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東急電鉄

油のリサイクルでたまプラーザを元気に! たまプラ油田プロジェクト 村田ちさとさん 東急沿線 街×人

使い終わった天ぷら油を再生して、たまプラーザで暮らす高齢者のためにバスを走らせたい! そんな思いから『たまプラ油田開発プロジェクト』を立ち上げた、村田ちさとさんにお話をうかがいました。

村田ちさとさん

PROFILE●むらたちさと
『たまプラ油田開発プロジェクト』代表。同時に「オールたまプラーザの健康・コミュニティづくり」の活動も。スポーツ・ウーマンでありながら多摩美術大学出身ということで動と静の両方を併せ持っています。リラックスできるのは包丁を研いでいるときと自分の呼吸に集中しているとき、とのこと。

将来的には、たまプラーザにコミュニティーバスを走らせたい。

すでに軌道に乗っている「TOKYO油田」を参考に、今回のプロジェクトを思いついたという村田さん。たまプラーザで回収した油の再生は、同じ運営会社にお願いしているそうです。
「TOKYO油田」が参加したエコイベントでの廃油回収の様子。油の空き容器やペットボトルなどで、たくさんの使用済み油が持ち込まれました。

──まずは“たまプラーザ油田”と名付けられた、このプロジェクトの内容を紹介して下さい。
家庭から出る使用済みの食用油を回収して、それをリサイクル業者さんに再生燃料(軽油の代わりになる植物性ディーゼル燃料)にしてもらう。そして将来的には、そのエネルギーでたまプラーザにコミュニティーバスを走らせよう、というプロジェクトです。たまプラで「次世代郊外まちづくり 住民創発プロジェクト」という取り組みがスタートしたときに、なんとなく面白そうだなと思って参加させてもらいまして。それが進んでいく中で提出した案なんですけどね。

──廃油のリサイクルだけでなくコミュニティーバスの運行までを、そもそもの最初から視野に入れていたのですか?
そうです。元々私は地域ケアプラザで、お年寄り向けの体操講座をやってたんです(ちなみに現在は少し形を変えて、やはり「次世代郊外まちづくり 住民創発プロジェクト」の一環として継続中)。その立地条件が悪かったというか、お年寄りが気軽に来られるような場所ではなかったんですね。ご近所の方やまだまだ元気な方は来て下さるんですが、でも少し離れたところに住んでる方にとっては本当に来づらい場所で。駅から遠いし、しかも坂の途中にある。そういう状況を改善するにはコミュニティーバスを走らせるのがいいんじゃないか、と思って。それと、もうひとつの理由として高齢者の方が運転する乗用車の事故が増えている、ということもありました。実際に私の友人が、そういう事故の被害者になったりもしましたし。それで、これは総合的になんとかしなきゃいけないと思ったんです。

──コミュニティーバスが走っていれば、ご高齢の方も安全に行きたい場所に行けるようになりますもんね。
震災のあと、お年寄りの方たちの生活不活動症候群が問題になりまして。人の邪魔にならないように静かに大人しくしてればいいや、というような考え方をして家に引きこもってしまう高齢者が増えたんですね。そうすると、そのうちに身体の内蔵機能までどんどん落ちていっちゃうんですよ。動かない。外部から刺激を受けない。何にも興味を抱かない。それって、ものすごくよくないことなんです。そういう観点からもコミュニティーバスの必要性を強く感じたんです。

課題は、とにかく廃油の回収ステーションを増やすこと。

昭和調剤薬局
東京ガスライフバル横浜北 たまプラーザ店
どちらのスポットも、油を持ち込む際はお店の方にお声掛けください。

──『たまプラ油田開発プロジェクト』は、いつ頃から動きはじめたのですか?
プロジェクトが立ち上がったのは一昨年の暮れぐらいだったと思います。それから準備をしてイベントなどで試験的に油を集めたりはしてましたけど、恒常的に集めはじめたのは今年の4月からですね。まだ3~4カ月です。

