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東急電鉄

プラたま~遊歩道アイデアウォーク~

2016年1月16日(土)・17日(日)・23日(土)・24日(日)開催 ―イベントレポート―

開催
2016年1月16日(土)・17日(日)・23日(土)・24日(日)
最寄駅
たまプラーザ
場所
美しが丘2丁目を含む3丁目周辺

横浜市青葉区美しが丘の住宅街でアートプロジェクトを展開しているグループ「AOBA+ART」(2008~)。公共空間のクリエイティブな在り方を探り、未来の街づくりの一環となることを目指した『プラたま』なるイベントを企画しました。地域住民に事前にアンケートを取り、遊歩道の問題点やアイデアを集め、それをもとにアーティストたちが“作品”を制作。それらを見ながら街を歩くツアーです。

たまプラーザをお散歩 『プラたま』で遊歩道の未来を考える

「みちの名前プロジェクト」の看板は、この地域の景観の特徴のひとつでもある「擁壁」の間知石(けんちいし)の石積みを模したもの。建築家・山本想太郎さんの作品です。
開発当初(約50年前)の風景を、写真で解説する田園都市建築家の会・桑原茂さん。田んぼばかりだったころの写真や、ユリノキの並木が最初は背丈ほどしかなかった話など、貴重な街の歴史に触れました。
歩くという行為を非日常的な形で表現した「塀(Hey)!WALK」という作品。イーハンスタジオの岸本泰之さんが、作品のコンセプトを体当たりで説明中です!
行きと帰りで色が変わる歩道橋。ちょっとしたアイデアが、歩くことの楽しさを膨らませてくれます。ちなみに、逆からは青と黄色が見えます。田園都市建築家の会の作品です。
積み木のようなカラーブロックを使った、建築家・伊藤嘉朗さんによるミニワークショップで、親しみのわく石畳のパターンについてみんなで考えました。題して「みちのいろ作戦」。

「AOBA+ART」は、アートを美術館の中に閉じ込めたものではなく、街の中に溶け込んだ誰もが気軽に受容できるものにしたいというコンセプトを掲げて活動しています。2013年に「次世代郊外まちづくり」の支援団体となったことがきっかけで、アーティストと地域住民の連携が深まり、これまで、住宅街にインスタレーションを設置してのアート展を行うなど、さまざまな企画を形にしてきました。
今回の『プラたま』は、美術にとどまらず、建築という、より具体的な手法で街にアートを根付かせる、一歩踏み込んだ挑戦です。

美しが丘の街には、開発前の地形をとどめる坂や階段のほか、クルドサック(住宅街で車の方向転換ができるように設けられた袋小路)など、個性的な要素を持つ道がたくさんあります。そこに新しい風を吹き込もうと行われたのが、アイデアウォーク『プラたま』です。

作品を手掛けたのは、AOBA+ARTのイベントではおなじみのアートユニット「イーハンスタジオ」、たまプラーザに事務局を置く「田園都市建築家の会」のメンバーと、建築家の伊藤嘉朗さん、そして同じく建築家の山本想太郎さん。

当日の自由参加、というゆるいツアーにもかかわらず、スタートのたまプラーザ駅前には40人ほどの人が集まりました。これまでAOBA+ARTが企画したイベントの中で一番多い参加者数だったそうです。「AOBA+ARTが、だんだん浸透してきた感じがします!」とスタッフのテンションも上がります。ツアーコンダクターはディレクターの桑原茂さんと実行委員の海老澤彩さん。小旗を手に、一行を率いて出発です。

バス通りを進むと、國學院幼稚園の脇にある通称「百段階段」が、5色のガムテープでかわいらしく大変身していました。大きな道をまっすぐ歩いていると気が付かないような脇の階段ですが、思わず目がくぎ付けになる光景。長い階段も上るのが楽しいと思える工夫です。

住宅街に入ると、“こども通り”と書かれたカーブミラーのような看板がありました。作品タイトルは「みちの名前プロジェクト」。こんな看板があれば、目印の少ない複雑な路地でも、自分がどこにいるかわかりやすそうです。よく見ると、看板の支柱の下には木の枝が積み重なり、なぜかバスケットボールがぽつんと置かれていました。誰が言うともなく「お供えみたいだね」。確かに、お地蔵さんか何かを思わせるようなこの風景。アートが、街の一部になった瞬間かもしれません。

その後も、過去のAOBA+ART作品を含め、いろいろな作品を見ることができました。あるお宅の玄関には、アーティストの谷山恭子さんが手掛けた、緯度経度を表す数字のオーナメントがずっと飾られています。

谷山さんは、美しが丘の人々にインタビューし、「街のはなし」という冊子にまとめています。そこでは、美しい街の写真とともに、さまざまな街の記憶が語られています。このほどその第2号が完成。谷山さんは、「これが蓄積していって、ちょっと変わった“町史”になるといいと思う」と、強いまなざしで語ってくれました。

気が付けば、かなりの距離を歩いていましたが、見どころ満載で大忙しでした。途中、道行く人に話しかけられたり、ご自宅でギャラリーをされている住民の方に温かい紅茶を振る舞っていただいたり、といううれしいサプライズも。最後は駅前へと戻り、今日の感想や自分のアイデアを付箋に書き、用意された美しが丘の白地図に貼って、ツアーは無事終了しました。

印象的なアート作品の数々は、事前アンケートで提示された街の課題の解決策という側面も持っています。カラフルで楽しい階段は、タバコやごみの投げ捨てを防ぐことにつながり、通りの名前を記した看板は、複雑な路地をわかりやすくして、有事の際の通報などにも役立ちます。

これらの作品は『プラたま』期間中のみの設置ですが、やがては多くの住民を巻き込んで、常設的なものになっていく可能性を秘めています。
大邸宅が立ち並ぶことでも知られる「美しが丘」ですが、その真価は街に対する人々の思いにあることを感じるイベントでした。

更新:2016年2月1日 取材:2016年1月16日

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