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東急電鉄

地元を食べる 地元で食べる ~地産地消にまつわる人々~ 東急沿線で地産地消に取り組む“人”と、その“思い”にフォーカス。食やモノを通して彼らが伝えるものとは…

みずみずしい野菜や果物を作り続けている人たちがいて、その恵みを私たちのもとへと届けてくれる人たちがいる――。東急沿線で地産地消に取り組む、さまざまな人たちを紹介します。

VOL.6 仕掛け人 林 英史さん

PROFILE ● はやしえいじ

横浜市青葉区鴨志田町・寺家町周辺の郵便局やカフェの軒先を借り、夫婦二人三脚で生産した旬の露地野菜や米を販売する旬産旬消農家。農薬や化学肥料の使用をできるだけ抑えて栽培した露地野菜は、味にも見た目にも力があると評判です。

地域とつながる地産地消農家へ

寺家の畑で作業の合間に話を伺った、林英史さん・瑞穂さんご夫妻。
毎月第2・4日曜に、鴨志田地区のハワイアンダイニング「フラメシ」前で開催されている“鴨志田カモーンマーケット(通称カモカモマーケット)”。常連のお客さんとの触れ合いも直売ならではの楽しさです。
鴨志田郵便局前直売スポットは毎週月曜。

――林さんが農業を始められたきっかけを教えてください。

生まれは農家ではないんです。農業に興味があり学生時代に東京・稲城の専業農家の家に住み込んで、大学に通いながら畑や田んぼを手伝い始めました。大学を卒業してからは、一般の企業に一度就職したのですが、その後、農家としての研修期間を経て、5年ほど前に新規就農者になりました。 若いころは自給自足ができればいいなと、漠然と考えて始めただけだったのですが、今は作った野菜をみんなに食べてほしいと思い、青葉区内で直売も行っています。

――販売は直売所だけですか?

耕す畑の面積が徐々に増えて生産量も増えた結果、自分たちだけでは食べきれないし、作った物は食べ物として届けることも必要なんじゃないかと考えるようになりました。新規就農者なので販路については決まった所があったわけではなく、いろいろと試行錯誤をした結果、今は畑からも近い郵便局やカフェの軒先を借りての直売と、近隣の飲食店への食材卸しという地元での消費に加えて、知人の口コミで広がった宅配という3つの方法にたどりつきました。

――地元で販売することにこだわりがあるのですか?

地元消費にこだわるようになったきっかけは、2011年3月の東日本大震災です。震災によって流通が混乱し、一時、スーパーなどから野菜がなくなったことがありました。うちの畑に、直接、買いに来る人もいたほどで、周囲にこんなに農地があって、どうして野菜が手に入らないのかと……。それを見たら農家がもっと作った物を地元に届けるようにするべきじゃないかって思ったんです。

――地域のマーケットイベントにも、積極的に参加されていますね。

地元に作った物を届けるためにも、地域とつながることに、意識して取り組んでいます。地元で消費する取り組みを知っていただくためにも、地域の人の話を聞くことが大切ですし、自分たちがどういう思いで野菜を作っているかも伝えたい。地域イベントなどには機会があればこれからも参加したいと思っています。

“旬”を大切に少量多品種生産

青葉区周辺の約1.2haの田畑で、少量多品種生産を行っています。
スーパーの店頭では見ることが少ない、赤オクラ。珍しい野菜は直売でも喜ばれます。

――何種類くらいの野菜を販売しているのですか?

年間を通じて販売しているのは米と小麦です。あとは季節によってレタス、カブ、ブロッコリー、トマト、ナス、ピーマン、キュウリ、サトイモ、ホウレンソウ、ハクサイなど70種ほど。田園都市線沿線の方は安全・安心への意識も高く、目も肥えています。直売では、同じ物をたくさん並べるよりもいろいろあったほうが喜ばれるので、トマトやナス、ダイコンでも数種類の品種を育て、ルバーブなどの珍しい野菜も作るようにしています。

――ずいぶんたくさんの種類を作っているのですね。

横浜市は気候が温暖なので、いろいろな野菜を作りやすい環境なんです。農地も広大ではないので、周囲にもその特徴を生かした少量多品種農家が多いですね。それに季節ごとのおいしい物を少しずつ食べたい、という方が増えたように思います。レストランなどでも同じ料理を何度も食べるよりは、いろいろ食べたいでしょ。そういう要望に応えるためにも、“旬”を大切にした「旬産旬消」の野菜作りをしたいと考えています。

昔の人の知恵を大切に受け継ぐ農業

防虫のために野菜の列を挟むように植えた間作栽培の小麦。収穫後は製粉し直売所で販売します。
有機肥料をたっぷりと使って育てたトマトは、味の濃さが違います。

――栽培の方法に、林さんならではの工夫やこだわりはありますか?

