スマートフォン用ページへ
東急電鉄

東急沿線 街×人 世田谷の“キラ星”を 応援するコミュニティを 世田谷まちづくりファンド運営委員 水谷衣里さん

「未来の世田谷のまちづくりを担うキラ星グループを生み出し」、そして「その担い手を応援するコミュニティをつくること」をコンセプトに7月に設立された、世田谷まちづくりファンド助成事業『キラ星応援コミュニティ部門』。幅広い層を集めて開催されたギャザリングイベントでは、新たな部門設立に向けて、熱い議論が行われました。そんな新部門誕生の推進役、世田谷まちづくりファンド運営委員の水谷衣里さんにお話を伺いました。

水谷衣里さん

PROFILE●みずたにえり
世田谷まちづくりファンド」運営委員。三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社の副主任研究員として、NPOやソーシャルビジネスの支援に携わりながら、個人としてもこうした活動に関わる。 世田谷に暮らす一児の母という側面も。休日に公園で子どもと過ごす時間が何よりも楽しいと話します。

キラッと光るキラ星と、応援するコミュニティづくり

「世田谷まちづくりファンド」が、これから20年先の世田谷を考え、新しい助成部門をスタート。
ギャザリングイベントに集った人々の、キラ星応援コミュニティ部門に対する思い。

――まず水谷さんが運営委員を務める「世田谷まちづくりファンド」についてお聞きしたいのですが、どのような仕組みのものなのですか?
世田谷まちづくりファンドは、その名の通り、世田谷で取り組まれているまちづくりの活動を応援するためのファンドです。公益信託を活用した市民ファンドとして、約20年前の1992年に、全国に先駆けて誕生しました。地域に暮らす人たちが、自分の意思で地域を良くする活動を始める。それを資金面からバックアップする手段のひとつですね。

――その財産の運用方針や助成先の選定をボランティアで行っているのが、水谷さんたち運営委員ということですね。
運営委員は区内外のまちづくりの専門家やまちづくりに携わる市民、行政職員など、様々な背景を持つ人によって構成されています。地域の課題解決力を底上げするために、またそれによって世田谷が魅力的な街になるために、まちづくりファンドという財産をどう活用すればよいのか。そんなことを考え、基金の運用の方向性を考えているのが私たち、ということになります。

――そして今回新たに始まったのが、『キラ星応援コミュニティ部門』ですが、このキラ星応援コミュニティとはどういう意味なのですか?
“キラ星”とは世田谷でキラッと光るまちづくりの担い手のこと。“応援コミュニティ”は、その担い手たちを応援するコミュニティをつくる、という意味を込めて名付けました。 まちづくりの活動は、まちに暮らす一人ひとりの「なんとかしたい!」、「これを変えたい、広げたい!」という気持ちに裏打ちされて始まることが多いと思います。助成金を出すだけでなく、そうした取り組みに対して共感する人たちが応援する、そんな仕組みや仕掛けをつくりたいと思っています。

“プロボノ”による伴走支援で活動を後押し

『キラ星応援コミュニティ部門』では、メンターは3名程度でチームを組んで支援を行う。

――世田谷区民を巻き込んだコミュニティづくりをしたい、という思いがあるのですね。
今回の『キラ星応援コミュニティ部門』では、1年間に最大で3団体への助成を行います。また、資金の提供だけでなく、助成先の活動を後押しする“伴走型支援”という方法を取り入れます。この“伴走型支援”とは、助成先に対し助言などを行う相談役として、継続的に支援をするメンターを選出。 団体が目指す活動のゴールに向かって共に走る伴走者になってもらうというものです。メンターは、世田谷区の内外から“プロボノ”を募ります。

―― “プロボノ”とは、具体的にどのようなものでしょうか?
一般的には、企業人として働いた経験や、専門知識を持っている人たちが、その知識やスキルを生かしてボランティア活動を行うことを指します。キラ星応援コミュニティ部門のメンターの場合は、世田谷まちづくりファンドが培ってきた20年の歴史を生かしたいという気持ちもありますので、世田谷のまちに詳しい人も、メンターになりえると思っています。助成団体によって抱える課題はさまざまですから、その課題解決に寄与できるメンバーとして、助言やサポートを行う役割を担います。

