スマートフォン用ページへ
東急電鉄

東急沿線街×人 子どものココロに芸術を 二子玉川ビエンナーレ 二子玉川ビエンナーレ実行委員会 中田綾さん 

二子玉川の街をアートギャラリーに変える“街かど芸術祭”として、2012年に開催された第1回『二子玉川ビエンナーレ』。2日間の開催にもかかわらず、動員数2万人を超える一大イベントとなりました。その第2回が、2014年11月1日(土)、2日(日)、3日(月・祝)の3日間にわたり開催されます。その仕掛け人であり、二子玉川の認可外保育園「ロハスキッズ・センター クローバー」の園長でもある中田綾さんにお話を聞きました。

なかたあやさん

PROFILE●なかたあや
「ロハスキッズ・センター クローバー」園長。2009年よりアートディレクター・梅沢篤氏とともに園内で子どもの作品展「kids art」を開催。2012年、作品展を地域に広げる試みとして『二子玉川ビエンナーレ』を開催。実行委員会代表を務める。部屋いじりが大好きで、ホームセンターで工具を眺めているのが至福のときだとか。

始まりは保育園でのアート作品展

二子玉川の自然の中での“外遊び”が子どもたちを豊かに。
子どもたちが何カ月もかけてアート作品を作成させた「kids art」。
木製の世界地図にくぎを打ち、赤い毛糸を使って、人と人のつながりを表現した「スモールワールド」。

――まず中田さんが園長をされている「ロハスキッズ・センター クローバー」についてお聞きしたいんですが、目の前に多摩川があって気持ちのいいロケーションですね。
一番子どもたちに見せたいのが保育園の窓からの景色です。一年を通した四季の移ろいを“定点観測”できますから。やはり二子玉川で過ごす子どもたちなので、多摩川の景色を大事にしたいんですね。

――場所柄、やはり多摩川で遊んだりするんですか?
それがほとんどメインです(笑)。子どもというのは思い切り“外遊び”することで豊かになると思っています。自然の豊かな環境で遊ぶと、季節の移り変わりに気付くことができる。気付きがある子どもは、とても心豊かになります。例えば、緑の色が変わるとか、いつも虫がいなかったのに虫が増えてきたなど、そういった感覚的なものですが、日々の気付きがあります。ですから、まずは空の下で、風を感じて遊びたおすのが一番大切と思い、子どもたちとなるべく外で過ごすことにしています。

――『二子玉川ビエンナーレ』の前身は、保育園での子どもの作品展「kids art」だとお聞きしているんですが、どうしてアートの展示会を?
私たちの保育園では、地元の人と一緒に多摩川の清掃活動をしたり、会社見学をしたりといった独自のプログラムを行っています。そのひとつとして、アートディレクターの梅沢篤さんに協力してもらって、美術館ツアーや作品制作などを行う“アートプログラム体験”をしています。その一環として、梅沢さん監修の下、子どものアート作品展「kids art」を2009年、2010年、2011年と3回開催しました。

――この保育園をギャラリーに?
そうです。例えば、2009年の展示会のときには、壁を白ダンボールで覆って白壁にして、保育園がギャラリーになったような演出をして作品を展示しました。わたしたちの保育で大事にしていることが、「子どもたちのショックを大事にすること」なんです。「わー、びっくり」もそうですし、「すごい」もそうです。ちょっとしたプラスαの感情から、何か生まれてくると思っています。「kids art」のときも、環境が変わったときの「何、ここは!?」という驚きを子どもたちに感じさせてあげたかったんです。

――子どもたちも作品作りでは実際に手を動かして?
もちろん。何カ月かかけて製作をします。わかりやすくいうと、高校の文化祭みたいな感じです。アートディレクターの梅沢さんがアイデアの種を子どもたちに伝えて、それを子どもたちが膨らませて、それを梅沢さんがどんどん作品にしていくというもので、とても面白い体験でした。