私たちは、少し前の世代の農家が昔から大切に受け継いできた知恵や文化を再発見しながら、農業生産をしたいと思っています。例えば「間作」という作物と作物の間に別の作物を栽培する方法があるんですが、小麦を野菜の間に一緒に作ることで、害虫が広がるのを防いでくれるんですよ。

――小麦で害虫から野菜を守ることができるとは知りませんでした。

小麦は虫除け以外にも風よけになりますし、野菜と一緒に作ると農薬に頼らずに済むという昔の人の知恵ですよね。小麦は、畑で栽培されたり、田んぼの裏作で栽培されたりと、この辺りでは昔から生産されてきた作物なんです。こういう昔から受け継がれてきた作物や知恵を大切にしたいですね。

――昔の人の知恵が生かされた野菜は、きっとおいしさも違いますね。

野菜の栽培には土づくりが大切です。農薬や化学肥料はできるだけ使用せずに、肥料は稲わら・もみ殻・米ぬかを使った堆肥と、馬ふんと鶏ふんを使った厩肥(きゅうひ)を主に畑の肥料にしています。こうやって育てた旬の露地野菜は、やっぱり違いますね。味も濃いし見た目にも力強さを感じます。取引先の飲食店では「ディスプレイにしても見栄えがいい」と評価していただいていますし、直売のお客様には「味が濃く保存もきく」とおっしゃっていただいています。

旬の野菜を街の皆さんに届けたい

たまプラーザのデリ&バー“COVOLBA”では、はやし農園の旬の野菜を使ったメニューがいただけます。旬の野菜プレート“2色オクラのピクルスと水ナスの浅漬け”480円。
農家は毎年が1年生。米作りでは、経験のない気候の変化に苦心することも多いそう。

――今後の展望や夢をお聞かせください。

新規就農者として始めたので、農地を借りて農業をしています。そのため、田んぼと畑が青葉区内に点在し、作業効率が悪く、しかも「はやし農園ってどこの農家さん?」と聞かれた時に、はっきりと言えないんです。田んぼと畑をもう少し集約して、できることなら、寺家町を拠点にしてやっていきたいと思っています。

――『はやし農園』のブランド戦略ですね。

私たちは農家に生まれていないので、代々受け継いだノウハウはありませんが、一般の農家よりも食べる方に近い場所にいると思うんです。直売、飲食店卸し、宅配という3つの方法で販売しているため、直接、味の感想を聞くことも多いです。最近は今までにない台風や猛暑と、予想できない気候変動も多く、生産方法にも工夫が必要になっていますが、はやし農園の野菜は安心できる、と言ってもらえるようになりたいです。

――これからも、安全・安心な旬の野菜がいただけることを楽しみにしています。

天候に一喜一憂することもありますが、そんな思いも地域の皆さんと共有しながら野菜を届けていきたいですね。作った野菜を受け取った方が、料理という“技”で楽しい空間をつくり、おいしく食べていることを想像しているだけで自分も楽しくなるんです。「この街に農業があって本当に良かったね」そう街の皆さんに言っていただけるよう、農家として取り組んでいきたいと思います。

今、僕らのような飲食店では、食材の安全・安心が大切です。その点、地元の農家さんが作る、生産者の顔が見える野菜は安心して使うことができます。

はやし農園さんの野菜は、野菜自体の味が濃いので、素材を生かしたシンプルな調理法がおいしさを引き出すコツですね。

農家さんは忙しいですから、なかなかお店には来ていただけませんが、林さんにもぜひ一度、食べに来てほしいですね。

COVOLBA
白倉 喬さん

はやし農園さんの野菜は、甘みが強く味があると言うCOVOLBAマネージャーの白倉さん。グループ店のチーフシェフが、“カモカモマーケット”に出店されているはやし農園さんの野菜を気に入り、メニューに使い始めたのがきっかけでお付き合いが始まりました。

更新:2014年9月4日 取材:2014年8月

東急沿線 地産地消マップ
特集「地元を食べる 地元で食べる」で紹介してきた東急沿線の地産地消スポットをGoogleマップでチェック! 各ポイントをクリックすると、写真や詳細情報を見ることができます。

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