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東急電鉄

地元を食べる 地元で食べる ~地産地消にまつわる人々~ 東急沿線で地産地消に取り組む“人”と、その“思い”にフォーカス。食やモノを通して彼らが伝えるものとは…

みずみずしい野菜や果物を作り続けている人たちがいて、その恵みを私たちのもとへと届けてくれる人たちがいる――。東急沿線で地産地消に取り組む、さまざまな人たちを紹介します。

VOL.1 仕掛け人 植木真さん

PROFILE ● うえきまこと

よこはま地産地消サポート店に認定された、藤が丘のイタリアンレストラン「ナチュラーレ・ボーノ」および惣菜店「Revive-Recipe TENZO(リバイヴレシピ・テンゾ)」のオーナー。十数軒の地元の農家に直接出向いて仕入れた、新鮮な野菜を使ったメニューが自慢。

きっかけは『冷たいトマトのパスタ』

「ナチュラーレ・ボーノ」の入り口にて。
「ナチュラーレ・ボーノ」では、旬の地場野菜を使ったさまざまなイタリア料理が楽しめます。
畑でしっかりと完熟したトマトは格別のおいしさ! 冷たいパスタは夏季限定メニューです。(※写真はイメージです)

――植木さんが地産地消の取り組みを始めたきっかけを教えてください。

『ナチュラーレ・ボーノ』をオープンした2年後、2001年のことになります。農家の直売所で熟したトマトを見つけたことがきっかけなんです。冷たいトマトのパスタを新しいメニューとして出そうと試行錯誤していたときに、市販のトマトを使うと、どうも水っぽくてあまりおいしいのができなくて……。トマトのパスタはソースなどでごまかしが利かないので、トマト自体がおいしくないとどうしようもない。そんな時に見つけた、真っ赤に熟したトマトを試しに使ってみたら、非常に濃くて、酸味とのバランスがとれたパスタができたのです。

――市販のトマトとの違いは?

大きく違いを感じたのは香りですね。口に入れたあと鼻に抜けていくトマトならではの香りが強く、とても新鮮さを感じました。
トマトをおいしくするには、木で熟すことがとても重要なんです。通常流通しているトマトは青い状態でもいで、5日ぐらい運搬している間に追熟して赤くなる。これだと最後の5日間は木から離れてしまっていて、味が乗らない。でも、地元の農家だと、木で完熟させたものを、朝もいで直売で売っているので味や香りが全然違うんですよね。

――完熟トマトとの出合いから、農家の方とのお付き合いが始まったのですね。

それまではメニューを考えて、それに必要な食材を注文したり取り寄せていたんです。でも、農家さんとお付き合いするようになって、大きく変わりましたね。今まで使わなかったような野菜も、畑で実際に食べてみるとおいしかったりするんです。それから、なるべくその時取れる野菜を生かしたメニュー作りを考えるようになりました。

――地産地消のメニューならではの魅力って、おいしさ以外に何があると思いますか?

レストランで食事をする中で、お客さまに旬を再認識していただくことができるのはいいなと思っています。ソラマメや絹さや、スナップエンドウの季節は5月・6月ですし、タケノコも春の3週間くらいしか出ないものです。
旬の食べ物には、その季節に合った働きがあります。例えば、春は苦味のある野菜で体の血液を循環させ、夏は熱い体をトマトとかキュウリなどの水分の多い野菜で冷ます。そして秋になると今度はピーマンや唐辛子のように潤いをもたらす野菜をとって乾燥を防ぐとか……。薬膳でこの時期はこういうものを食べなさいとしているものは、その時期畑に行くと大体なってるんですよね。

珍しい野菜のバーニャカウダが評判です

ナチュラーレ・ボーノの「バーニャカウダ」には、珍しい野菜がいっぱい。花オクラ、白ゴーヤ、スイスチャード、イエローアイコ、ハグラウリ、甘長シシトウ、タモギタケ…いくつわかりますか?

――藤が丘周辺ではどんな野菜が採れるのでしょうか?

タマネギ、ニンジン、ジャガイモ、キャベツ、レタスなど、いろいろあります。少量多品種なのが特徴ですね。畑の面積が狭い、いわゆる都市型農業のため、普通に作ると一種類だけで終わってしまうんです。市場に出さず直売がメインの農家で、キュウリしかないとか、キャベツしかないとかだと、お客さんがなかなか来てくれないので、こまごまとしたものをちょっとずつ輪作しているそうです。そして地主さんも多くて、農業だけに収入を頼っていない分、遊び心で珍しい野菜も作れるんですよね。

――植木さんから、「この野菜を作ってみては?」と提案することも?

