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東急電鉄

地元を食べる 地元で食べる ~地産地消にまつわる人々~ 東急沿線で地産地消に取り組む“人”と、その“思い”にフォーカス。食やモノを通して彼らが伝えるものとは…

みずみずしい野菜や果物を作り続けている人たちがいて、その恵みを私たちのもとへと届けてくれる人たちがいる――。東急沿線で地産地消に取り組む、さまざまな人たちを紹介します。

VOL.2 仕掛け人 渡邉清高さん

PROFILE ● わたなべきよたか

横浜市中区で半世紀続く仕出し弁当店の老舗『横濱うお時』三代目。さまざまな地域活動の立ち上げにかかわり、現在は『ヨコハマヤサイ』『みなとみらい線deマルシェ』『まちなか社食』など、地産地消をテーマにした活動に取り組んでいる。

ヨコハマヤサイをキーワードに駅ナカで『地産地消』

『まちなか社食』プロジェクトに取り組む『mass×mass関内フューチャーセンター』前で。
横浜市環境創造局のサポートを受けて製作されたお弁当用の箱。フタの裏面に地産地消情報がデザインされています。

――どうして駅の構内でお弁当や野菜の販売を始めたのでしょうか?

きっかけは2011年度と2012年度に、横浜市環境創造局が公募を行った「地産地消ビジネスモデル支援事業」に応募したことです。もともと僕は、仕出し弁当屋。お弁当のおかずには横浜産の野菜を使っていましたし、その地産地消をより進めるために市のサポートを受け、お弁当の箱に食材の産地情報をデザインすることを始めました。このアイデアは評判が良かったのですが、実は問題もあって……。一度、箱を作ってしまうと、次に箱を作るまで同じ情報になってしまうんですね。そこで2012年からはもっとタイムリーな情報を届けようと、『ヨコハマヤサイ』という地産地消のウェブサイトを立ち上げ、旬の情報をお届けできるようにしました。それと同時に、情報発信だけでなく実際に横浜産野菜を食べてほしいと思って、横浜市内で開催されるイベントにブース出店して野菜の販売を始めました。
ちょうどそんな時ですね。日本大通り駅の駅ナカでお弁当を販売できないか、と友人から相談されたのが。

――お弁当なら得意な分野ですね。

僕に相談した友人もそう考えたんでしょうね。しかし『うお時』は仕出し弁当屋なので、企業の担当者から注文を受けて届けることがメインです。個人の方に直接販売したことはないんですよ。でも企業からの注文が毎日あるとは限らないし、これからのことを考えると、個人のお客様向けにも販売したいなとずっと考えていました。

メニュー決めの中心は“ヨコハマヤサイ”

各店舗がそれぞれに味や彩り、ボリュームに工夫を凝らしたお弁当が週替わりで販売されています。
お弁当のメニューボードにも「横浜産」の文字。

――販売しているお弁当は、うお時のお弁当だけですか?

お客様のためにはいろいろ選べた方が良いと思ったので、すぐに横浜市内の知り合いの飲食店に声をかけ、一緒に協力してもらうようにお願いをしました。今は、和食居酒屋『うさぎや』、魚屋カフェ『濱の市』、洋食レストラン『l’atelier build』、『横濱うお時』、タイ料理居酒屋『サバイクラパオ』の5店舗のお弁当を販売しています。

――販売するお弁当には、ヨコハマヤサイが使われているのですね。

作ってもらうお弁当の条件は横浜産の野菜を使うこと! お弁当のメニューは週替わりです。毎週、僕が生産者から旬の野菜のリストを送ってもらい、それをもとにそれぞれの店のシェフと相談をして翌週のメニューを決めます。決まったメニューは、週末にウェブサイトにアップしているので、事前にページを見て食べたいお弁当を決めてから買いに来ることもできます。
お弁当のメニューボードを見ていただくとわかりますが、おかずの名前が二種類書かれていますよね。例えばこの「鰆の幽庵焼き 横浜産里芋の煮物添え」というお弁当。普通ならメインのおかずから決めるのですが、ここで販売しているお弁当は、まずこの野菜のおかずを決めるんですよ。ちょっとしたことですけど、そんなところもこだわりですね。
せっかくだから野菜も一緒に売りたいとお願いし、火曜日と木曜日には、お弁当販売後に横浜産野菜を販売しています。だからここは、ただのお弁当の売店ではなく、野菜も売っている「マルシェ」なんです。『みなとみらい線deマルシェ』。横浜らしくてオシャレでしょ。

地域とオフィスワーカーをつなぐ『まちなか社食』

関内・北仲通の『mass×mass関内フューチャーセンター』前では、オフィスワーカー向けにお弁当を販売。
手前)うお時の「鰆の幽庵焼き・横浜産里芋の煮物添え」。右奥)うさぎやの「横浜野菜おもてなし弁当」。左奥)l’atelier buildの「チキンフリットトマトソース・ペンネの横浜産小松菜のペースト合え」。

――オフィスワーカー向けに特化した「まちなか社食」という取り組みも始めているそうですが?

