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東急電鉄

地元を食べる 地元で食べる ~地産地消にまつわる人々~

みずみずしい野菜や果物を作り続けている人たちがいて、その恵みを私たちのもとへと届けてくれる人たちがいる――。東急沿線で地産地消に取り組む、さまざまな人たちを紹介します。

VOL.7 仕掛け人 齊藤 良治さん

PROFILE ● さいとうよしはる

カジュアルフレンチ『れすとらん さいとう』のオーナーシェフであり、横浜市を地産地消の街にするための「濱の料理人」プロジェクト副会長。生産者を訪ねるツアーや料理コンテストの開催、小学校での食育授業など多忙な中でも、港北区内はもとより、都筑区や神奈川区、三浦半島の農家まで自ら足を運ぶことを欠かさない。日本伝統のしょう油やみそ、こうじを使ったヘルシーフレンチは、日本人の舌にしっくりくると評判。

菊名駅に程近いカジュアルフレンチ『れすとらん さいとう』のオーナーシェフ・齊藤良治さん。オープン10周年を迎え、今が一番料理を通して自分を表現できていると言います。食の大切さや楽しさを発信し続ける齊藤さんに、地産地消活動の様子や今後の展開についてお話を伺いました。

忘れられない朝採れキュウリの味

サラリーマンから料理人へ。自分の時間や趣味をすべてあきらめチャレンジしました、と齊藤シェフ。
クリームイエローを基調にした、優しい色調の『れすとらん さいとう』。
白菜が主役のランチコースの前菜。「メカジキのフリットと白菜のサラダ仕立て 黄白胡麻油のドレッシングはレモン風味で 白菜のフレッシュ・クリーム煮・ナムル風、白菜ロール2色仕立てアンチョビソース、胡麻を盛り込んで」。白菜は都筑区「あつみ農園」のもの。

――もともと料理人でなかった齊藤さんが、お店を始められたきっかけを教えてください。
僕にはこのお店をオープンするきっかけでもあり、地産地消の取り組みの原点ともいえる、忘れられない野菜との出合いがあるんです。当時は出版社に勤める会社員だったのですが、毎日のハードワークとストレスで体を壊し、味覚がおかしくなってしまったんですね。何を食べてもおいしくないし味も分からない。肝臓のガンマGTPの値にはとんでもない数値が出て…。しばらく治療を続けて良くなったんです。そうしたら、おかしくなっていた味覚が一気に戻ってきました。しかもすごく鋭敏になり、化学調味料や合成甘味料をクスリ臭く感じてしまうほどで…。そんな時です。父親が家庭菜園で作ったキュウリを食べたら、そのおいしさがあまりにも衝撃的だったんです。昔から料理を作るのが好きで、おぼろげにもいつかお店を開きたい、なんて考えていましたが、そのキュウリの味に出合った瞬間に、僕の中でいろんなことが一気につながってしまったんですね。その瞬間に、料理人になろうと。

――サラリーマンから料理人へ。思い切った転身ですね。
すぐに調理の専門学校に通い始めました。でもしばらく経つと僕には実践の方が必要だと感じ、関内のフレンチレストランへ修業に出ました。でも、そこでは初心者はデザートからということで、約1年半ずっとデザート部門。ほかのことを覚えたくてもそうはいかずで。その時すでに36歳。だったら自分でお店をやってしまえと。

――驚く話の連続ですね。お店の地産地消のモットーもキュウリがきっかけですか?
僕の実家は、祖父の代までは菊名で農家をしていました。幼いころの畑の記憶もあります。だから、畑で野菜を作り、それを収穫して食べるというのは自然なこと。僕は野菜に出合って人生が変わりましたし、そんな僕が開くお店だから、使う食材もあの時に出合った朝採れキュウリのような、その土地の自然の恵みが味わえるものを使いたかったんです。

――齊藤さんの料理では、野菜はどんな存在なのでしょう?
野菜は料理の準主役ですね。メインに肉や魚も使いますが、野菜をすりつぶしてソースにしたり付け合わせにしたり、いろいろな形で野菜を入れるようにしています。肉料理に、焼いた肉だけを出すお店もありますが、それでは物足りなくて。

「食」をキーワードに「濱の料理人」プロジェクト

「濱の鉄人」の料理コンテストでは優勝も。
小学校の食育授業で、子どもたちと一緒に大根のババロア作り。大根が別の姿に変わる様子に、興味津々の子どもたち。

――レストラン以外でも地産地消のさまざまな活動をされています。
キュウリとの出合いが原点の僕にとって、地産地消や食育は切り離せないもの。料理人同士など同じジャンルの集まりというものはいろいろあるんですが、地産地消をキーワードにした横のつながりをつくりたいと思い発足したのが、創設メンバーにもなっている「濱の料理人」です。

――「濱の料理人」ではどんな活動をしているのでしょう?
「濱の料理人」は、生産者や栄養士、食品メーカーなど食に携わるいろいろなジャンルの人たちが集まっているのが特徴です。横浜の地産地消を盛り上げるために活動していて、例えば小学校の給食メニューを考える「スーパー給食」という企画では、実際に小学校の調理場で調理スタッフと一緒になって給食を作りましたし、毎年、生産者を訪ねるツアーや料理コンテストなども開催しています。また、「濱の料理人」の活動ではありませんが、小学校の先生をしている知人に依頼され、食育授業も行っています。その時には、話だけではつまらないだろうからと、子どもたちと一緒に料理を作って食べるんです。

