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東急電鉄

WISE Living Lab(7) サポート企画「プラモウリン2」(慶應義塾大学環境情報学部厳研究室)

ヒト・コト・モノがつながる場

たまプラーザの美しが丘公園に隣接し、地域住民・行政・大学・企業などが連携してまちづくりを進めていくための場としてオープンした「WISE Living Lab(ワイズ リビング ラボ)」。横浜市と東急電鉄が推進する「次世代郊外まちづくり」の情報発信や活動の拠点としても期待されているWISE Living Labの“ヒト・コト・モノ”を、イベントレポートやインタビューでお伝えします。

“FWE”に着目した街歩きから見えてくる地域の「食」の流通

それぞれの立ち寄りスポットでは、厳研究室の学生さんが提起した問題をみんなで考えていきました。
実際に歩くことでたまプラーザが丘陵地帯にあることを実感。たまプラーザ在住の学生さんも「これほど高低差があるとは」と驚いていました。
保木の農家さんの畑では、2種類のバジルでそれぞれに香りが違うことを体感させていただきました。
歩き終わったところで集合写真。中央が中山さん、その右が厳先生。
WISE Living Labで一つのテーブルを囲んで昼食。目にもおいしいみつはしあやこさんのお弁当に一同テンションが上がりました。

2018年6月2日、慶應義塾大学環境情報学部の厳網林(ゲン・モウリン)研究室が主催する街歩き「プラモウリン2」が、WISE Living Labのサポート企画として行われました。テーマは「田園都市の田園はどこに」。多摩田園都市の中心エリアとしておよそ50年前に開発されたたまプラーザの“田園”(公園や農地など緑のある場所)を探訪し、この街の食と暮らしについて考えるフィールドワークです。

厳網林教授は、世界6都市が参加する国際プロジェクト「M-NEX」のリーダー。M-NEXは、これまで個別の政策で管理されてきた「食料・水・エネルギー(以下、それぞれの英語の頭文字を取ってFWE)」を“連関”(=NEXus)させることによって、都市のさまざまな課題を統合的に解決し、地域経済の活性化や暮らしの質の向上に貢献しようというものです。課題解決のためのサービスやプロダクトのプロトタイプ(試作)を、産学公民による共創の場としての「リビングラボ」によって開発し、都市に実装することを目指しています。

厳研究室のたまプラーザにおける活動テーマは「田園都市生活のリ・デザイン」です。2017年11月には「プラモウリン1」として、美しが丘の住宅街の特徴的な都市計画を見て回り、2018年3月には「たまプラーザ桜まつり」と連動開催された「パークサイドマルシェ」で住民アンケートを実施しました。

たまプラーザの学生研究チームを率いる4年生の中山俊さんは、「アンケートで日常生活の悩みや困ったことを聞いたところ、皆さん『ない』と回答され、これこそがこのエリアの問題だと思いました。住民が求めていなければ行政は手を打てませんから。しかし実際には、美しが丘3丁目の高齢化率はすでに30%を超えていて、たまプラーザ団地も建物の老朽化が進んでいます。今は見えていなくても、『時間』という軸を加えることでどんな問題が見えてくるか、その視覚化のために、私たちはこの街のデータをあらゆる角度から集めています」。

リビングラボを展開するには、住民を含めた地域の多様な人々の関わりが不可欠であるとともに、特にM-NEXではFWEのつながりを理解・学習してもらう機会も必要になってきます。今回のプラモウリンは、街のあちこちをプラっと散歩しているようでいて、実はFWEの問題に対する意識や課題を掘り起こす仕掛けが組み込まれていました。

待ち合わせ場所のたまプラーザ駅には、研究室の学生たちのほか、街歩きが好きな親子や、マルシェで活動に興味を持った男性など、地元の方々も集まりました。最初に行ったのは、駅周辺で野菜を売っている場所を巡り、これから旬を迎えるナスを調査すること。産地・流通形態・価格の関係から、私たちが何に対価を払っているのかを学びました。そして流通径路で何らかの問題があれば途端に供給がストップしてしまうリスクも見えてきました。

その後は並木道や住宅街を歩き、街路樹や公園、公園併設の雨水貯留浸透施設、生産緑地を見て、都市におけるそれぞれの機能を考えました。そして県道13号線へ出ると、話題は美しが丘西の辺りを源流とする「早渕川」に。たまプラーザは早渕川の流域にある街です。中山さんからは、戦前の地図を使って早渕川がかつて農業用水であったことや、流域の土地利用が欧米型であることなどが紹介され、厳教授からは川のコンクリート護岸についての説明もありました。当たり前のようにある川も、時代と共に姿を変えてきたことに注目するといろいろなことが見えてきます。

早渕川の上流へ向かって歩く途中、「ベッカライ 徳多朗」の軒先で野菜を販売中の「青葉グリーンファーム」を訪ねたり、保木では地元の農家さんやサポート付き貸し農園のスタッフの方々からお話を聞いたりしました。参加者からは「水はどう工面しているのか?」といった質問や、「普段この辺りは通るけれど、こんなに農地があるとは知らなかった」と驚きの声が聞かれました。

街歩きを終えると、一行はバスを使ってWISE Living Labへ。地場野菜をふんだんに使った地元の料理家みつはしあやこさんのお弁当をいただきながら、参加者同士の交流を深めました。

厳研究室では今後、FWEを評価する“指標”づくりを始めるそうです。「環境の指標はすでにいろいろありますが、自分ゴトとして捉えられないと人々の行動を変えるには至りません。私たちがこれからつくるFWEの指標は『生活が豊かになるから取り組もう』と思ってもらえるものにしたい。そのための分析を行いながら、『皆さんがFWEをこうしていくことで、こんな豊かな暮らしがありますよ』と示せるような具体的な行動と将来像をデザインしていきたい」と中山さんは今後の展望を語ってくれました。

今回の街歩きの参加者の中には、学生との交流を目的のひとつにしている方がいらっしゃいました。また実際の散歩中も、「学生さん? 何かの研究?」と話し掛ける年配の女性も。若い人が街に関心を持ってくれると、周りのワクワクや参加意識も高まるのかもしれません。厳研究室が展開するリビングラボによってたまプラーザがどのように「リ・デザイン」されるか、注目です。

文:柏木由美子(スパイスアップ編集部)

更新:2018年7月9日 取材:2018年6月2日

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