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高津学・福祉のまちづくり「避難所運営ゲーム」

2017年1月19日(木)開催 -イベントレポート-

大災害が起こったとき、必要不可欠となる避難所。もしその避難所を運営する立場になったとしたら――。どんどん押し寄せる人や、思いがけない出来事にどう対処していくか、ゲーム感覚で学んでみようというイベントが開催されました。高津区の地域らしさ・地域づくりを追求していく取り組み「高津学」の一環として行われたイベントの様子をレポートします。

イベント名 高津学・福祉のまちづくり「避難所運営ゲーム」
開催 2017年1月19日(木)
場所 高津区役所 5階 第1・2会議室
最寄駅

さまざまな状況の人を迎える避難所の運営を、ゲームを通して考える

熊本地震の際の避難所の様子が映し出されました。これから始まるゲームに向け、どう避難所を運営していくか参考になるものでした。
ゲームに使われるカード。黄色い枠取りのものが“まち協スペシャルカード”です。カード1枚が2m×1.5mの大きさを表し、一人が生活する分のスペースとなります。
「やったー! お医者さん来たー」。医師と看護師のご夫婦のカードに歓声が沸きます。早速、保健室に入ってもらいましょう。
学校全体の敷地図。校庭の1マスは5m×5mを表し、ペットを置く場所や、車、テントで生活する人のスペースが、カラーペンでマス目に直接書き込まれていきます。
運営本部からの連絡事項や安否確認情報は掲示板へ。「仮設トイレ組み立て手伝い求む」「○○君を運営本部にて保護」などの情報で埋まっていきます。掲示板は実際の避難所でも、なくてはならない存在。

『避難所運営ゲーム(HUG)』とは、避難所運営を皆で考えるためのひとつのアプローチとして、平成19年に静岡県が開発した防災ゲーム。通称のHUGは、H(避難所)、U(運営)、G(ゲーム)の頭文字を取ったもので、英語の「抱きしめる」という意味から、避難者を優しく受け入れるという気持ちが込められています。名前や年齢、性別、国籍、障害の有無など、避難者の情報が書かれたカードを人に見立てて、体育館などの避難所を模した平面図に配置することにより、避難所の運営を疑似体験できるゲームです。

約50名の参加者が9つのチームに分かれて着席後、事前のルール説明が行われました。避難所のイメージを呼び起こさせるため、阪神淡路大震災、中越地震、熊本地震、それぞれの避難所の様子がスクリーンに映し出されました。それにより、体験を重ねるにつれ、人がひしめきあっているだけの状態から、通路ができ、個々のスペースが確保され、避難所が進化していく様子が把握できました。

チーム内で簡単な自己紹介をした後、いよいよゲームのスタート。読み手がカードを読み上げ、みんなで話し合いながらカードを置く場所を決めます。カードが読まれる順番は、どのチームも同じ。メインとなる体育館の平面図のほか、○年○組、図工室などの教室の用紙や、校庭などが書き込まれた学校全体の敷地図も用意されています。 体育館の端からカードを置いていくチームが多い中、始めに通路を書き込むチームも。

今回のポイントは、高津区オリジナルの“まち協(まちづくり協議会)スペシャルカード”が用意されていること。「福祉のまちづくり」をテーマにしていることで、避難者の情報に「電動車いすを使用している脳性まひの男性」など、通常よりも配慮が必要な人の割合が多くなっています。

「熱がある人は隔離したほうがよいから教室に」「この障害がある人は大勢の人といるとパニックになるから教室に」と、教室の用紙も使われ始めました。黄色い枠の“スペシャルカード”には「発達障害」「統合失調症」「アルコール依存症」など、どんな配慮が必要なのか専門的な知識を要するものも多く、話し合いは白熱していきます。ゲームが進んでいくと「配給物資の保管場所を決めてください」「炊き出し場所を決めてください」など災害対策本部からの連絡や、「トイレが我慢できない」といった避難者からの要望など“イベントカード”も出現。それぞれ的確に処理していきます。

そんななか読み上げられた、1人で避難所に来たという6歳の男の子のカード。「とりあえず受付に」「運営本部に」「迷子は教室に」などチームによって対応はそれぞれながら、後でその子のお母さんのカードが読まれると「お母さんと再会できたよー」とみんなで安堵する一幕も。
最初は1枚のカードに対して時間がかかる場面もありましたが、ゲームが進むにつれスピードが増し、避難所はカードでいっぱいになっていきました。

熱気に包まれながらゲームは終了。まとめの場面で、やはり問題になったのはペットとトイレのこと。また避難所は学校であることが多く、教室を使用することによる授業再開との兼ね合いや、個人情報保護の観点から掲示板への書き込みについてなどの問題点も浮き彫りになりました。「避難所運営に正解はない」「運営側が熱心になればなるほど避難者は“お客さん”となってしまう。何かをしてもらうのを待つのではなく、自分のこととして動いてもらうことが必要」との言葉に、うなずく人も多く見られました。

感想を聞いてみると、「とてもためになった」と満足された方や、「今回は障害を持つ人を、障害の内容で分けたが、他の方法も探ってみる必要がある。町内で知り合いの人がそばにいたら心強く思うだろうし、それには日頃の人と人とのつながりが必要」と、今後の取り組みに向けて意欲的に話す人も。

今回は、特に「災害弱者」と呼ばれる人への配慮に重点が置かれました。「災害弱者」というと、つい人ごとのように思われがちですが、けがをしたとか腰が痛いなど、いつ自分がその立場になるかわかりません。さまざまな状況に置かれた人が、どうしたら過ごしやすくなるかをイメージし、思いやりを持って人とつながっていくこと。それが住みやすいまちにつながり、災害時に大きな力となり得ることが実感できるイベントでした。

更新:2017年2月8日 取材:2017年1月19日

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