スマートフォン用ページへ
東急電鉄

東急沿線 街×人 住宅街がアートの舞台に! AOBA+ART 作家担当 海老澤 彩さん 

“第二の田園調布”と呼ばれる閑静な住宅街、青葉区美しが丘を舞台にスタートしたアートプロジェクト『AOBA+ART』。地域住民と作家たちが中心となって続けられてきたプロジェクトは、地域の魅力を創出する活動として、今やなくてはならないアートイベントに。発足から7年目を迎え、地域の中で美しい街並みと共存して残るアート作品を振り返る『リビング・アーカイヴ展-作品と暮らす街-』の開催に向け、作家担当として住民や作家らとの調整に奔走する海老澤彩さんにお話を伺いました。

海老澤 彩さん

PROFILE●えびさわあや
2009年にサポートスタッフとして『AOBA+ART』に参加。2011年より中心メンバーとして各プロジェクトの企画およびキュレーションに携わる。ここでの活動は、すべてボランティアのため、ほかの仕事との時間調整に苦労するとか。アートを一歩離れると、スポーツ大好き女子に変身! プロバスケットリーグのJBリーグ観戦に熱中するそう。

作家と住民がつくり上げたアートプロジェクト

AOBA+ARTインフォメーションセンター前の実行委員メンバーと作家たち。(2011年/撮影:Mitsuhiro Ikeda)
ライトペンを使った公開ワークショップ「緑風会×PiKAPiKA」。(2012年/アーティスト:トーチカ)
さまざまなアートプロジェクトを住民とともにつくり上げるAOBA+ART実行委員会メンバー。

――『AOBA+ART』とは、どのようなアートプロジェクトですか?
作家である本間純を中心に、アートを美術館の中だけではなく、街の中に溶け込んだ、誰もが気軽に楽しめるものにしたいというコンセプトで2008年にスタートしたアートイベントです。住民を中心に構成された民間団体によって、青葉区美しが丘の住宅街を中心に美術展を開催しています。

――住宅街の中で美術展を開催するというのはユニークな試みですね。
横浜市の大規模アートプロジェクト「横浜トリエンナーレ」が開催された2001年に、その一環として美しが丘の住宅街でも「青葉トリエンナーレ2001」というアートプロジェクトが、民間ボランティアによって開催されました。それが今の『AOBA+ART』につながっています。『AOBA+ART』実行委員会のメンバーの半数が住民の方たちですし、住民のアートに対する意欲や感性が『AOBA+ART』を支えていると言えますが、民間の任意団体によるアートプロジェクトが発足以来7年も続いているのは、とても珍しいことですね。

――ここまで長く続くとは思っていなかった?
私自身は2009年にサポートメンバーとして参加し、企画などにも本格的にかかわるようになったのは2011年から。だから発足当時のことを詳しくは知りませんが、ただ、まるでサーカス団のように、お祭り騒ぎの集団がやって来て去って行くようなプロジェクトにはみんな疑問をもっていました。だから、この『AOBA+ART』は、少なくとも10年は続けたいと、そんな考えが当時からありました。

――長く続けるために意識していることはありますか?
作家自身の発案で始まったこともあり、最初は“こういうものを作りたい”という作家としての思いが強かったように思います。その結果、個人の住宅というプライベートな空間にアート作品が置かれているという、とてもユニークなスタイルを生み出すことができましたが、私は作家の持ち味を大事にしながらも、長期的な広がりを意識するようにしています。作家の制作意欲がモチベーションとなって進んできたプロジェクトに、長期的なプランの道筋をつけてあげることが私の役割かなと。

商店街とのコラボで街ぐるみのアートプロジェクト

商店街とのコラボ企画として、たまプラーザ冬の風物詩となりつつある「たまプラNIGHT WALK」。(写真:2013年)
AOBA+ARTのプレイベントとして、たまプラーザ夏祭りに出店。(写真:2013年)
「たまプラーザ桜まつり」でのキッズワークショップ。(写真:2014年/アーティスト:大津芳美)

――商店街とのコラボレーション企画にも積極的のようです。
過去の主な開催場所であった美しが丘3丁目エリアは、たまプラーザ駅から坂を上った高台にあり、エリアとしての広がりに乏しいと感じていたんです。もう少し駅寄りのエリアにも活動の幅を広げたかったし、長く活動を続けるためにも、商店街とのつながりをつくりたいと思っていました。

――2013年には「次世代郊外まちづくり住民創発プロジェクト」に認定されました。
毎年12月に美しが丘公園で行うイルミネーションイベントを、『AOBA+ART』がデザイン監修するという提案を並行して進めていた時でした。そうした時に横浜市と東急電鉄が支援する「住民創発プロジェクト」に認定されたことは、商店街とのコラボレーションにも弾みがつきました。

――どのようなコラボ企画を?
たまプラーザ中央商店街のイベントであった「たまプラNIGHT WALK」をコラボイベントとして開催しました。『AOBA+ART』は美しが丘という狭いエリアのアートプロジェクトということもあって、一部の人だけが知る存在でしたが、このイベントで『AOBA+ART』の認知度が以前よりも上がったと思います。最近は詳しく説明をするまでもなく「次世代のアレね」と言われることが増えました。

――イベントの反応はいかがでしたか?
企画の一つとして、スタンプを集めながら歩くミステリーツアーを企画したのですが、景品として用意したクーポンがあっという間に無くなる盛況ぶりでしたね。クーポンが使えるたまプラーザ中央商店街主催の「たまプラーザ軽トラ元気市」でも、クーポンの利用率が例年と比べ高かったという話を聞き、地域を盛り上げるコラボ企画になったことをうれしく感じています。

――「住民創発プロジェクト」の認定効果は大きい?
そう、人脈も一気に広がりました。「住民創発プロジェクト」にはいろいろな人が参加しているため、お互いの情報交換会のような場所があります。そこが相談会のようにもなっているので、困った時に相談すると、「それならこの人がいるよ」という感じで最適な人を紹介してもらうことができます。街の動きもよくわかるようになり、より地域と一体となったアートプロジェクトやコラボ企画を実現しやすくなったと感じています。

街そのものがアート作品になる!?

