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東急電鉄

東急沿線イベント体験レポート 中延EXPO  2014/10/11(土)~13(月・祝) at  品川区中延・戸越エリア一帯 中延 / 荏原中延

手づくりした竹の楽器を打ち鳴らし、にぎやかな商店街をパレード!

街の音プロジェクト in 中延‐竹の楽器 de アンサンブル‐

なかのぶスキップロードにこだまする竹楽器の音。商店街を覆っているアーケードによる効果なのか、その音(力強さと優しさがブレンドされた祝祭的なリズム!)に独特のエコーがかかり、なんとも心地よく感じられます。

10月11日(土)。午後5時過ぎ。「街の音プロジェクト in 中延‐竹の楽器 de アンサンブル‐」というライブ・パフォーマンス。自作した竹の打楽器を演奏しながらパレードする老若男女入り交じった即席の楽団と、その音色に吸い寄せられるようにして集まってくる買い物客を眺めながら、これはまさしくキャッチコピーどおり“アートと暮らしが交わる3日間”であり“マチの文化祭”であると、しみじみ実感させられました。

この瞬間こそが今年で2回目の開催となった『中延EXPO』の、その初日のクライマックスだったと言っていいかもしれません。

クリエイターたちの拠点「インストールの途中だビル」。ダンサーとミュージシャンがあちこち移動しながらライブセッションを行う「LAND FES」など、ここでもさまざまなイベントが開かれました。

ちょっと時間を巻き戻して同じ日の午後1時。我々とくらく取材班は東急大井町線の中延駅で下車。品川区中延・戸越エリア一帯で3日間にわたって開催される『中延EXPO』の初日を取材するためです。まずは総合案内所も兼ねている「インストールの途中だビル」を目指します。そこでプログラム一覧、タイムスケジュール、会場マップなどが記された情報誌「中延EXPRESS」を入手して、いざ取材スタート!

といっても特定のルートがあるわけではありません。この『中延EXPO』はアートプログラムやワークショップ、ライブ演奏、演劇などが街のあちらこちらで開催されるお祭りなのです(その数は合計80以上!)。したがって絶対に立ち寄らなければならないポイントはありません。正しい順路のようなものもありません。参加者は自由に楽しめばよいのです(おそらく自分が参加していることに気付かないまま楽しんでいる人もいることでしょう)。そのようなイベントですから、これからここにレポートするのは、ある角度から見た『中延EXPO』のひとつの側面に過ぎません。言い換えれば、この3日のあいだに中延・戸越エリアに足を運んだ人の数だけ、それぞれの『中延EXPO』が存在するのです。同じ時間に異なる場所で進行するプログラムやワークショップなんかもあるため、いずれにしても『中延EXPO』の全てをひとりで体験することは不可能です。ということをはじめにお断りしておきますね。

アート&手創り市 EXPOマーケット
迷子のエイリアン アリアンヌ・デュテール

そんなわけで「中延EXPRESS」誌を手にしながら最初に向かったのは、なかのぶスキップロードにある、とある空き店舗。そこで「アート&手創り市 EXPOマーケット」が開かれているからです。使い勝手がよさそうなガマぐち。ボールのようにまん丸のぬいぐるみ。耐水性の紙を使ったコインケースや名刺入れ。ケルトのジュエリー。お店の人の話を聞きながら(セールス・トークではなく、それぞれの商品=作品について情熱的に語ってくださいました)物色していると、いきなり視界に謎の物体が!? カラフルで、ふわふわした、この妙な生物はいったい……?

なんと、これも『中延EXPO』のパフォーマンスのひとつ。「迷子のエイリアン アリアンヌ・デュテール」です。本人が無口なので詳細はわかりませんが、どうやら地球のことを勉強中らしいです。どことなく不安げに(といっても写真を見ていただけばわかるように表情が読み取れるわけではないのですけど)うろうろしているアリアンヌさん。その様子には、とぼけたような味わいがあって、だんだんかわいらしく見えてきました。道行く人々のリクエストに応えて一緒に写真に収まったりもしています。案外いいやつなのかもしれません。

謎の宇宙人がひとり紛れ込むだけで、いつもの商店街の日常的な風景が一瞬にしてアートな空間に変わってしまう。面白いなあ。

カマンベールハムカツ(左上)/美味しいドリップコーヒーの入れ方講座(右上)/コロコロスタンプで街をえがこう!&いずちゃんのバルーン教室(下)
竹の打楽器を作製するワークショップ。みんなで苦労して作った楽器の音が、やがて中延の町に高らかに鳴り響くわけですね。