『二子玉川ビエンナーレ』開催の一番のきっかけは、東日本大震災

アートを通して、子どもたちが地域とつながることを願っていると語る中田さん。
子どもたちのパワーで地元に元気を届けたい、という気持ちもあったそう。
「アートは生活の中にある身近なもの」と子どもたちに伝えたいという思いもあるそうです。

――保育園でのアート作品展が、どうして『二子玉川ビエンナーレ』にまで広がったのでしょう?
子どもというのは、地域社会の中で育てないといけないと思っています。もちろん、わたしたち保育者という身近な大人も大事ですが、広く社会とかかわることで、より豊かになります。ですから、地域で育てることが大事。そのために、子どもたちが自分の街の人たちと自然にかかわれる“場”を、わたしたち大人がつくってあげなければいけないと以前から考えていました。

――それで街を含めたアートイベントに?
直接のきっかけは、2011年の「東日本大震災」です。わたしの生活の中では、戦争など大きな出来事はそれまで一度も経験したことがありません。ところが震災が起きました。震災の後、バスで二子橋を渡っているときに、子どもたちが毎日過ごしている二子玉川のこの景色が、なくなる可能性だってあるということを実感したんです。また震災の後は、放射能の問題もあって多摩川で遊べない日々が半年ほど続きました。そのときに、これではいけないと思い、子どもたちの地元の街で、思い出となるようなイベントをつくってあげたいと思いました。

――身近に起こった震災が大きなきっかけだったんですね。
はい。それが一番です。あと、世の中の情勢がいくら変わろうと、子どもたちはいつも変わらず子どもたちなんです。キラキラするようなパワーで前を向いて毎日生きている。そんな元気を、地元の人たちに発信して、何かしら元気を届けられたらなという思いもありました。そういったいろんな思いがこのときに重なって、梅沢さんと一緒に思い切って一歩を踏み出すことにしました。

――とはいえ実際に実現させるには、かなりハードルが高かったと思うのですが。
まず子どもたちのエネルギーがすごいのと、今やらなきゃという私の思いが強くて。想いに共感したメンバーと実行委員会を立ち上げて、二子玉川ビエンナーレがうまれました。人と人をつなぐ役割として、地域の店舗や企業の方々に「二子玉川ビエンナーレ」の想いを伝える。そうやって想いに賛同してくださった方々、企業の力添えで開催に至りました。

人と人が出会って、パッと高揚して、何かが生まれる!

イベントのシンボルマーク。赤い顔とロゴの英字にはある願いが…。
第1回『二子玉川ビエンナーレ』で展示された、バルーンドレスのアート作品。

――ここで改めて、『二子玉川ビエンナーレ』とはどういうイベントか教えてください。
二子玉川ライズのガレリアと、玉川高島屋S・C、多摩川河川敷、近隣のショップやカフェを会場として、国内外で活躍しているアーティストの作品展示や、親子で楽しめるワークショップなどを開催するアートイベントです。遠くからいらした方はもちろんですが、地域に住んでいる方々に、より楽しんでいただける地元密着型の芸術祭となっています。

――どういったテーマを掲げているのでしょう?
保育園から始まったアートイベントですので、子どもたちの心がより豊かになってほしいという思いを込めて、「子どものココロに芸術を。」というのが、コンセプトです。ちなみにイベントを紹介する冊子などに、顔を真っ赤にした子どものシンボルマークが描かれていると思うんですが…。

――この子どものキャラクターですか?(写真参照)
はい。実は、この色はこの子が高揚していることを表しているんです。興奮してパーッと赤くなっている。それと、この“FUTAKO TAMAGAWA BIENNALE”の文字ですが、アルファベットの重なるところがすべて赤くなっているのですが、これにも意味があります。人と人が出会ったり、何かと出合ったときには、何か必ずパッと高揚して、何かが生まれて、心が豊かになる…そんな瞬間を意味して、重なりの部分を赤にしているんです。あとは、「子どもから大人まで楽しめるイベント」ということも大切にしています。とにかく子どもから大人まで、このイベントを通して皆さんが何かと出合って、つながって、心豊かになってもらえるとうれしいですね。