住民が夕飯のメニューを葉っぱの形の黒板に書いて公開する、ユニークなプロジェクト「青葉食堂」。(写真:2013年/アーティスト:池田光宏)

――『AOBA+ART 2014』は、これまでとは少し違ったプロジェクトになりそうですね。
住宅街を舞台にした美術展ということは同じなんですが、街そのものを作品として見る『リビング・アーカイヴ展-作品と暮らす街-』と題した美術展を開催します。『AOBA+ART』が2008年から2013年までの6年間で作ってきた作品が、住民の暮らしの中で保存されています。6年分の作品が地域の記憶として残る街そのものに着目した、私自身にとっても新しい試みなんです。

――街の姿自体が作品になるのですね。
“アーカイヴ”とは、文書などの記録を保存する時に用いられる言葉ですが、作品と共存するこの地域には、この地域ならではの独自のアーカイヴの姿があると考えました。2008年から続いているプロジェクト「青葉食堂」では、住民の方が自発的に黒板型作品を住宅の門扉に展示してくださいましたし、この街には、アートに対する意欲を感じるんです。

たまプラーザを芸術・文化の発信拠点に

会期中は、横断幕やのぼりでたまプラーザの街がAOBA+ART一色に。(写真:2011年)
『AOBA+ART2014』のメインプロジェクト「Lat/Long Project」(写真:2013年/アーティスト:谷山恭子)。
「民間のボランティア団体が続けているアートプロジェクトととして記録し、後の世代へ引き継ぎたい」と笑顔で話す海老澤さん。今回の“アーカイヴ”という試みはこの思いから生まれた。

――メイン作品ではどんなものを?
今回、メインプロジェクトとなるのは、2008年から参加している谷山恭子による「Lat/Long Project」です。東日本大震災で家も何も無くなってしまった土地を見た時に、「自分の居場所を教えてくれるものは“緯度”と“経度”だけだと感じた」と谷山は言います。作品では、GPSで測定した緯度と経度の交点のポイントに目印となるオブジェを置き、スタンプラリー感覚で巡り「いま、ここに居る」という感覚を参加者自身に感じていただきます。開催期間中は駅前にインフォメーションセンターを設置し、来場者には地域住民へのインタビューをもとに制作した冊子「街のはなし」をお配りして、街にまつわるエピソードも知っていただけるようにします。同時にAR(拡張現実)を駆使したARマップで、お散歩気分で街歩きを楽しんでいただけるようにすることも考えています。

――アート鑑賞だけでなく、仕掛けがいくつもあってワクワクします。
作品を言葉で説明することは難しいですし、ワークショップやガイドツアーなども予定していますので、ぜひ実際に体験して感じてほしいですね。地域住民でなくとも参加することでどんな街なのかを知ることができ、街への思いを共有することで、楽しさが膨らむはずです。

――『AOBA+ART』は、地域住民からも恒例行事として期待が高まっているようです。芸術・文化の発信拠点としてこれからも長く続けてほしいです。
こうしたエピソードを持っている街というのは、街が豊かだといえると思うんです。たまプラーザは新しく開発された街なので、古い神社やお祭りというものがありません。でも、受け継いできた歴史がないから、住民が自分たちでイベントやお祭りを通して、地域文化をはぐくもうという思いがとても強いのではないかと思うんです。今回のプロジェクトは、さまざまな地域活動を外部へとアピールすることにもなり、街のために活動する住民の思いをより強くするのではないでしょうか。これからも地域の新たな恒例行事を生み出しながら、『AOBA+ART』が魅力的な芸術・文化の発信拠点となるよう、活動していきたいと思います。

AOBA+ART2014 リビング・アーカイヴ展 ― 作品と暮らす街 ―
期間2014/9/20(土)~10/5(日)
場所たまプラーザ駅周辺・遊歩道・美しが丘住宅街 ほか

「AOBA+ART」が、たまプラーザにある美しが丘の住宅街で美術展を開催して今年で7年目。今年はこれまでの6年間の展覧会を経て地域に残されてきた作品が、暮らしとともに保存されている点に着目。住宅地に点在するそれらの作品を楽しむ企画となっています。また駅から住宅地への導線には、もうひとつ仕掛けが…。緯度と経度の交点に目印となるオブジェが配置され、配布される地図やARマップを使って、場所や作品の情報をチェックしながら街歩きができるというものです。週末には駅前に案内ブースが設置。来場者へのサポートが行われ、お散歩ガイドツアーも日時限定で実施されます。

更新:2014年9月12日 取材:2014年9月

コメント

  • 本コメントはFacebookソーシャルプラグインを使用しており、これによって生じた損害に対して当社は一切の責任を負いません。
  • コメントを投稿するにはFacebookにログインする必要があります。

おすすめの記事