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地域のつながりが見える新聞をつくりたい――『大倉山みんながみえる通信』

街×人 インタビュー「NPO法人 街カフェ大倉山ミエル」代表理事・鈴木智香子さん

市民活動が活発な大倉山で、必ずと言ってもいいほど名前が挙がるのが、「NPO法人 街カフェ大倉山ミエル」代表理事の鈴木智香子さん。自ら運営するコミュニティカフェで、たまたま居合わせた人たちがつながり、新しい活動が生まれていく瞬間をいくつも見てきた鈴木さんは、新たな目標を見据えています。地域新聞『大倉山みんながみえる通信』を創刊したばかりの今、大倉山でのこれまでの活動と今後についてお話を聞きました。

  • 鈴木 智香子さん

鈴木智香子さん

すずきちかこ
「NPO法人 街カフェ大倉山ミエル」代表理事。一級建築士。コミュニティカフェ「大倉山ミエル」を運営し、2017年2月には地域新聞『大倉山みんながみえる通信』を創刊。大倉山を拠点に、商店会や活動団体と一緒にまちづくり、人々のつながりづくりに、コーディネーターという立場で取り組んでいます。「趣味は?」の問いに「まちづくりに関わる皆さんとお話することかな」と答えるほど、人に会い、人と話をすることが大好き。

“地域のつながりが見える新聞”を目指して

2017年2月創刊の『大倉山みんながみえる通信』。町内会で回覧されるほか、大倉山商店街の加盟店、港北区役所、大倉山おへそ、地域子育て支援拠点どろっぷ、大倉山記念館などで配布しています。
毎年多くの人でにぎわう大倉山の恒例イベント「大倉山観梅会」では、カフェミエルと大倉山おへそが共同でブースを出店。できたばかりの『みえる通信』も配布しました。
カフェミエルが場を借りて営業しているのがここ、「夢うさぎ」。レンタルカフェ、ギャラリー、レンタルルーム、各種教室に利用できます。

──2017年2月に発行された『大倉山みんながみえる通信』(以下、『みえる通信』)の第1号は、特集「大倉山のギリシャを探せ!」や「梅林の知られざる昔」など、情報が盛りだくさんですね。

エルム通り商店会が、街の建物をギリシャの建築様式でまとめることになったという30年前のお話を、商店会会長の山田浩之さんに聞いたことがあって。どうしてギリシャなのか、どうして電柱がないのか、すごく面白いお話なのに住んでいても知らない人が多いので、記念すべき第1号の特集にしました。取材では、商店会の皆さんや、大倉山記念館に詳しい大倉精神文化研究所研究部長の平井誠二さん、カフェミエルの立ち上げ当時から現在もお世話になっている方々にご協力いただきました。

──なぜ『みえる通信』を作ることに?

『みえる通信』を発行している「NPO法人 街カフェ大倉山ミエル」は、まちづくりの非営利活動法人です。商店会の蜂蜜プロジェクトからスタートし、コミュニティカフェの運営、地域の情報発信、そして地域活動をつなぐ取り組み、この3つを目的として立ち上げました。ただ、この情報発信の部分は、カフェを回していくのにいっぱいいっぱいで、ずっと手が付けられなくて……。今回、6年越しでようやく実現できました。

──情報発信が、もともと活動目的の一つだったんですね。次号以降は何を取り上げていく予定ですか?

街の中にあるいろいろな拠点を紹介していければと思っています。カフェミエルが場を借りて営業している「夢うさぎ」や、「ヨコハマ市民まち普請事業」に選定されてオープンした地域交流拠点「大倉山おへそ」、それに「社会福祉法人 かれん」の地域作業所など、大倉山には拠点がたくさんあります。そしてそこには、活動をつないできた人たちがいます。一つひとつの拠点が、どういった目的でどういった人に向けて活動している場所なのか、紹介していきたいですね。

──ずばり、『みえる通信』の目指すところは?

