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東急電鉄

町工場の中にあるカフェ DEN

ココ知ってる?

日々進化を続ける東急沿線の街。いろんな駅のいろんな場所で、新しいスポットや話題のスポットが増え続けています。あなたはこんなスポット、知っていますか?

ものづくりの楽しさを伝え、地域を温める活動をつなぐカフェ

工場と住宅が混在するエリアにできたDEN。周囲にDENのようなおしゃれなカフェは見当たりません。
木とアイアンのテーブルがファクトリー感を出す店内。キッチン、テーブル、コワーキング、作業場の仕切りはなく、四角いひとつの空間をみんなで共有します。
「地域の人が気軽に来られる場にしたい」と話す男澤誠さんと蟹江千里さん。この笑顔には、また会いに来たくさせられます(笑)。
DENの一角で作業するスリーハイの井上宏さん。おしゃれな着こなしがDENの雰囲気にぴったりです。気軽に質問にも答えてくれます。
入り口脇の棚には、スリーハイの製品を使ったオブジェや、最下部には廃材が並んでいます。

「町工場の中にあるカフェ」という名の通り、「DEN」は約80の工場が集積する「東山田(ひがしやまた)準工業地域」にあります。「準工業地域」とは、工場のほか店舗やサービス施設、学校、住宅の建設も可能な地域。土地利用がしやすい半面、住民と企業の間でトラブルも起こりがちです。けれども多様な建物が混在する準工業地域だからこその面白さだってある――そんな思いからDENは生まれました。

中へ入ると、右手前はソファ席、その奥はコワーキングスペース、正面はキッチンとカウンター。取材の日はちょうど「カフェの一日店長体験」を利用して「ラニアケア」というグループの皆さんが酵素玄米のランチプレートを提供していました。テーブル席にはランチとおしゃべりを楽しむ女性客の姿。そして左の壁に向かう作業机では、工業用ヒーターの製造・販売を手掛ける株式会社スリーハイの技術者が、オーダーメイド品を一つひとつ手作業で仕上げています。机の脇の扉は2階の工場へ続いていて、時折社員らしき人が行き来します。

食事が来るのを待ちながら、作業中の井上宏さんに話し掛けてみました。その製品がどこで何に使われ、井上さんは何をしているのか。おかげでスリーハイのことが少し分かりました。「カフェで作業するのは、落ち着かないんじゃないですか?」と聞くと、井上さんは「私は音楽が好きなんで」と。会話を遮らない程度に流れているBGMを楽しみながら作業しているそうです。

工場とカフェ――安易に交ざることのない二つが、DENではひとつの空間を共有しています。「工場の一部を開放したような、ものづくりの現場を感じられるカフェにしたかった」と話すのは、同社の代表取締役の男澤(おざわ)誠さんと、蟹江千里さんです。

男澤さんが自社のCSRに取り組み始めたのが2010年。試行錯誤の末に地元のコミュニティハウスへ飛び込み、まちや学校のことをいろいろと教えてもらったそうです。以来、「自分たちにできることを何でもしよう」と地元の小学3年生の「まち探検」を受け入れ、さらに準工業地域の会社を一つひとつ訪問して受け入れ先を増やしていきました。2016年9月には、スリーハイとして行ってきたさまざまな活動を地域へ広げようと「一般社団法人 横浜もの・まち・ひとづくり」を設立しています。

「地域活動を通じて、僕たちは地域を温める存在になりたいと思いました。そのためにすべきこともだんだん見えてきたので、拠点を持ちたいと考えていたところにこの物件の話が出ました。立地も、この四角い空間も大きさも、とてもいいなぁって」(男澤さん)。

DENが「横浜もの・まち・ひとづくり」の活動拠点になったことで、同法人の取り組みを伝えやすくなったと同時に、周囲の会社の人たちも話をしに来るようになったそうです。「先日は近所の社員さんが『実はうちの会社でこんなことをやりたいんですが』と訪ねてくださいました。ここに来れば何かできるんじゃないか、と思っていただけるのはうれしいですね」(蟹江さん)。

訪ねてくれるのは企業だけではありません。地域の人の企画で、店内がヨガスタジオに変身したこともあります。オープン時は「企画を用意しなくていいのかしら」と不安に思ったそうですが、「逆にDENに固まったイメージがないからこそ、皆さんが自由に発想を広げてくださっている」と蟹江さんは話します。

蟹江さんはPTA副会長の時代にスリーハイを知り、現在は社員として働く一方、地域コーディネーターとして地域の子育てに取り組んでいる方。DENのお客さんの中には周辺の会社でパート勤務する女性も多く、学校や子どもの話で盛り上がることも多いそうです。

「歩いて回れる範囲に、製造業だけでなくサービス業もありますし、外資系企業のオフィスもあって、取り扱うものもさまざま。これを子どもたちの学びに活かせないかと思いました。“準工”の工場の規模なら、間近で機械や人の作業が見られますし、音やにおいもダイレクトに感じられます。それに、工場の方々が不慣れながらも一生懸命説明してくれますから、子どもたちにはかえって印象に残ると思うんです」(蟹江さん)。

蟹江さんが「来週、小学生が廃材を集めにやって来るんですよ」と入り口脇の木箱を見せてくれました。その中にはスポンジやばね、接着剤のキャップなど、素材も形も異なるさまざまな廃材。先日来店した先生が廃材のことを子どもたちに話したら、「メダカのすみかになりそうなものを探しに行こう」と決まったのだそうです。

「東山田に会社を移してから、僕は本当に変わってしまいました(笑)。今はすごく東山田に感謝していて、この地域の人たち、ここに住む子どもたちに恩返しがしたい。都筑には楽しい人がいっぱいいますから、そこを僕たちがつなげていって、子どもたちにはもっともっと都筑のことを好きになってもらいたい。ここが自分たちの街だ、って思ってもらいたいんです。『あの子が男澤さんのことを話していたよ』と言われると、『思いが循環してるなぁ、この街は』って思うんです。そうすると、またまたやる気になっちゃうんですよね(笑)」(男澤さん)。

男澤さんと蟹江さんが愛情たっぷりに呼ぶ「準工」。その準工の多様な人々の思いをつなぐ場として、これからのDENに期待です。

文:柏木由美子(スパイスアップ編集部)

更新:2017年12月4日 取材:2017年11月

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