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東急沿線イベント体験レポート 二子玉川 Wikipediaタウン & OpenStreetMap マッピング 2014年2月22日(土) at 二子玉川カタリストBA

身近な街をウィキペディアタウンに!

「ウィキペディア」といえば、インターネットを利用する人なら誰もが知っているインターネット上の「百科辞典」。アカウント登録さえすれば、誰にでも編集できるのが大きな特徴です。

この「ウィキペディア」に、街の歴史的建造物など地域資産を登録し、さまざまな形で利用しやすいようにアーカイブしていこうという取り組みが始まっています。この「ウィキペディアタウン」という試みの出発地点はイギリス・ウェールズ州のモンマスという小さな町。日本では、横浜、二子玉川、京都へと、その活動が広がりつつあります。

インターナショナル・オープンデータ・デイ 2014」として、世界各地でオープンデータに関するイベントが行われた2月22日。二子玉川でも地域情報のオープンデータを作ろうと『第二回 二子玉川Wikipediaタウン & OpenStreetMapマッピング(主催:クリエイティブ・シティ・コンソーシアム)が、二子玉川ライズ内の共創スペース・カタリストBAにて行われました。

“記事”と“マップ”をセットにして、ひとつの情報に

前回の成果やこの日のスケジュールについて説明をする、オーガナイザーの高橋さん。
会場には、協力団体により文献などの参考資料が並べられていました。

「前回、地元のナレッジを持っている方のご支援を頂き、濃い情報がぎゅと詰まった情報アーカイブが1日で出来上がりました。今日は横浜と京都でも同時開催されています。ここ二子玉川でも頑張りましょう!」

イベントのオーガナイザー、高橋陽一さんの話から会はスタート。『二子玉川Wikipediaタウン & OpenStreetMapマッピング』では、第一回に続き、ウィキぺディアだけでなく、地図版ウィキペディア「オープンストリートマップ」も一緒に登録していきます。

前回のイベントで登録した「砧下浄水所」「駒沢給水所」に続いて、今回は九品仏の「奥沢城址」と二子玉川の「旧小坂家住宅」を登録していきます。いずれも世田谷の地域風景資産として認定を受けているという共通項があります。

ワーキングに先駆けて、今回の対象資産にまつわる2つの講演を聞き、「奥沢城址」と「旧小坂家住宅」のチームに分かれて現地調査へ。再びカタリストBAに戻って記事執筆とマッピング作業を行う、というのがこの日のおおまかなスケジュールです。

“焼き芋”も世田谷区の考える“風景”のひとつ

“風景”についての認識を新たにした佐久間さんのお話に、参加者は興味津々。
国分寺崖線の別邸建築について語る高橋さん。「身近な土地のことでも知らないことがたくさんあった」と参加者。

まず最初は、世田谷区都市整備部都市デザイン課の佐久間さんによる「世田谷の地域風景資産について」の講演です。世田谷の地域風景資産とは、視覚的なもののみならず、ボロ市や初詣、焼き芋など、その土地の歴史文化や習慣、伝承も含めた総体的なものであるということ。そして、住民、事業者、行政が、それぞれ、または協働して、風景づくりの取り組みが行われているということについて、実例を交えてご紹介いただきました。

続いては、一般財団法人世田谷トラストまちづくりの高橋さんによる「世田谷の近代建築について」の講演。国分寺から世田谷を通り大田区につながる「国分寺崖線」沿いに、小坂邸(旧小坂家住宅)をはじめとした別邸が多く存在した背景について、立地的、歴史的視点からの興味深いお話を伺いました。

お二人の話で、この日の対象資産に関連する大枠の理解を深めたところで、現地調査に出発。各人の希望に応じてチームに分かれ、「奥沢城址」チームは「土とみどりを守る会」の赤松さん、「旧小坂家住宅」チームは世田谷トラストまちづくりの高橋さんのサポートのもと調査開始です。レポートスタッフは「旧小坂家住宅」チームに同行することにしました。

国分寺崖線沿いにただひとつ残った、貴重な近代別邸建築

縮尺の異なる2種類計3枚の白地図を受け取り準備万端!
棟札の表書きには「昭和12年に上棟した」と記載が。
洋間ながら、正面奥の金色の壁は仏像が置かれていた場所とのこと。

近代別邸建築「旧小坂家住宅」は二子玉川駅から徒歩で約20分。国分寺崖線沿いに建てられた小坂順造氏(信濃毎日新聞社長、衆議院議員)の別邸で、現在は世田谷トラストまちづくりによって管理されています。

駅からの道中、砧線の跡地など二子玉川のかつての姿を高橋さんに解説していただきながら、現地へ向かいます。英国人建築家コンドルが手がけた岩崎家の霊廟がある「静嘉堂文庫美術館」の庭園を散策したあと、「旧小坂家住宅」に到着。

