スマートフォン用ページへ
東急電鉄

ふかさわの台所

ココ、知ってる?

日々進化を続ける東急沿線の街。いろんな駅のいろんな場所で、新しいスポットや話題のスポットが増え続けています。あなたはこんなスポット、知っていますか?

共働きの夫婦が楽しみながら始めた、「台所」のあるコミュニティスペース

静かな深沢の住宅地にあるコミュニティスペース「ふかさわの台所」。白い壁と広いウッドデッキが特徴です。
運営者の成見敏晃さんと玲子さんご夫妻。右後ろに見えているのは、DIY(手づくり)で張ったタイルの壁があるキッチン。
「おでかけひろば すぷーん」の活動のひとつ「ふかめし」の様子。地域の人たちとランチを作って食べる企画で、月1回ほどのペースで継続的に開催。
駒澤大学の学生が中心となって開催された「世田谷おにぎりランチ会」。世田谷産の朝採れ野菜を使用。駒大生とのつながりは、内装をDIYした時にできたとか。
「おでかけひろば すぷーん」と企画した子どものプール遊びイベント。住宅街の中ということもあって諦めかけていたときに、近くの老人ホーム(ウェルケアガーデン深沢)の中庭を使わせてもらえることに。人の輪とともに活動の場が広がっています。

深沢にある築50年の木造住宅。ここを改修し、ウッドデッキへとつながる1階部分を地域に開放したのが「ふかさわの台所」です。コンセプトは「みんなで作ると楽しい、みんなで食べると美味しい」。スペースの一角に設けられた台所で作った食事を囲みながら、子育てについて考えたり、イベントを楽しんだり。「食」を通じて誰もが集まれる一軒家のコミュニティスペースとして、2018年の4月にオープンしました。

運営しているのは、建築士の成見敏晃さんと出版社に勤める玲子さんご夫妻。忙しく働きながら子育てをする二人が「ふかさわの台所」を始めた理由は、家族三人の食卓の寂しさや、地域とのつながりの薄さを感じていたから。「近くに両親もいませんから、頼れる身内はいません。またご飯を食べるときには最大でも三人。夫か私の帰りが遅いと子どもと二人きりで食べることになります。そんな食卓が寂しいと感じていたし、子どもを地域とのつながりの中で育てられる環境が欲しかったのです」(玲子さん)。

そんな二人の転機となったのは、前年の4月、保坂展人区長が中心となり開催されたセミナー「世田谷区をみんなでD.I.Y(手づくり)しよう!」への参加です。保坂区長の「観客からプレイヤーへ」という呼び掛けに共感し、「自分たちの欲しい暮らしを自分たちでつくれないか」と思い始めたそう。さらにセミナーで知り合った、築30年の木造アパートをリノベーションしたデイサービス「タガヤセ大蔵」を運営する安藤勝信さんから、具体的な空き家物件の活用法を考える「世田谷の空き家等活用ゼミナール」(世田谷トラストまちづくり他主催)に誘われ参加。その中で今の物件に出合い、「ふかさわの台所」の企画を立てたそうです。

ただ、共働きなこともあり、この時点では自分たちで運営するのは難しいと考えていたのだとか。ところが講師の安藤さんから「運命を変える一言を掛けられた」と敏晃さん。「ワークショップの打ち上げで、『やっちゃいなよ。やっても死なないから』と言われまして。これを聞いたときに、『確かに、そうだな』と思ったのです。実際、やり始めてうまくいかなくても死ぬことはないじゃないですか。だったらやってみようという気持ちになれたのです」。

成見夫妻は、「ふかさわの台所」を実現するための具体案を約2カ月でつくり、世田谷区と世田谷トラストまちづくりによる、空き家活用の助成事業に申し込みます。さらに夫婦だけで運営するのは難しいと考え、世田谷区の子育て支援拠点「おでかけひろば」として活用してもらうことを検討。「おでかけひろば」を運営する複数の団体の代表者と会い、「NPO法人せたがや子育てネット」とのタッグを決めたそうです。

改修の一部は手伝ってくれる人を集め、DIYで実施したとか。「開催したのは6回。ワークショップでつながった仲間や、SNSでの呼び掛けに応じてくれた人などが約150人集まり、ペンキ塗りやタイル貼りなどを手伝ってくれました。参加者との関係はその後も続き、イベントを提案してもらうなど、今の活動の大きな支えになっています」(敏晃さん)。

現在「ふかさわの台所」で行われているのは、せたがや子育てネットによる「おでかけひろば すぷーん」と、そのほかの「食」にまつわるイベント。「おでかけひろば すぷーん」は週に3日、主に0歳~未就園児と保護者、プレママ・プレパパのための居場所として、子育てに役立つ講座や、地域の人とランチを作って食べる「ふかめし」などが開催されています。「おでかけひろば」以外の活動としては、世田谷産の野菜を使っておにぎりを握った「世田谷おにぎりランチ会」(駒澤大学の学生が主催)や、夫が集まって、妻のためにごはんをふるまう「妻に休みを☆彡」などが開催されたほか、つながりがつながりを呼び、一日パン屋などさまざまなオファーが舞い込み始めています。

「少人数で食卓を囲む寂しさを解消できたかというと、まだまだです。でも『ふかさわの台所』には、イベントを主催したり手伝ったりしてくれる、地域の人による“台所チーム”ができました。今まで私たちが仕事で息子を見られないときはベビーシッターさんに預けていたのですが、今ではこのチームの人たちが預かってくれるようになり、息子もそれを喜ぶように。私たちが欲しかった地域とのつながりが、思わぬ形ででき始めていると思います」と、玲子さんは“観客からプレイヤー”になった感想を語ってくれました。

敏晃さんは、運営方針とこれから目指したいことについて、次のように説明してくれました。「私たち夫婦だけでイベントをするのは限界があると思っています。平日昼間に働いていることもあって、準備できなかったり、内容が偏ってしまったり。それよりも、いろいろな人にいろいろな思いを持って使ってもらった方がいいと考えています。その中で、定着する人やイベントが増えていき、いろんな世代の人たちが気軽に立ち寄れる「縁側」のような場所にしていきたいですね」。

一緒にいるだけでリラックスできるような穏やかな雰囲気の成見夫妻。二人が運営する「ふかさわの台所」が地域のつながりにどのような影響を与えていくのか、今後の展開が楽しみです。

文と写真(一部):庄司健一

更新:2019年1月15日 取材:2018年10月6日

コメント

  • 本コメントはFacebookソーシャルプラグインを使用しており、これによって生じた損害に対して当社は一切の責任を負いません。
  • コメントを投稿するにはFacebookにログインする必要があります。

おすすめの記事