号を重ねるごとにどんどん地域のつながりが見えてくる新聞。そして地域の「セーフティネット」として、困ったときに「そうだ、『みえる通信』にあれが載っていた」と思い出してもらえるような存在にしたいですね。一度読んだら終わりではなくて、捨てないで取っておいてもらえる、そんな新聞になることが理想です。

拠点があると、人と人がどんどんつながっていく

『みえる通信』の編集会議の様子。左から鈴木さん、デザイナーの柴崎久美子さん、ライターの白川麻里江さん。
「大倉山つながりJAM」では、“わたしたちが動くと、まちはもっと楽しくなる”をテーマにワークショップを開催。練り上げた企画で、商店街イベントに参加しました。
左から、夢うさぎオーナーの菊池千里さん、出張料理人の吉本聡子さん、そして鈴木さん。

──『みえる通信』は、どういったメンバーで作っているんですか?

中心になっているのは、デザイナーの柴崎久美子さんとライターの白川麻里江さん、そして編集長の私です。東日本大震災の後に、私たちが仲間と作った「大倉山文化村」と商店会、地域が一緒に「大倉山つながりJAM」というママ向けの連続講座を開催しました。柴崎さんと白川さんは、そこに参加してくれた時からのお付き合いですね。
その3人の他には、商店会の方をはじめ、「大倉山おへそ」のメンバー、市民ライターの方にも参加してもらっています。

──「大倉山文化村」とは?

私の大倉山での最初の地域活動となったのが、この「大倉山文化村」です。これは、横浜市港北区の「地域のチカラ応援事業」の助成を受けて2010年に立ち上げた地域活性化事業で、カフェミエル立ち上げ当時の運営母体です。大倉山在住の5人の女性で結成し、今もカフェミエルや『みえる通信』に協力してくれている鈴木美美子さん(NPO法人 ハッピーマザーミュージック代表理事)や、夢うさぎのオーナーの菊池千里さんもメンバーだったんですよ。

──つながりがつながりを生んでいますね。

カフェミエルや大倉山おへそのような拠点があると、偶然いろんな人が入ってきたりして、入ってきた人同士がつながるのもとても早いんです。わざわざアポを取ってどこかで会うのとは違って、日々のことですから。地域でやりたいことのある人が集まって、「やりたいね」って話して終わりじゃなくて、実際そこに実現できる場もあるわけですから。私にしたら「どんどんやってやってー」って感じですね。
「大倉山つながりJAM」のママたちは当時、大きなおなかを抱えながら、あるいは子どもを背中におんぶしながら、活動に参加してくれました。皆さんのスキルは当時からとても高かったですね。

──「NPO法人 街カフェ大倉山ミエル」での鈴木さんの役割は?

簡単に言えばコーディネーターなんですが、外から見ると私って何をしているか分からない人だと思います(笑)。カフェミエルでは、私はほとんど料理をしていません。調理や配食などのスタッフのシフトを組んだり、お金の計算をしたりするのが私の担当。他に、「夢うさぎ」での認知症カフェやピアノと朗読の会といった企画、「かれん」で開催している地域食堂にも関わっています。地域食堂はボランティアの皆さんが主体ですが、カフェミエルでは炊飯器を提供したり、メニューを考えたり、食材を準備したりといった、これもコーディネート役としての関わりですね。
どの活動においても私の一番の役割は、活動に必要なお金をいろいろなところから引っ張る算段をつけること。コーディネーターは、やったからといって直接お金になるわけではないですが、抜けがあってはダメ。皆さんのところを駆け回りながらやっています。

市民参加のまちづくりに目覚めた札幌時代

札幌市で鈴木さんが参加した、市民参加型の公園づくり事業での一コマ。雪のブロックを家の形に積み重ねて、「イグルー」を作ります。夜はこの中で寝泊まり体験をしました。
新横浜で毎月第1・3木曜日の10時半から12時まで開催される公園遊びの会「おるたん」。子育ての先輩ママたちがボランティアで参加してくれています。

──ミエルの他にも、建築家や都市計画の専門家で構成される「NPO法人 横浜プランナーズネットワーク」や、生活クラブ神奈川から生まれた「NPO法人 フォーラム・アソシエ」でも、熱心に地域活動に取り組んでいるそうですね。そもそも、鈴木さんがまちづくりに参加したきっかけは?