ギャザリングイベントで問題意識を共有

第1回ギャザリングイベントのゲストは、NPO法人ソーシャルベンチャー・パートナーズ東京代表理事 岡本拓也さん
第2回のゲスト、公益財団法人あいちコミュニティ財団の木村真樹さんとのトークセッション。
NPO法人ETIC.横浜ブランチの田中多恵さんは、第3回イベントで横浜での実践を披露してくれました。

――新部門設立に関連して、事前に4回のギャザリングイベントを開催されたとお聞きしました。これはどのような目的で?
1年ほどをかけ、運営委員が新部門の準備を進めてきたわけですが、 実際にスタートするには、メンターをはじめ、この部門に協力したい、一緒にやりたい、創りたい、と考える方たちの存在が不可欠でした。そこで、新たな部門を設計する段階から、制度設計側である私たち運営委員と市民の皆さん、そして市民の皆さん相互が対話する機会を設けようと。 4月から7月までに毎月1回、二子玉川カタリストBAでギャザリングイベントを開催しました。

――助成部門の制度設計を参加者が自分たちで行うのですか?
もちろん運営委員だけで決めてしまうこともできるんですが。でもそれでは、メンターとなって伴走していただく必要のある方たちに、当事者意識が生まれてこない。 だからこそ、時間と手間をかけても、ギャザリングという形で関心のある人が関わる場を持つ必要があると思ったのです。

――こういう取り組みはほかでも行われているのですか?
そうですね。新たなまちづくり支援の仕組みをつくるためには、社会課題に挑戦する人を応援するコミュニティが必要なんだと感じています。すでに全国各地で伴走型支援は始まっていて、 ギャザリングイベントでも1~3回目までは、こうした他地域の事例を知っていただこうと、すでに取り組みを始めている“先輩たち”をお招きしました。どうやって応援コミュニティをつくるのか、どうやって具体化すればいいのか、などについて実践に基づいた形でお話いただき、世田谷での取り組みについて考える時間を持ちました。

対話を重ねて新部門設立へ

3回目のギャザリングでは車座トークで延長戦。
第4回のギャザリングイベントで使用されたロードマップ。
旗を制作した東工大の学生たち。大人たちの真剣さに触発されて、自らお祝いの旗を制作。

――ギャザリングイベントの結果はどうでしたか?
開催する前は、「メンターが見つかるだろうか?」「どんな反応があるだろうか?」と思いを巡らせていました。でも開催してみると、毎回多くの方々が参加してくれて…。1回、2回と回を重ねて、6月の3回目には「あれっ、場の空気が変わった」って感じた瞬間があったんです。 当初のプログラムが終了した後、 大勢の参加者が車座になって、それまでに出た意見をもとに、「世田谷らしい応援コミュニティって何だろう?」と、夜遅くまで話し合いました。 そんな中、自分からメンターになろうという人が何人も現れたんです。

――参加者が一つになった瞬間ですね。
それで4回目のギャザリングでは、いよいよ新部門の設立を正式に発表したんです。 会場の真ん中に、新部門の検討開始から、設立発表と公募開始、助成先決定、今後の予定までを書き込んだロードマップを置き、キラ星応援コミュニティ部門設立の今までの軌跡とこれからの航路を、模造紙や紙コップ、おはじきなどの小道具も使ってシミュレーションしました。新部門の進む道筋をもう一度みんなで確認しながら、自分はキラ星応援コミュニティ部門にどう関わろうか、と、みんなでイメージを膨らませる時間を設けたわけです。こうやって作戦会議を行った後、最後は皆で新たな部門の船出をお祝いしました。