入り口で、OpenStreetMapFoundationJapan(OSMFJ)の飯田さんより、施設周辺の白地図が配布され、記事になりそうなもの、目印となるものを、各自書き込んでいくようにとのレクチャーを受けます。この地図が、あとでマップの登録を行う際の大切なデータのひとつとなるわけです。敷地内に入った参加者の皆さんは早速、家の位置や周辺の樹木を書き込んでいきます。

昭和13年に建てられた「旧小坂家住宅」は、玄関が古民家風の和風住宅でありながら、内部は和と洋が融合した特徴ある建築物です。内部には、非常に凝った作りの照明や、使用人を呼ぶための装置など、興味の尽きない意匠がそこかしこに施され、見応え十分。

皆さん口々に感心しながら、写真を撮ったり、解説をメモしたり、高橋さんに質問をしたりと、あとで記事にする際の素材集めに熱心に取り組んでいました。

四苦八苦しつつも、楽しく作業を進めた先には……

建物や道がどんどん表示されていきます。
マップを登録する人、文献をチェックする人、皆さんの集中ぶりがスゴイ。
タブレットで写真をアップ!

カタリストBAに戻って、「奥沢城址」チームと合流。作業に取り掛かる前に、エキスパートの方々から、登録にあたってのレクチャーがありました。

まずは、東京ウィキメディアン会の赤虹さんから、丸写しはせず自分の言葉で執筆すること、文献を示すことなど、ウィキペディアへの投稿方法を教わります。続いてOSMFJの木田さんより、オープンストリートマップの意義、マッピングの進め方について説明を受けました。マッピングにあたっては、ほかの地図を参照せずに行うということが大切なポイントとのこと。白地図記入やGPS機能を備えた機器で収集してきたデータのみで作業を進めます。

各チーム、マッピングをする人、ウィキペディアに掲載する記事を入力する人、PCの傍らで入力する内容をまとめていく人、画像を登録する人……と役割分担ができていき、初対面の人同士もペアになり、和やかに作業が進んでいました。

ウィキペディアの記事登録は、まずは自分たちの取ったメモをもとに執筆し、その後記載内容について文献をあたり、記事内に文献名とページを記入という手順で進んでいきます。文献で裏付けのとれなかった記述は、残念ながら削除。あまりの厳格さに感心するやら、ため息をつくやらの参加者の皆さん。その後、緯度経度情報を入れ、掲載画像を取り込み完成させていきます。

一方、オープンストリートマップの登録の方は、編集画面を開き、現地で書き入れてきた白地図をもとに、目印や建物などの形、場所を示すタグ、名前などを登録していき、さらにGPSツールで記録してきたデータも取り込んで“道”を入れていきます。

こうして登録したウィキペディアの記事とオープンストリートマップを相互リンクさせることで完成です。ようやく完成したこの時点で、すでにオープニングから5時間弱。参加者の皆さんから、全速力で走りきった後のようなすがすがしい疲労感とホッとした空気が感じられました。

和気あいあいと成果を振り返るひとときも

登録したばかりのウィキペディア「旧小坂家住宅」のページが、スクリーンに映されました。
前回手がけた「駒沢給水所構内」が3Dデータに!
参加者全員で記念撮影。「数日前に知って飛び込んだイベントでしたが大満足」との声も。

最後にそれぞれのチームの成果を共有。ビール片手にエキスパートのお二人から講評を伺い、懇親会へと緩やかに移行し閉会となりました。

完成したページはこちら

【奥沢城址】
ウィキペディア
オープンストリートマップ

【旧小坂家住宅】
ウィキペディア
オープンストリートマップ

参加者からは「地元在住ですが、奥沢城の存在は知りませんでした。地元の情報が若い人たちの技術によって、魅力的なまちづくりにつながっていくのはすばらしい」「オープンデータに興味があって参加しました。作成したデータを閲覧するだけでなく、活用してもらったときに、何がフィードバックされるのかが楽しみ」など、充実感にあふれた感想が聞かれました。

「地域の保存会など知識をお持ちの方、住民の方、そしてウィキメディアン会やOSMFJといったエキスパートの方の力を合わせて、どんどん地域情報をアーカイブ化していけるとよい」「古い写真など、分散し、喪失してしまいがちな貴重なデータを、オープンデータとして残していくことも重要なポイント」と主催の高橋さん。

これまで閲覧するものだった地域情報が、ウィキペディアとオープンストリートマップの登録に携わったことで、グッと身近に感じることができ、そしてオープンデータとしてアーカイブしていくことから広がる可能性に楽しさを感じたこのイベント。参加者それぞれに充実したものを残したようです。

更新:2014年3月13日 取材:2014年2月22日

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