──ここまで活動してきて、いかがですか?
現在の課題は、とにかく廃油の回収ステーションを増やすことですね。一般の方が持っていけるのは「昭和調剤薬局」さんと、それから「東京ガスライフバル横浜北 たまプラーザ店」。今は、この2カ所だけですから。他にも、いいお返事を下さる方がたくさんいるんですけど、なかなか始まらないという現状があったりもします。

──それは何が問題になっているんでしょうか?
回収ステーションとして参加した場合、現実にどういった状況になるのかが見えない。それが二の足を踏ませているのかもしれませんね。たとえば“廃油を集める”というと、なんとなく始末に負えない汚いものが集まってくる、みたいなイメージがあるじゃないですか。もしかしたら現場が大変なことになるんじゃないか、とかね。だから、まずは先行してる回収ステーションを見てもらって、こういう状況ですから心配ありませんよ、ということを知って頂くのがいちばんいいと思っています。

──実際、回収ステーションはどんな状況なんですか?
持ってきてもらった油を丸いペール缶に入れて保管しておくんですよ。ネイビーブルーの、なかなかすてきな缶。使用済み油はペットボトルやビンに入れて回収ステーションまで持ってきてもらうんですけど、それをペットボトルやビンのままペール缶に入れるだけなんです。

──油自体を移し替えるわけではないんですか?
違います。そのまま缶に入れて、きっちり蓋を閉めておくっていうだけです。だから油がこぼれて汚れる、というようなことはほとんどないと思います。

草の根的な動きをして、しっかりと地域に定着させたい。

「家庭の省エネプロジェクト」PRイベントで、来場者に使用済み油の回収方法を説明する村田さん。回収した油は再生燃料にして発電に使用。電力を売却して、バスを走らせるための資金にしています。
会場では『たまプラ油田』の仕組みをパネルで紹介。

──先ほど“イベントでも試験的に油を集めた”というお話がありましたが。イベントというのは?
4月初めの「たまプラーザ桜まつり」と、それから6月の「家庭の省エネプロジェクト2014」のPRイベントのときですね。目的は、『たまプラ油田』のことを知ってもらうことと、それから回収ステーションの募集だったんですけど、そのイベントのブースで試験的に油の回収もやってみたんです。

──そこでの反応はいかがでしたか?
プロジェクトの説明を聞いて、その日のうちに家にあった廃油を持って戻ってきて下さった方もいました。ただやっぱり、そうやっていきなりポンとやるだけじゃダメだと思うんです。草の根的な動きをしていかないと、なかなか定着しませんよね。そういう意味では、まずは、『たまプラ油田』の活動を知ってもらうことが大切なんでしょうね。

──回収ステーションが近所にあって、そこに持っていけばいつでも引き取ってもらえる。という状況が確立されれば、もっと多くの人が自主的に協力してくれるんでしょうか?
そうなるといいな、とは思います。でも使い終わった油をペットボトルやビンに詰める作業自体が嫌だ、という人もいるでしょうしね。こぼれるとピカピカのキッチンが汚れるからやりたくない、とかね。だからイベントなんかでデモンストレーションをやるのもいいかもしれませんね。

──使用済みの食用油を、どうやってペットボトルやビンに移すか。それを実演するわけですか?
そうです。ジョーゴがあれば簡単にできますけど、なかったとしてもマヨネーズやケチャップの容器で代用できるんですよ。口の部分を切って、それをペットボトルに差し込めばいいだけなんで。やってるところを見せることで、こんなに簡単にできるし、しかもキッチンだって汚れないんだっていうことをわかってもらえるんじゃないでしょうかね。

資源がコンパクトなエリアで循環する。それが面白いし大切。

プロジェクトへの思い、たまプラーザの未来について、熱心に語ってくれた村田さん。

──使い終えた食用油がエコ資源になる、という話題から、こうして高齢化問題やキッチンの話になるなんて……。
面白いですよね。そういうふうに、いろいろなことが繋がってるんですよ。逆に考えると家で必要なくなった油を持っていったら、いつの間にかバスが走ってた、ということが面白いと思うんです。そうやって自分が出した油がどうなったかがわかるっていうのが大切。市民が参加して、しかもコンパクトなエリアで循環する。それが面白いし、すごく大切だと思いますね。それがうまくいけば、どんどん町自体も活性化するでしょうし。

