スマートフォン用ページへ
東急電鉄

「戸越公園」街がたり 齊藤泰之さん

私がこの街を好きな理由【連載第3回】

連載「街がたり―私がこの街を好きな理由―」は、東急沿線の街でまちづくりにつながる活動をしている人たちに、それぞれの街の魅力を語ってもらおうという企画。なぜ皆さんがその街を愛し、その街で活動をしているのか。原動力を探りながら、街そのものの魅力を発信していきます。
第3回は、神社の宮司を務めながら“スネークタウン”としての街おこしに取り組む「上神明天祖神社」齊藤泰之さんによる、大井町線「戸越公園」街がたりです。

齊藤さんが宮司を務める上神明天祖神社は、鎌倉期に創建された由緒ある神社です。

かつて蛇窪村だった地域を“スネークタウン”として街おこし

戸越公園駅周辺のことを知らない方に「どんな街ですか?」と聞かれた場合、
私は3つの特徴をお答えするようにしています。

ひとつは白蛇が祀られている街だということ。
そして江戸時代までは蛇窪村という地名だったこと。
さらに戸越公園駅は昭和10年の大みそかまでは蛇窪駅という名前だったこと。

要するに、このあたりは蛇の街なんです。

上神明天祖神社の境内に、蛇窪大明神を祀った白蛇祠があるんですが、
子どもの頃……これは子どもだったから許されることなんですけれど、
この祠の上に登ったり、そこで寝そべったり、というような
無礼極まりないことをして遊んでいたんです(笑)。

もちろん当時は由来や意味などは全く知りませんでした。
それでも子供心に、ちょっと神秘的なものを感じていたと言いますか。
かくれんぼをしていて隠れるために祠の上で寝そべっていると、
なんともいえない安心感や、それから親しみのようなものを感じたんです。

そんなことをしていた私が、今や、この上神明天祖神社の宮司で、
また白蛇伝説の街、スネークタウンとして街おこしをしている。
不思議なものですね。

本殿の右奥にある「白蛇祠」。荏原七福神の一つ「弁財天」をお祀りしています。 ふつう白蛇は弁天様の“お使い”とされますが、ここでは蛇が主役。
神社の洗い場に住んでいた白蛇が、現在の戸越公園の池に移り住むようになり「もとのすみかに帰してほしい」と願ったため、この祠が建てられたという伝説が残っています。

品川区認定土産にノミネート「すねーく饅頭」

街おこしをやっていく中で、どうしても地域の名物を増やしたいと思ったんです。
そこで思い付いたのが「すねーく饅頭」。通称“へびまん”です。

毎年、4月に白蛇さまのお祭りがありまして。
へびまんは、そのときに配られるおまんじゅうなんです。
戸越公園駅前南口商店街にある「御菓子司 越路」さんが、
昔から作ってくださってるんですが、
これを年間を通して食べられるように商品化したものです。

“巳”という焼印が押してある白色のおまんじゅう。
麦焦がしを使った皮なので、ちょっとモチモチしています。
そして中身は、こしあん。さっぱりしていて香ばしいおまんじゅうですから、
子供さんにも、おやつとして喜んで食べてもらえると思います。
もちろん私も大好きです。

地元のイベントに出現するキャラクター「くぼっち」

白蛇さまの祀られている街、スネークタウン。
そのイメージキャラクター「くぼっち」を紹介します。

鎌倉時代に蛇窪に生息していた蛇の主。
正面から見ると、ちょっと鳥っぽいかもしれませんが、
横を向くと蛇だってわかります。ちゃんと尻尾がありますから(笑)。

ブサイクな顔は、見る人のそのときの気持ちによって、
笑っているようにも怒っているようにも見えるんです。
お祓いの棒“カシコメ”を持ってるんで、見掛けたときにお願いすれば、
この“カシコメ”で頭をお祓いしてくれますよ。

「くぼっち」のおかげで、この地域の文化や歴史を、
短時間で広範囲に伝えることができるようになりました。
運動会などの行事に呼ばれると、子供たちから
「これ何? どうして、こんな姿なの?」と質問されるわけです。
「これはね、くぼっちっていうんだよ。蛇なんだよ。
昔は、このあたりに蛇がいっぱいいてね、だから蛇窪っていう地名だったんだよ」
というような話をすると、すごく興味を持って聞いてくれるんです。

品川区認定土産にノミネートされている「御菓子司 越路」さんの「へびまん」。
戸越公園駅前南口商店街は、別名「ホッとすとりーと」。「越路」さんの店先で文字通りホッと和む「くぼっち」。

蛇が脱皮して成長するように盛り上がるスネークタウン

スネークタウンとして盛り上がるようになったきっかけですか?
平成25年が巳年だったことです。

その当時、白蛇祠がパワースポットとして注目されて、
全国から、たくさんの観光客が集まるようになったんです。
それをきっかけにスネークタウンマップを作ったり、
「しろへびサミット」を開催したりして、
さらに注目していただくようになりました。

そういえば、街おこしが盛り上がるにつれて、
「蛇窪っていう地名や駅名のままだったらよかったのにね」
という声が聞かれたんです。
蛇窪という名前を、ずっと昔に変えられてしまったのに、
それから長い年月が流れて、また復活してくる。
これは、まさに蛇の執念深さではないでしょうか(笑)。

蛇は脱皮しますから再生や復活のイメージとも重なりますよね。
地域の復活ということにつながるわけです。

緩やかに蛇行しているのが特徴の戸越公園駅前南口商店街で。豊町交番の近くに、旧蛇窪駅の由来を記した看板があります。

齊藤 泰之 さん

さいとうやすゆき
上神明天祖神社宮司。5つの町会、6つの商店街による“スネークタウン”の発案者であり、その事務局長も務めている。「街づくりとしては、ようやくこれでスタート地点に立ったに過ぎないと考えております。地域の方々に認知していただき、ある程度のご理解も得られたので、これからは、さらに商店街の各店舗と一致団結して名産品を増やし、もっともっとスネークタウンを盛り上げていきたいです」と、熱い思いを秘めた43歳。
齊藤 泰之さん
「しろへびサミットinしながわ」(2016年9月)では、神職の装束をしろへびTシャツに着替えて大活躍の齊藤さん。

撮影:三浦孝明

更新:2017年1月6日 取材:2016年12月

コメント

  • 本コメントはFacebookソーシャルプラグインを使用しており、これによって生じた損害に対して当社は一切の責任を負いません。
  • コメントを投稿するにはFacebookにログインする必要があります。

おすすめの記事