『まちなか社食』は、大手企業のように社員食堂を持てない地域のオフィスワーカーたちのために、安心でおいしい「食」を提供しようという取り組みです。北仲通にある通称「マスマス」と呼ばれる『mass×mass関内フューチャーセンター』を中心に展開しています。

――ここでも同じお弁当を販売しているのですね。

関内周辺は官公庁が多いエリアですが、飲食店の数が減っているんです。ランチタイムに合わせて11時半ごろからお弁当を並べ始めると、1時間ほどで完売してしまうことが多いですね。お弁当の種類は『みなとみらい線deマルシェ』で販売している物と同じですが、ここではマスマス内の飲食スペースで食べることもできるので、みそ汁をサービスしています。
それぞれにお店の個性を出したお弁当なので、お昼にお弁当を食べておいしいと感じたら、夜にはぜひお店に行って食事をしてほしいですね。

地産地消のお弁当がエリア拡大中

「ほとんど毎日来ていますね」。お弁当購入者の約4割がリピーター。
「ボリュームもあって、野菜も地元のものなんですよね」。近所のOLさんたちにも、しっかりと地産地消の取り組みが伝わっているようです。

――購入される方の反応はいかがですか?

地産地消のお弁当ということが、かなり認知されてきたのではないでしょうか。週2回以上購入されるリピーターのお客様が4割ほどいらっしゃいますし「野菜を横浜産にこだわっていて、安心して食べられる」という感想を頂くことも多くなりました。食材や地産地消については、皆さん関心が高いですね。『みなとみらい線deマルシェ』で販売している野菜も、生産者の名前が分かる物の方が人気なんです。

――人気が高まると、一緒に販売したいという方もいるのでは?

新聞などにも地産地消のお弁当ということで取り上げていただいたこともあり、いろんな方に注目いただいています。お弁当の種類も少しずつ増やして10種類くらいはと考えていますし、2月からはタイ料理のお弁当が加わりました。気に入っていただけるとうれしいですね。また「うちの所でもお弁当を販売してほしい」と声をかけていただくこともあり、販売する場所も増えていきそうですよ。

マルシェで地元に元気を取り戻そう!

日本大通り駅構内では、火曜日と木曜日のお弁当販売終了後に、横浜市内産の野菜が販売されています。
野菜には誰が作った物かを表示するようにし、安心して買うことができると好評です。
途切れることなくお客様が訪れ、テーブルいっぱいに並べられていた野菜が、あっという間に残りわずかに。

――これからの目標をお聞かせください。

今まで『みなとみらい線deマルシェ』では、お弁当と野菜だけを販売してきましたが、お弁当は昼だけ、野菜販売も17時で終わります。いつも来ていただくお客様からは「もう少し遅い時間までできないか」とか「一緒にお惣菜関係の販売をしてほしい」という要望を頂いているので、その声に応えられないかと考えています。
横浜は大きな街で、開発が進んだみなとみらい地区が脚光を浴びていますが、その一方でかつて活気にあふれていた関内地区は、建物が老朽化し働く人や飲食店の数が減少傾向です。寂しいですよね。それでも僕が生まれたころから変わらず営業を続ける商店があり、下町独特の雰囲気はまだまだ残っています。関内に昔の活気を取り戻せたら……。そんな思いもあって、関内に残る昔ながらの豆腐屋さんやパン屋さんが作る手作り食品やお惣菜を、一緒に販売することを考えているところです。

――コンビニなどとの違いはどんなところですか?

置いている物はすべて横浜産の手作り商品が並び、安心して買っていただけることです。
女性が仕事を持つことは当たり前になりました。仕事で疲れて帰り、食事の準備が大変に思うことって誰でもありますよね。そんな人たちに地産地消の安心と安全を届ける。そんなマルシェができないかと。

――とても楽しみなプランですね。ぜひ実現してほしいです。

すでに日本大通り駅以外の駅でも話が進んでいますし、関内エリアと桜木町エリアにも出店を計画中で、最終的には6〜7カ所くらいでの実現を目指しています。
こうした活動をしていて気付いたのですが、横浜市内で野菜を生産している農家さんは実はたくさんいる。でも直売所の数が少ないので、こんなにいろいろな野菜が作られているということが知られていない。だから僕自身、実際に畑を見せていただくと、驚くことや感動することが多いんです。例えば横浜市産の小松菜は、平成15、16年、生産量全国1位ですし、キャベツとホウレンソウも全国上位の生産量なんです。すごいでしょ。こういう「驚き」や「感動」も、お弁当や野菜と一緒に伝えていきたいんです。

渡邉さんの情報量の多さと頭の回転の速さにはいつも驚かされます。フットワークも軽く、いつも直売所に足を運んで野菜を見て、生産者ともよく話をしていますね。

彼からいろんなアイデアをもらって、『ハマッ子』でもいろいろな取り組みにチャレンジしています。いつも「お前は行動が遅いなあ」なんて笑われますけど……。

JA横浜 「ハマッ子」直売所
都筑中川店 齋藤秀人店長

横浜市内の100名を超える生産者を組合員に持つ「ハマッ子」直売所都筑中川店では、収穫したての地場野菜を中心に豊富にそろえています。生産者が運んで来た野菜の品質を齋藤店長がチェックし渡邉さんへ。高校時代の同級生という気心の知れた二人だから信頼関係もバッチリ。

JA横浜 「ハマッ子」直売所 都筑中川店

横浜市営地下鉄
センター北

詳細情報を見る

更新:2014年3月4日 取材:2014年1月

東急沿線 地産地消マップ
特集「地元を食べる 地元で食べる」で紹介してきた東急沿線の地産地消スポットをGoogleマップでチェック! 各ポイントをクリックすると、写真や詳細情報を見ることができます。

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