――一緒に作って食べて、“食”の大切さを伝えるのですね。
大根でババロアを作った時には、地元の野菜の新鮮な味と、大根がこんなふうになるんだという驚きもあって、本当に喜んでもらうことができました。僕がそうであったように、味の記憶って大切だと思うんですよ。ましてや子どもの時に出合った味であれば、その後の成長にも深くかかわってくるはず。僕の料理で子どもたちが笑顔になるなんて、“食”にかかわる人間としてこんなにうれしいことはないですね。

生産者から料理人へ、料理人からお客様へ、食でつなぐ輪をつくりたい

横浜市から「よこはま地産地消サポート店」に認定されています。
病気から立ち直って出合った、衝撃的なキュウリの味の記憶がすべてのベースにある、と笑う齊藤シェフ。

――野菜は農家の方から直接仕入れているのですか?
ほとんどがそうです。野菜も生き物。農家によって味も違いますし、生き物としてのエネルギーを持っている野菜は、味に勢いがあり鮮度も長持ちします。特に旬の野菜であれば味も濃くて、調理をした時においしさやコクが違います。

――農家の方とのお付き合いは、どのようにして広げているのですか?
もともとお付き合いのある農家の方の紹介や料理人のネットワークでの紹介、野菜の直売所で直接農家の方に声を掛けてお付き合いを広げています。横浜は農業が盛んで農家の数も多く、近くにあるというのもありがたいですね。

――農家の方が、お店に食べに来ることもありますか?
ありますよ。作った野菜をどう調理しているのか、やっぱり皆さん気になるようで。僕の料理では野菜をたくさん使うので、とても喜んでいただいています。農家の方というのは野菜のプロ。皆さん本当に野菜が好きで、そんな方たちに食べていただき喜んでいただけるというのは幸せです。

――料理を作る励みになりますね。
地産地消というのは、“気持ち”の循環だと思うんです。農家が野菜を一生懸命に作った“気持ち”、それを料理人が調理しお客様に楽しんでいただこうと思う“気持ち”、そしてお客様がおいしいと喜ぶ“気持ち”。お客様の“気持ち”を、料理人が農家の方にフィードバックするという地産地消の輪をつくりたいんです。

「食」をいろいろな形で楽しむランドマークへ

休日の農家回り。野菜を見ていると気分がリフレッシュできるという野菜好きの齊藤シェフ。
素材の味をしっかりと感じることができる人気のスープ「カブのポタージュ カレーオイルとクリームとクルトン添え」。カブの甘みの中にカレーの風味がアクセント。

――休日は野菜の仕入れで農家を回るとか。休む暇がありませんね。
僕にとって野菜と出合うことは、気晴らしにもなるんです。おいしい野菜は美しいんですよ。見ているだけで楽しいし、おいしい野菜に合える、そう思うとワクワクしてしまいます。直売所で野菜を選んでいる時には、野菜に「買ってよ」って言われているような気になり、ついつい仕入れ過ぎてしまうこともしばしばで…。

――野菜と会話することで、また新しいアイデアが生まれるんですね。
実は、今年でお店が10周年を迎えるんですが、お店の移転を予定しています。そこでは、新しいことを始めてみようかと考えています。メニューの中で評判のいいスープやデザート、自家製パンなどをご家庭でも楽しんでいただけるように、違った形での提供もする“食”のランドマークのような所にしたいんです。子どもたちにもいろいろな活動を通して“食”の大切さを伝え続けたいし、農家のバックアップにもなればいいし。ゆくゆくは自分で野菜も作ってみたいと思っています。野菜を育てることで野菜に対する理解がもっと深まって、おいしい料理にもつながると思うんです。

――活動のフィールドが、ますます広がりそうですね。どんなお店になるのか楽しみです。
農家とコラボした「生産者ナイト」というのも面白いかも。「今日は○○さんの野菜を使ったスペシャルコースです」とかね。楽しみにしてください。

JA横浜の野菜直売所「メルカート」で、野菜を陳列している時に齊藤さんに声を掛けていただき、お取引することになりました。

お店には一度だけお伺いしたことがありますが、彩りがとてもきれいな料理で、野菜を上手に使っていらっしゃると感じました。お昼だったこともあり、ご近所の奥様たちでいっぱいでしたね。

作っている野菜の味には自信がありますし、鮮度の良い状態でお届けするので、鮮度の良さを生かして調理していただけるとうれしいです。

あつみ農園
渥見 勇さん

有機・無農薬生産を中心とした野菜作りを行うあつみ農園さん。品質へのこだわりは強く、無農薬栽培でも虫のついていないきれいな野菜は、販売店のバイヤーの評価が高く、「いつも安心して買うことができる」とお客様からも評判です。

あつみ農園

仲町台

詳細情報を見る

更新:2015年2月6日 取材:2015年1月

東急沿線 地産地消マップ
特集「地元を食べる 地元で食べる」で紹介してきた東急沿線の地産地消スポットをGoogleマップでチェック! 各ポイントをクリックすると、写真や詳細情報を見ることができます。

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