の飲食店が元気」「ショッピングモールだけでなく、活気ある商店街もある」「年齢や職業など多様な人々が住む」「コンパクトである」などの考察も披露され、会場の大きな関心を集めていました。そして、センシュアスな街と、そこに住む人の満足度・幸福度を比較すると、非常に高い相関関係が見られた点も注目されました。

■週末は田舎暮らし。洗足カフェがつなぐ都会と田舎
馬場未織さん(NPO法人南房総リパブリック代表理事)

続いて講演を行った馬場さんは、平日は東京、週末は千葉県南房総の里山で暮らす『二地域居住』を10年以上続けています。ゼロから始めた南房総での暮らしでは、集落の人から都会では得られない貴重な経験をたくさんもらったとか。その恩返しのために、農家や建築家、教育関係者らと「NPO法人南房総リパブリック」を設立し、人手不足で継承が危ぶまれる里山環境を守る活動に取り組んでいます。そのひとつとして、2011年から2014年まで東急目黒線・洗足駅で「洗足カフェ」を運営。日替わりオーナー制を取り入れ、南房総の農作物を使った料理を提供しました。その他、地域の人を巻き込みながら、都会と田舎をつなぐさまざまな取り組みを実施したそうです。

講演では、経験に基づいた見解も紹介されました。中でも特に強い興味を引いていたのが、「知識を得ることは大切です。知らないとその地域のことが見えませんが、知ると見えてくる。それに伴い(自分の中で感じる)地域の価値が変わってきます」というコメント。また「他者を想像する視点を持つことが大事」「(他者との)違いを愛することが、地域を愛することにつながる」といった話も多くの共感を得ていたようです。

池上線沿線が持つポテンシャルとは?

「駅ごとの特徴を生かして取り組むことで街の再生を図り、将来的にキラキラ輝く街をネックレスのようにつなげたい」。ディスカッションの前に、嶋田さんからは“池上線ネックレス構想”の紹介がありました。
意外と池上も近いという、他路線エリアに住む島原さんと馬場さん。自身の住む街を引き合いに池上線沿線の街について語り合いました。

講演後には、第1回シンポジウムで講演を行った嶋田洋平さん(リノベリング代表)も登壇し、ディスカッションが行われました。その冒頭で嶋田さんは、池上線沿線で「リノベーションまちづくり」を行うことの意義や特徴を改めて説明。これまで「リノベーションまちづくり」を主催してきたのは各地の自治体ばかりでしたが、今回、鉄道会社が実施するところに大きな意義と特徴があると嶋田さんは言います。「駅ごとに個別の地域課題があり、それぞれにビジョンがあり、遊休ストック(空き家・空きビル)があります。これらの空間資源がリアルにつながるエリアとして池上線沿線を描き直すことで、新たな価値が見えてくると思います」(嶋田さん)。

ディスカッションでは、池上線沿線の特徴として、エリアの用途が混在している、古い建物が多い、入り組んだ小さな路地がある、人が密集して暮らしているなどが挙げられました。これを従来の20世紀型都市の価値観で見ると、良さが見えにくいかもしれません。ところが島原さんの言う“センシュアス(官能)”という物差しで見直すと、大きな価値が見出せるのではといった意見も出ました。
さらに嶋田さんは、馬場さんは南房総の土地をポジティブな視点で捉えることで、何もないと思っていた場所にも畑があり、森があり、豊かな食文化があるということに気付くことができたと指摘。「その場所にある資源をいかに楽しんで遊び尽くせるかという視点を持つことが、新たな価値の発見につながる」など、これから「リノベーションまちづくり」を行う際のヒントとなる言葉が飛び出すディスカッションになりました。

3月3日には、いよいよ“実践の場”「リノベーションスクール@東急池上線」が開催されます。最終日の3月5日には、スクール参加者が地域の不動産オーナーに向けて行う事業計画のプレゼンが一般公開されます。

更新:2017年3月2日 取材:2017年2月23日

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