――第1回は2012年に開催されていますが、2013年のイベントはお休みだったのでしょうか?
本来は“ビエンナーレ(2年ごとに行われる美術展)”ですから、1年お休みする予定だったんですが、おかげさまで好評で。2013年もぜひということになり、『二子玉川ビエンナーレ』から派生したアートイベントとして『二子玉川アート・デポ』を開催しました。“デポ(Depot)”とは、英語で“未完成品のものの置き場”という意味です。これを“作りかけの作品”や“イベントの制作作途中”に置き換えて、会場にいらした皆さんと共に作品を完成させていくようなイベントにしました。会場をガレリアに限定したイベントながら、大変多くの方々にご参会いただけました。今年は、さらに皆様に楽しんでいただけるようにがんばります。

音楽が流れ、世界とつながるようなアートイベント

好評の、放送作家・蔵本美津留氏による「巨大カルタ」大会も開催されます。

――今年の『二子玉川ビエンナーレ2014』の見どころは?
アートに加えて、音楽を取り入れているのが、前回と違うところです。音楽隊が、いろんなショップや、ガレリアや、多摩川河川敷を、演奏しながら練り歩いていく予定です。またガレリアと玉川高島屋S・Cにて、原始的なクラシックの響きを楽しめる、金管アンサンブルの演奏や管弦楽団によるミニコンサートを開催致します。

――音楽が演奏されると、ますますにぎやかで楽しい3日間になりそうですね。
ぜひそうなってほしいと願っています。また今回は、「二子玉川から世界へ」ということをテーマに、海外アーティストも参加します。海外で活躍するアーティストとPCを通して作品に触れることができます。国内外で活躍するアーティストがガレリアという場所でひとつになるような、そんな会場作りができればなと考えています。

二子玉川の街とともにある“地元のお祭り”に

2012年の『二子玉川アート・デポ』で開催された、加藤翼氏による巨大な小屋の「引き倒し」。
「ハロウィーンマスクワークショップ」を 楽しむ子どもたち。

――今後、このビエンナーレをどのようにしていきたいとお考えですか?
このイベントはわたしたちがつくるものではなくて、当日参加された方と一緒につくっていくイベントだと考えています。ですから、今後こうあるべきというのはありません。コンテンツとかはもちろん決めていきますけど、最終的には、当日参加いただいたすべての人、子どもも大人も地元の方も、皆がつくり上げていく、初めてそこでビエンナーレが出来上がると思っています。あえていうならば、二子玉川の街とともにある“地元のお祭り”になっていくことが、一番の希望です。

――地域でつくり上げていきたいという思いが強いんですね。
はい。ずっと続けていきたいイベントなので、駆け足にしたくないという思いもあります。環境や“場”は、時間が自然につくり上げてくれるものだと思っています。ですから、『二子玉川ビエンナーレ』も、皆さんと一緒につくっていき、自然にいろんな色に変わっていくのが面白いと考えています。ゆっくり自分たちのペースで地域の方々とつくり上げていければ良いと思っています。

――最後に、中田さんにとって二子玉川はどういう街でしょう?
住んでいる人たちが、住んでいる街で、すてきな時間を過ごしているところが魅力だと思います。オフのときも住んでいる街で過ごせる。どこか別の場所に行かなくても、ここにすべてがあります。自然も豊かで、楽しめる場所もあります。また世代が幅広く、おじいちゃんおばあちゃんもいて、赤ちゃんもいるし、子どもも多い。だから街全体がバランスよく、暮らしていて落ち着きます。そこが一番の魅力だと思っています。

更新:2014年10月29日 取材:2014年10月

コメント

  • 本コメントはFacebookソーシャルプラグインを使用しており、これによって生じた損害に対して当社は一切の責任を負いません。
  • コメントを投稿するにはFacebookにログインする必要があります。

おすすめの記事