大田の“モノづくり”と地域住民をつなぐ“創造製作所”



くりらぼ多摩川
多摩川の下流付近に位置する東京都大田区。昭和の最盛期には約9,000もの工場が軒を連ね、日本の高度経済成長の一翼を担ってきた地域です。東急多摩川線の下丸子駅と武蔵新田駅の周辺には、今も商店街や住宅街に隣接するように町工場が点在し、昔ながらの景色を残しています。そんな街並みの一角に2013年12月、“モノづくりのまちづくり”を行う地域交流拠点『くりらぼ多摩川』が誕生しました。
『くりらぼ多摩川』を考えたのは、「大田クリエイティブタウン研究会」。大田観光協会と首都大学東京、横浜国立大学、東京大学によって構成され、町工場と地域住民とが共存し、新たなまちづくりを提案する活動を進めています。2012年からは、地元の町工場や企業が加盟する「工和会協同組合」の協力を得て、年1回のペースで大田区内の工場を一般公開するイベント「おおたオープンファクトリー」を開催。これまで約40社が参加し、ボランティアの学生たちとワークショップや見学ツアーなどを行ってきました(2015年は11月28日から12月5日に開催予定)。そんな「大田クリエイティブタウン研究会」が、“モノづくりのまちづくり”を行うための“場づくり”を意識しながら、工場長屋内にある旧事務所と旧工場を改修して『くりらぼ多摩川』設立。ちなみにこの名称は“Creative Town Lab. TAMAGAWA”の略だそうです。
早速、取材をするため、武蔵新田駅から徒歩約5分の『くりらぼ多摩川』を訪問。出迎えてくれたのは、大田観光協会の荻荘さんとボランティアスタッフの山本さん。ここでは、親子で楽しめる木工教室をはじめ、大人向けの会員制ワークショップ「くりらぼ倶楽部」などが定期的に開催されています。中でも「町工BAR」は、トークショーを聞きながらお酒が振る舞われる、ユニークなイベント。
「休日にモノづくりをしたいという社会人の方々は結構いて、町工BARはすでに13回を迎えようとしています。普段は町工場の人と住民とが交流する機会もないので、ここを通して互いに理解が深まればと思います」と荻荘さん。
『くりらぼ多摩川』のオープンデイには旧事務所棟にある展示品や、旧工場棟にあるNHKドラマ「梅ちゃん先生」で使われた機械が、気軽に見学できます。
「定員20人くらいの小さなスペースですが、今後もクリエイターと町工場とのコラボなど、いろいろな企画にチャレンジして、“モノづくりのまち”を新たな視点でアピールできればと思っています」
そう語る荻荘さんは、スタッフと共に女性が参加しやすいワークショップをできないかと思案中だそう。例えば、さまざまな金属でフライパンを作り、ホットケーキを焼き比べるとか、工場の廃材を利用してアクセサリーを作るとか……。『くりらぼ多摩川』の今後の活動に要注目です!
更新:2015年7月22日 取材:2015年7月
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