夫の転勤で、2002年から数年間を札幌市で過ごしたときに関わった、市民参加型の公園づくり事業ですね。私自身が建築士ということもあり、興味があってそのワークショップに一市民として参加したんです。その中で、公園に残る素晴らしい自然を子どもたちに思いっきり体感してもらいたいと思うようになりました。そこで、知り合いのお母さんたちに呼び掛けて遊びの会「旭山公園キッズ」を立ち上げることに。

──そこで実際に挑戦した遊びは?

ドラム缶風呂を作ったり、イグルー(雪で作るドーム型の家)で一夜を過ごしたり。この経験で、行政と連携したり大学や地域を巻き込んだりしていけばいろいろなことができる、ということを実感しましたね。

──コーディネーター鈴木さんの誕生ですね。

大倉山に帰ってから、札幌でやっていたことと似ているなと思って、フォーラム・アソシエが主催する「公園子育てサポーター養成講座」を受講したんです。その後、新横浜で公園遊びの会「おるたん」を立ち上げることになりました。「おるたん」は、月2回、普通の公園に遊び道具を持って行き、たくさんの人と触れ合いながら気軽に外遊びを楽しむ会です。それからカフェミエルを始めたり、いろんな活動に取り組むようになっていったんです。

今行われている活動を広く知ってもらうために

カフェミエルも協力している地域食堂「大倉山みんなの食堂」の様子。誰でも気軽に食べに行ける場を目指しています。
「時間があれば、私だってお茶をたてたり、お花を活けたりもしてみたいですよー」と鈴木さん。けれどもそんな時間は来ないかも!?

──『みえる通信』で、これからどのようなつながりをつくりたいですか?

まずは、紙の『みえる通信』と連動するWebサイトをつくりたいですね。商店会のホームページともうまくリンクし合って、例えば、拠点で活動している人に商店会での買い物をおすすめしたり、商店会のお店の情報と一緒に地域の活動をお知らせしたり、大倉山で起こっている活動に気付いてもらうきっかけになってほしい。
地域で活動したいと思っている人はたくさんいるのに、今ある活動を知らなくて「こんなのがあったんだ」って後から気付くのはもったいないから。今後は、これから増えるアクティブシニアの受け皿にもなっていければと考えています。

──最後に、鈴木さんにとっての大倉山はどんな街?

“機会”がある場所。地域福祉拠点「かれん」や、リユース&チャリティ「WEショップ」のように、私たちが活動を始める以前から活動している方々が、私たちを受け入れてくれて、関係もすごくいいんです。30年以上続く地域交流バザー「らくらく市」も、福祉の枠にとらわれず、逆に私たちが参加することで若いお母さんたちの参加が増えた、と喜んでくれています。何か始めるのがすごくやりやすい土地なんですよね。地域食堂ができるのも、「かれん」が厨房を無償で貸してくれるおかげですし。
そして、もう一つ、最近楽しみに思うことがあります。というのは、この春から社会人になる私の子どもが先日同窓会を開催したところ、小学6年生のときのクラスメイトがたくさん集まったというんです。大倉山に住む人って、住み替えてもまた大倉山に住む人が多くて、帰巣本能みたいなものがある場所(笑)。子どもたちにとってはここが「ふるさと」で、そういう人たちがこれからもっと増えていくわけだから、彼らがどんなふうに街と関わってくるのか楽しみですね。

更新:2017年5月24日 取材:2017年4月

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