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東急電鉄

えきもくワークショップ

2018年6月30日(土)開催 —イベントレポート—

築96年の池上駅、築66年の旗の台駅。長く親しまれてきた東急池上線の二つの木造駅が改修されることになりました。東急電鉄では、木造駅の記憶を次世代につないでいこうと、両駅で使われていた木材(古材)を駅や沿線で再利用する「みんなのえきもくプロジェクト」を開始。その第1弾として、池上駅の古材を使って地域の人と椅子を作る「えきもくワークショップ」が開催されました。

イベント名 えきもくワークショップ
開催 2018年6月30日(土)
場所 池上会館
最寄駅

長く親しまれた木造駅の古材を使った椅子作り

椅子作りに使われた池上駅の古材。96年という長い歳月と想いを感じさせる味わい深い風合いです。
「古材をそのままの形で再利用することで、資源の循環を促したい」と語る「ReBuilding Center JAPAN」代表・東野唯史(あずのただふみ)さん。今回のワークショップについて「地域の想いをくみ取ったすてきな取り組み。応援できてうれしい」と話してくれました。
さあ作業開始。まずは椅子の脚となるパーツを組み合わせ、スクリューくぎでしっかりと留めていきます。誰もが真剣に作業に打ち込んでいました。
ワークショップ後半。ご夫婦で参加されたお二人は、座面板の取り付け作業を進めています。この作業が終われば、完成まではあと少し。
完成した椅子を持って記念写真。さまざまな思い出と共に。

歴史ある池上駅・旗の台駅の改良工事にあたり、地域の人と育んだ木造駅の記憶を残したい——。そんな想いから始まった東急電鉄の「みんなのえきもくプロジェクト」では、長野県諏訪市を拠点に古材を再利用する活動を続ける「ReBuilding Center JAPAN」の協力を得て、駅の古材を活用したさまざまなイベントが計画されています。その第1弾として開催されたのが今回の「えきもくワークショップ」です。

ワークショップの内容は、池上駅の古材で椅子作りをするというもの。参加者は、「ReBuilding Center JAPAN」のメンバーの指導の下、古材の風合いを味わえる“図工室にあるような椅子”を作っていきます。今回のワークショップでは、15組(30名)の参加者を募集したところ、その9倍の135組(270名)もの申し込みがあったそう。また応募に際し「池上線への想い」を書いてもらったところ、イベント担当者が「全員に参加していただきたかった」と語るほど、池上線や駅舎への想いやエピソードがたくさん寄せられたとか。こうしたところからも地域の人たちの池上線に対する想いの強さが伝わってきます。

会場となったのは、池上本門寺近くにある池上会館。関係者のあいさつの後、指導役の“どんどんさん”こと千葉夏生さんから作業の説明を聞いたら、いよいよ作業開始です。椅子作りの工程は大きく四つ。まずは椅子の脚となるパーツを二つ作成。次に二つの脚を横棒でつないで椅子の土台を作ります。最後に、座面用の板、側面の板を打ち付けたら出来上がり。

椅子作りに使う古材は、あらかじめ長さが切りそろえられ、くぎを打ち込む穴も開けられていましたが、参加者は慣れない作業に四苦八苦。斜めにくぎを打ち込んでしまったり、組み合わせる板を間違えてしまったり、くぎを打った板が割れてしまったり。そんな苦労をしながらも、会場には楽しそうな笑い声が絶えません。

参加者に話を聞いて回ると、旗の台の街で育った幼なじみの男女二人は、「地元でこんなすてきなイベントがあると知り、ぜひ参加したいと思った」。池上駅が最寄り駅だという女性は、「引っ越して来てから妊娠して生まれた子どもが今年で10歳になりました。10年分の思い出のひとつに、今回の椅子作りが加わればうれしい」と、街への想いを話してくれました。また親子で参加した男性は、「鉄道好きの息子は池上駅を眺めるのが大好きでした。そんな思い出のある駅の古材を普段の生活に取り入れられるのなら、ぜひ参加しようと思った」と参加理由を笑顔でコメント。こうした参加者の声や作業の様子から、慣れ親しんだ木造駅を惜しみつつも、思い出を楽しく残そうとする前向きな姿勢が伝わってきました。

作業が後半にさしかかると、参加者と「ReBuilding Center JAPAN」メンバー、運営スタッフのやり取りが活発になり、協力して作業する姿が会場のあちこちで見られるように。また、以前池上駅で勤務していた味澤さんが会場に現れ、お子さんが生まれた時から親交があったという参加者の女性が、目に涙を浮かべながら久々の再会を喜ぶという一コマもありました。

最後の工程である側板の打ち付けを終えた参加者から、「できたー」という声が次々と。作業開始から3時間弱、ようやく地域の人たちの手による椅子作りが終了しました。苦労の末に出来上がった椅子に座り、思い思いに記念撮影をする参加者の皆さん。「この椅子を見るたびに今日の体験と旧池上駅のことを思い出しますね」「お金を出しても買えない記念の品ですから、長く大事に使っていきたいです」など、多くの人がうれしそうに話してくれました。

「みんなのえきもくプロジェクト」を担当する東急電鉄の三本杉さんによると、今後は沿線の事業者や店舗にも、駅の古材を活用してもらえるイベントを実施していきたいとのこと。街のあちこちで、池上駅や旗の台駅で使われた古材が再利用されている光景に出会えることになるかもしれません。地域の人たちと池上線の距離の近さをあらためて実感できた、地元愛にあふれたイベントでした。

文と写真:庄司健一

更新:2018年7月23日 取材:2018年6月30日

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