――なんだか世田谷のこれからが楽しみ。ワクワクします。
もう1つ、お話しておきたい印象的な出来事があります。4回目のギャザリングイベントの最後に、世田谷区の形を帆に見立て、人々が帆船に乗って出航する姿を描いた、大きな旗が登場しました。現在、「世田谷まちづくりファンド」は、東京工業大学の土肥真人准教授が運営委員長を務めていらっしゃいますが、その土肥研究室の学生が作ってくれた物なんです。さらに「キラ星部門の船出」のお祝いに、動画も作成してくれたんですね。当日初めてその存在を知って、私もびっくりしました。でもこれは、 誰かが「作って」とお願いしたわけでもなく、自主的に学生たちが作ってきたんですね。 学生の皆さんは、ギャザリングはもちろん、その準備の過程にも時折同席してくれていました。 そこで大人たちが真剣に考え、熱く語っている。そんな場面を見て彼らも何か感じるものがあったのでは。まさに“応援コミュニティ”の姿を表現したような出来事でした。

世田谷の未来を一緒につくりましょう!

『キラ星応援コミュニティ部門』の船出にあたり、思いを書き込む参加者たち。
第1次審査終了後、メンターが発表されました。
世田谷のキラ星には、「こういう団体なら応援したい、と思わせる魅力も大切」と話す水谷さん。

――今後は『キラ星応援コミュニティ部門』はどのように進むのですか?
1次選考を終えた段階で、通過した団体には、いくつかの宿題を出しています。 団体は、1次選考後に決まったメンターと共にその宿題に取り組んでいて、12月6日に開催される本審査会で、助成先が決定となります。

――ひとつの大きな区切りとなるわけですね。
でも『キラ星応援コミュニティ部門』は、助成先とメンターが決まれば終わりではないんです。私たちには“キラ星”をつくることともう一つ、“世田谷でまちづくりの担い手を応援するコミュニティをつくろう”という目的があります。 例えば、地域の中で何らかの課題を抱えていて、市民活動にも興味がある。でも時間やいろいろな都合で深くはかかわれないという人はいると思うんです。短期間なら参加できる。とりあえず世田谷まちづくりには関心がある。そういう方々が広く集まる場所が必要だと思っています。そこでメンター制度と並行して、“キラ星サポーターズネットワーク”という仕組みも作りました。

――参加したら何をするのでしょうか?
何をしなければならない、という義務はありません。 登録した人たちには、今後は助成先として採択された団体や『キラ星応援コミュニティ部門』の活動状況などについて、SNSなどを使い配信し情報を共有できればなと思っています。 あとは団体のニーズによって、スポット的に協力していただく機会も作れるといいなと。 そしてさらには、その中から新たなメンターとなる人が出てくるといいなとも思っています。

――まだ始まったばかり。いろいろな人たちに広く知っていただくことが必要ですね。
そうですね。 『キラ星応援コミュニティ部門』では、キラ星である助成団体だけが成長するのではなく、さまざまな人が関わる機会を作りながら、それぞれがそれぞれのペースで楽しんだり、成長できたりする場になればと思っています。まちに関わるひとつのきっかけを作っていきたいですし、柔軟に運営しながら、よりよい姿をみんなで創っていきたいです。

――最後に、水谷さんにとって世田谷はどういう街でしょうか?
街はただ住んでいるだけでは、おもしろさは感じられないと思うんです。緑が多い、都心が近いなど、世田谷には街としての魅力があります。でもそれだけでは特別な場所にはならない。 私にとっての街は、人と出会って一緒に何かをすることで初めて愛着がわいてくるもの。住み始めたのは偶然ですが、この活動にかかわるようになって、いろんな人と出会い、真剣にディスカッションし、どんどん愛着が深まってますね。未来の世田谷を作る新しいチャレンジを、皆さんもぜひご一緒に!

※「futacolab」「せたがや水辺デザインネットワーク」は、第21回 公益信託世田谷まちづくりファンド助成事業「キラ星応援コミュニティ部門」に採択されました。

更新:2014年12月1日 取材:2014年10月

コメント

  • 本コメントはFacebookソーシャルプラグインを使用しており、これによって生じた損害に対して当社は一切の責任を負いません。
  • コメントを投稿するにはFacebookにログインする必要があります。

おすすめの記事