──具体的には、いつぐらいまでにバスを走らせたいと考えていらっしゃるんですか?
本当は急いだほうがいいんでしょうけど、こういうのって焦って形にしようとすると、まわりの人たちが引いちゃう可能性もあるわけですよ。環境運動って、いつの間にか気付いたらマニアックな人たちだけで動いてた、みたいなことになりがちなんですよね。それじゃあ失敗だと思うんです。市民に根付いて、それがきちんと輪になっていかなきゃ意味がない。だから焦らずにやっていきたいですね。今は、あちこちに種を蒔いている段階で、そうこうしてるうちにどこかから火が付いて。一度火が付けば一気に燃え上がるんじゃないかな、と。だから努力を怠らずに、しっかりと地道にアピールしていこうと思ってます。

これからの社会を担っていく子どもたちのことも意識しながら活動。

村田さんをはじめ、住民が主体となって積極的にまちづくりを行っているたまプラーザ。春にはあちこちで桜が咲き、美しい景観が楽しめます。

──村田さんのお話をうかがっていると、たまプラーザという町に対する深い愛情を感じます。この町で、どれくらい暮らしていらっしゃるんですか?
ええと……もう32年ぐらいになるのかな。駅前に東急百貨店ができた年から住んでますから。

──たまプラーザの魅力って、どんなところでしょうか?
自己と他者の境目がはっきりしてるっていうかね、そういう方がたくさんいらっしゃる気がするんです。困ったことがあれば協力してくれるんだけど、でも何もないときはベタベタ接触しない。いろいろな考え方を受け入れることができる。そういった感じが魅力なのかなって私は思うんですけど。というのも、かつて私はドイツに住んでたことがありまして。日本に戻ってきたときに、いろいろな町に住んでみたんですが、どこも半年と続かなかったんです。それが、たまプラーザには30年以上でしょ。長く海外で暮らしてたせいでカルチャー的にギャップがあるような人間でも、すんなり受け入れることができる、そういうステップワークの軽さを住人の皆さんがお持ちなんだと思います。だから、『たまプラ油田』もうまくいくような気がしてるんですけどね。

──使用済み食用油のリサイクルでコミュニティーバスが走るようになったら、さらに住みやすい町になりますね。
『たまプラ油田開発プロジェクト』は次世代に向けての活動なので、それを常に念頭に置いてやっていきたいと思ってます。高齢化の問題と同時に、これからの社会を担っていく子どもたちのこともちゃんと意識してね。環境のことを考えたりコミュニティーバスを走らせたりすることによって、どういうふうに子どもたちの成長に関わっていけるか。そういった部分まで考えながら活動していきたいですね。

たまプラ油田 回収ステーション

たまプラーザ駅前商店会の会長も務める、店長の小松礼次郎さん。

昭和調剤薬局

[受付時間]
月曜~火曜 9:00~18:30/水曜~金曜 9:00~20:00/土曜 9:00~17:30

「『たまプラ油田』はメンバーとして、立ち上げから一緒に取り組んでいます。捨てるものがエネルギーになることもそうですが、回収しながら近隣の人たちとコミュニケーションがとれることが魅力だなと。コミュニティーで集めた油で、コミュニティーバスが走るっていう響きがまたいいですよね。使用済みの油やお中元やお歳暮の使わなかった油など、気軽にお持ちください!」

東京ガスライフバル横浜北の白川純さん(写真左)と東京ガスの後藤幹雄さん(写真右)。

東京ガスライフバル横浜北
たまプラーザ店

[受付時間]
9:00~17:30 ※日曜・祝日休み

「東京ガスグループ全体で省エネ・エコに力を入れている中、この地域の方が環境にやさしい『油田プロジェクト』に取り組んでいるということを知り、共感を覚え、協力しています。これからも多くの方に、このプロジェクトに興味を持っていただき、どんどんこちらのステーションに足を運んでいただきたいと思います」

更新:2014年8月11日 取材:2014年7月

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