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東急電鉄

WISE Living Lab(11) 子どもが主体でつくる仮想の街「チッチェーノ・チッタ」

ヒト・コト・モノがつながる場

たまプラーザの美しが丘公園に隣接し、地域住民・行政・大学・企業などが連携してまちづくりを進めていくための場としてオープンした「WISE Living Lab(ワイズ リビング ラボ)」。横浜市と東急電鉄が推進する「次世代郊外まちづくり」の情報発信や活動の拠点としても期待されているWISE Living Labの“ヒト・コト・モノ”を、イベントレポートやインタビューでお伝えします。

仮想の街での社会体験を通して、リアルな地域への愛着を育む

「自分が住みたいのはどんな街? 何があったら楽しい街になる?」と、子どもが自分でお店のコンセプトを考えます。“アルバイト”としてサポートする保護者は、子どもにお店を任せられる「またとない機会」と話します。
「この男を見掛けませんでしたか?」と、財布泥棒を探して聞き込み捜査をするチッチェーノ警察官。街のみんなの協力で犯人が逮捕できて良かったとほっとしていました。
イベントの通貨「チッタ」を手にした子どもたちは、働く喜び、お金の大切さ、社会の仕組みを学びます。
給料を受け取りに子どもたちが集まる「銀行」をサポートした横浜美しが丘郵便局の局員は、細かい業務を懸命にこなす子どもたちの姿に頼もしさを感じたそうです。
藤好さん(右)は鴨志田エリアで毎月開催している「カモカモマーケット」で、たくさんの子ども店長を育ててきた実績があります。鈴木さん(左)は、自宅アトリエスタイルのお花屋さんに数カ月前から4人の小学生を受け入れて、商品企画、仕入れ、モチーフの製作、当日の販売などを体験してもらいました。

2018年11月17日、子どもたちが社会の仕組みを学べる「仮想の街」が、WISE Living LabさんかくBASEに登場しました。その名も「チッチェーノ・チッタ(cicceno citta)」。ちっちゃい子どもたちが“街の一員”として主体的に活動できる場をつくろうと、二人の女性がたまプラーザの商店街に協力を呼び掛けて実現した、WISE Living Labのサポート企画です。

その一人は、鴨志田の飲食店をベースに活動している藤好つむぎさん。もう一人はたまプラーザの自宅でお花のアトリエを開いている鈴木美由紀さんです。藤好さんと鈴木さんは、以前「みらまち2017@あざみ野」というお仕事体験イベントに出店。その趣旨を受け継ぐ形で、チッチェーノ・チッタの開催にこぎつけました。初となる今回は「ゴールを決めずに思いを共有する」ことを大切に運営したのだそう。

チッチェーノ・チッタの特徴は、大人があらかじめ用意した体験プログラムではなく、子どもたちが企画から関わって出店ができ、“街のみらい”を創造できることです。2カ月ほど前から会議を開き、「こんな街になったら楽しいのでは?」と出店者同士で話し合い、準備を進めてきました。

この日、会場内のウッドデッキに並んだのは、子どもが起業家として出店する6軒の「こども店舗」と、地域の協力店による19軒もの「おとな店舗」。「おとな店舗」は職業体験の場も兼ねています。仮想の市役所・税務署・銀行・ハローワークもそろい、さながら本物の街のよう。秋晴れの空の下、続々と親子連れが訪れ、にぎやかにスタートです。

会場を訪れた子どもたちは、まずは市役所で「市民税(入場料)」を払って“子ども市民”になり、ハローワークでやりたい仕事を探して職業体験をします。仕事を終えるとイベントの通貨「チッタ」で報酬(給料)を受け取り、税務署で所得税を納付し、残ったチッタで買い物や食事、ゲームを楽しむことができます。10チッタ納税すると「どんなことに税金を使いたいか」のアンケートに答えるシステムもあり、子どもたちが街のためになることを考えるきっかけになっています。

こども店舗の一つ「ヒーロー&プリンセスやさん」の店長を務めるのは、戦隊ヒーローが大好きな小学1年生の男の子。みんなが楽しめるようにとゲームコーナーを設けました。ゲームの景品は、家にある材料でこつこつと作った、ヒーローの武器です。また、母親が普段開いている生け花教室に刺激を受けて、妹と一緒にヒーロー&プリンセスのグッズを作るワークショップも開いていました。

今回の取り組みに、地元の農家なども賛同して出店。その一つ、「はやし農園」のご主人は、「どんなPOPを描いたら大根が売れるのかを工夫してもらいたい」と話します。「おみそ汁に入れるとおいしいですよー!」と、手製のPOPを掲げた子どもたちの元気な声が響いていました。

「大人の出店者さんが子どもと仕事することを楽しんでいたり、子どもたちがキラキラした目で工夫していたりと、予想以上のことが次々と自発的に生まれ、手応えを感じた」と語る藤好さん。「子どもたちが実際の街でも『主体的に関わる』という感覚を持てるよう、年間を通して活動を広げたい」と力を込めました。チッチェーノ・チッタのコンセプトや思いについて、もっとわかりやすく伝えながら、今後は協力店舗とコラボや事前ワークショップも企画したいそうです。

「地域から子どもたちへ生きた教育を」というテーマをカタチにした今回のイベント。体験を楽しみながらこの地域にいる大人やお店のことを知り、愛着が芽生えることで、現実の社会でも街を支える頼もしい次世代になってくれるのでは、と期待が膨らみます。

文:杉本雅美(Loco編集部)

更新:2019年1月21日 取材:2018年11月17日

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