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東急電鉄

WISE Living Lab(8) 高校生が発想する「まちづくり」とは?~元石川高校のアントレ授業で地域連携プロジェクト開始

ヒト・コト・モノがつながる場

たまプラーザの美しが丘公園に隣接し、地域住民・行政・大学・企業などが連携してまちづくりを進めていくための場としてオープンした「WISE Living Lab(ワイズ リビング ラボ)」。横浜市と東急電鉄が推進する「次世代郊外まちづくり」の情報発信や活動の拠点としても期待されているWISE Living Labの“ヒト・コト・モノ”を、イベントレポートやインタビューでお伝えします。

次世代を担う高校生が、たまプラーザに「多世代交流の場」を考える

たまプラーザ駅から徒歩20分の所にある元石川高校。「自立・協働・創発」を教育目標スローガン(校訓)に掲げて教育に取り組んでいます。
横浜市と東急電鉄によるオリエンテーション。「高校生の前で話すのは初めて」と、登壇した二人も少々緊張気味でした。
横浜市青葉区在住の生徒は3分の1程度。港北区などから通う生徒も多く、「駅と学校の往復だけ」という生徒にとって、たまプラーザは未知のエリアです。
「まちを知ろう」という意識が芽生えるきっかけとなった「次世代郊外まちづくり」のマップ。
先生に加え、ゲストや見学者も各チームを回ってディスカッションに参加するのがアントレの特徴。生徒たちは多様な意見を取り入れながら自らの考えを深めていきます。

神奈川県立元石川高校では、昨年度より2年生の選択教科の一つとして「アントレプレナーシップ(以下、アントレ)」を開講しています。「アントレ」は、これからの社会をたくましく生きる力を醸成することを目的とした同校独自の授業。教員だけでなく企業、大学、地域が協働の下、毎週水曜日の4・5時間目(計120分)に実施されています。

今年度は79人がアントレを選択。4月から7月までの期間、発想法に始まり、課題の発見、情報の整理、課題解決のためのプロジェクト管理やゴール設定、仮説の立案と検証、そしてプレゼンテーションまでを、毎回講師を招いて学んできました。8月からは、いよいよ本テーマの実践がスタート。“企業連携”“地域連携”“ものづくり”の三つのテーマから一つを選択し、5~6人のチームに分かれてプロジェクトを進めていきます。

今年度、“地域連携”のテーマに「次世代郊外まちづくり」が協力することになりました。「次世代郊外まちづくり」ではこれまで、地域の中学校と連携した授業や、大学研究室の活動サポートなどを行ってきましたが、高校生を“共創パートナー”としてまちづくりに取り組むのは、初めてのこと。そこで、横浜市の長田哲也さんと東急電鉄の坂井田麻子さんが、夏休み直前の授業を訪問し、生徒たちにテーマを伝えました。

教室では、四つのチームが話し合いをしていました。配布されたプリントに書かれた質問に沿って、まちづくりに関する自分の経験や考えをチーム内で共有しています。「あなたの思うまちづくりとは?」「今、まちづくりに参加している/していない?」「その理由は?」「たまプラーザ周辺のまちづくりに高校生があまり参加していないのはなぜ?」──話を聞いてみると、ほとんどの生徒が地元の行事には参加していないようでした。「中学までは部活でお祭りに参加していた」と、ある生徒が話すと、周りから「おーっ!」と歓声が起こるほど、それは珍しいことのよう。また別のチームからは「行きたいイベントがないよね」といった声も聞こえてきました。

まちづくりを意識し始めたところで、いよいよ本題。長田さんと坂井田さんが、郊外住宅地が抱える課題と、たまプラーザ駅前北側地区(美しが丘1・2・3丁目)で進められている住民参画型のまちづくりの事例を紹介しました。

「横浜村」と呼ばれた小さな村が、160年近くの間に急速に都市化し、市町村で日本最大の373万人を抱える大都市に発展してきたこと。その人口の6割が暮らす郊外住宅地では、急激な少子高齢化、道路や水道等の老朽化、コミュニティの希薄化が進んでいること。そして、若い世代のニーズの変化に伴って、郊外住宅地が彼らの嗜好(しこう)に合わなくなり、まちの活力の低下が懸念されていること。これらは、たまプラーザにもそのまま当てはまる課題です。

「今は豊かな場所ですが、10年先、20年先もたまプラーザがそうあり続けることができるかどうか。次世代郊外まちづくりの基本構想にも定めている“多世代がお互いに助け合うまち”や、“多様性”の実現には多世代交流の場が必要と感じています。皆さんの自由な発想で、このまちを舞台に多世代交流の場が生まれるアイデアを出してみてください」と坂井田さん。

高校生も参加したくなるような、持続可能な多世代交流の場づくり……さて、生徒たちはこのお題に対して、何を感じたでしょうか。再びチームに分かれて、自分なりにかみ砕いたことを共有する時間が設けられました。彼らにとっては、横浜市の現状も、今後の見通しも、そして次世代郊外まちづくりも、おそらく初めて聞くことばかりだったでしょう。

ある生徒は「すべての世代が楽しめることなんてあるのかな」と、アイデアを思いつかない様子。またある生徒は、対価も得ずまちづくりに自ら汗を流すことに疑問を持っている様子。けれども次第に、次世代郊外まちづくりのマップを見ながら「まずはまちを知らないとね」「ここに書いてあるカフェに行ってみようか」といった声が聞こえ始め、スマートフォンで情報を集め始める生徒も出てきました(アントレの授業ではスマートフォンによる情報検索が許されています)。チーム内で自然とリーダーシップをとる人が現れ、それぞれに意見を出し合えていたのは、4月から同じ授業で学んできた仲間だからでしょう。授業の後、担当の大知楓先生は「初回のオリエンテーションでみんなの本音が出てきてよかった」と語ってくれました。

この夏休み中に、たまプラーザを歩いて調査し、夏休み明けからはいよいよ事業計画の立案が始まります。4月から学んできた手法をもとに、ディスカッションとプレゼンテーションを重ね、来年1月には実際に多世代交流の場をつくって、その成果を最終報告としてまとめます。次世代郊外まちづくりは今後、WISE Living Labをはじめとする活動拠点の提供や告知協力などの形で関わっていきます。

たくさんの大人たちがうんうんうなっても思いつかなかった多世代交流の場が、このアントレの授業から生まれるかも! とくらくでは今後の活動も随時追っていきます。

文:柏木由美子(スパイスアップ編集部)

更新:2018年8月23日 取材:2018年7月18日

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