そういうこともありますね。逆に、「今シーズンこんなのを作ってみたんだけど、どういう風に食べるのがいいのか教えてほしい」と言われることもあります。種屋さんから商品化前の品種を作ってみてくれと頼まれることもあるようで。
うちの店では、そういう珍しい野菜をバーニャカウダとかでお出しして、お客様に「わ~、コレ何ですか?」と喜んでいただいています。

お惣菜店『TENZO(テンゾ)』で新たな取り組みをスタート

『TENZO』の店内。お店で働く主婦たちの特技を生かした、地元野菜を使ったお惣菜が並びます。
完熟トマトで作った「横浜トマトシフォン」。トマトならではの甘さと酸味が生きたトマトジャム付き。
スタッフが考案した横浜産小麦の「小松菜のバーンズパン」。小松菜が練り込んであります。

――同じ藤が丘でお惣菜店『Revive-Recipe TENZO(リバイヴレシピ・テンゾ)』もなさっていますが、こちらはどんなきっかけで?

畑にお邪魔すると、直売所で扱い切れない野菜が、畑の隅で山のように置いてあったりするんですよ。取れすぎたトマトや太めのキュウリなんかが。畑で大変な思いをして作っているのを目の当たりにしていると、捨てちゃうのはもったいない……という思いになりますよね。かといって、レストランではそんなに使い切れない。だったら、惣菜用に加工すれば、旬の野菜のおかずを安く買いたいというお客さんに提供できると思ったわけです。

――『TENZO』ではどんなものを扱っているんですか?

お惣菜やお弁当のほか、パンやケーキなどのデザートも作っています。その時々で取れる野菜も変わってくるので、日々ちょっとずつ内容を変えています。すぐ近くの田奈では小麦が作られているので、その小麦にトマトのソースを使ったトマト色のシフォンケーキなんて、ほぼ横浜産のものだけでできるんですよ。

――『Revive-Recipe TENZO(リバイヴレシピ・テンゾ)』という店名の由来は?

道元が中国から日本に持ち帰ったことのひとつに“典座(てんぞ)”という役職があって、禅寺の食事を司る重要なポジションだそうです。お寺に来るお客さんに対して、その日その人にとって一番体にいい料理を作ろうと、畑や野山に足を運び、そのための努力や手間を惜しまない。そしてその苦労も見せず平然と「お召し上がりください」と料理を供するといいます。我々はなるべくそれに近づいていこうと……。そういう思いでつけました。

作る人、使う人、食べる人の幸せなサイクル

田園都市線沿いに広がる田園風景。

――今後の展望、夢をお聞かせください。

横浜は作り手の高齢化で休耕地が増えてきています。サラリーマンの息子さんが就農したいと思った時に農業に取り組めるように、我々が応援しながら農地を維持しておきたいですね。やはり、地元で作った野菜を食べられるということは幸せなことですから。
また、子育てで職を離れていた主婦は、栄養士の資格を持っていたり、料理の技術を身につけていても、なかなかそういう仕事に就くチャンスがない状況です。『TENZO』は、そういう人たちが活躍する場でもあるのですが、さらにもう何店舗か出すことによって、より多くの人にチャンスが回るといいなと。

――そうすれば、もっとたくさんの人に横浜の野菜を食べてもらえますね。

そうして野菜の需要が増えると農家にとっても良い環境になるのではと思っています。そして安かろうではなく、良いものを適正な値段で、食べておいしいと思ってくれる人が増えていくと、本当に豊かなサイクルができるのではないでしょうか。

――ぜひ実現していただきたいです。

僕一人では全部できないので、そういう活動をする人がどんどん増えていけば幸せだなと……。『TENZO』で働く高校生のような若者たちに、どんどん“きっかけ”をあげられて、次世代にタネをまいていくこともしていきたいです。
そしてゆくゆくは自分で農園をやって、その野菜を使って料理を提供したいなと思います。何年後になるかわかりませんが……。

植木さんは、とっても熱心な人ですよ。

地の野菜のことをよく知ってるし、珍しい野菜などに対して好奇心旺盛。

普通、シェフの人はやたらに料理の作り方を教えたりしないのでしょうけれど、植木さんは違います。直売所に買い物に来ているお客さんにも、「こんなふうに炒めるとおいしいんですよ~」などと、気さくに皆さんとお話していらっしゃいますよ。

徳江農園 徳江丸美さん(写真右)

ご両親と二人の息子さんのご一家そろって、キノコや種々の野菜、イチゴなどを生産している徳江農園さん。植木さんとのお付き合いは10年くらいとのこと。市が尾と藤が丘の間にある直売所を植木さんが訪れたのがきっかけでした。

更新:2013年12月26日 取材:2013年9月

東急沿線 地産地消マップ
特集「地元を食べる 地元で食べる」で紹介してきた東急沿線の地産地消スポットをGoogleマップでチェック! 各ポイントをクリックすると、写真や詳細情報を見ることができます。

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