「肉の伊吾田」の店先の“中延EXPOで食べたいおすすめフード! カマンベールハムカツ 中延商店街の自慢の味だよ!”という張り紙にひかれて、ついつい買い食いをしてしまったり。ワークショップ「美味しいドリップコーヒーの入れ方講座」に参加して、なんとなくカフェ店員になったような気分を味わったり。親子ワークショップ「いずちゃんのバルーン教室」を見学して、ほっこり温かい気持ちになったり。

そうこうしているうちに2時を過ぎたので、中延会館の3階へ向かいます。そこで開かれている「街の音プロジェクト」による親子ワークショップ「楽器づくり&音楽づくり」を見ておきたかったからです。これは冒頭に記したライブ・パフォーマンス「街の音プロジェクト in 中延‐竹の楽器 de アンサンブル‐」の準備段階とも言えるもので、このワークショップで作った竹の楽器を演奏しながら後ほどパレードを繰り広げる予定になっています。

「街の音プロジェクト」というのは、その名前のとおりイベントが開催されるそれぞれの街に関係のある音を生みだし、それによって音楽を奏でる、というパフォーマンスをする集団。進行の宇山朋秀さんによると「中延という街は、かつては竹やぶだったんです。竹の子の名産地でもあったようです。ですから竹で楽器を作って、みんなでパレードしましょう!」とのこと(なるほど! だから竹なんですね!)。

インドネシアのスラウェシ島のココロアトム。アステカ人が儀式に使ったというテポナストリ。フィリピンのカリンガ族に伝わるバリンビン。などなど見たことも聞いたこともない竹の打楽器を、みんなで作製。世代間のコミュニケーションもバッチリで(慣れないノコギリを使う小さな子どもたちを大人がしっかりサポート)、とてもよい雰囲気。見ているだけで物作りの楽しさが伝わってきます。しかも数時間後には、これらの自作した楽器を演奏しながら商店街を練り歩くわけですからね。なんだかワクワクしてきます。

しかし楽器の完成を見届けることなく我々とくらくチームは「インストールの途中だビル」へと移動。3時から始まる「クリエイターの拠点に潜入! アトリエツアー」に参加するためです(魅力的な催しがたくさんあるため、あれもこれも状態になっちゃって大変です……)。

美術家・椿愛菜さんのアトリエで説明する、イベント発起人の今村ひろゆきさん。
芸術集団・ウータビジョンカンパニー(写真左)/キャンドル作家・nicori(写真右)

その「アトリエツアー」なのですが。これまた非常に貴重な経験をさせてもらっちゃいました!

ご存知ない方のために簡単に説明しますと、この「インストールの途中だビル」というのは、いわゆるクリエイターやアーティストが普段から共同アトリエのように使っている場所なんです。その数は、なんと29組! しかもビルを企画・運営している「まちづくり会社ドラマチック」の今村ひろゆきさんは『中延EXPO』の発起人でもあります。その今村さん自らが「インストールの途中だビル」を案内してくれるのですから、そりゃあ面白くないはずがありませんよね。

漫画家。映画監督。ファッション・デザイナー。演劇団体。現代美術家。キャンドル・アーティスト。金属彫刻家。靴職人。ジュエリー・デザイナー。建築家。とても全ては書ききれませんが、とにかく多彩なジャンルのクリエイターたちが集結している「インストールの途中だビル」。それぞれのクリエイターさんの作業現場を見せてもらえるのが「アトリエツアー」です。自身の作品の解説をしてくれる方、作業の工程を説明してくれる方などもいて、ものすごく刺激的。皆さんそれぞれに自分の作品に誇りを持っていて、それがポジティブなエネルギーとなってビル全体に充満。それに感化されたのか「アトリエツアー」が終わる頃には、こちらまでパワーみなぎる気分になっていました。日々の生活とアートが密着しているのって本当にすてきなことなんですね。

楽器の種類ごとに、それぞれリズムを構築。しばらくして全員で合わせてみると…おお! 手作り竹楽器のオーケストラ!
「街の音プロジェクト in 中延‐竹の楽器 de アンサンブル‐」のパレードによって、お祭り感がぐ~んとアップ!

午後4時過ぎ。再び、なかのぶ会館の3階にお邪魔すると、すっかり竹楽器は完成し、みんなで演奏の練習をしているではありませんか。リズムを組み立て、その指揮をとっているのは、あの“あまちゃんスペシャルビッグバンド”にもパーカッショニストとして参加している小林武文さん。彼を中心に老若男女が親密なアンサンブルを生み出しています。とても即席の楽団だとは思えないほどの一体感。さあ、いよいよパレード本番です!

買い物客で賑わう夕方の商店街。そこを一列になって、ゆっくり進む一団。それぞれが竹の楽器を打ち鳴らし、そのいくつもの音の組み合わせによって不思議な高揚感が生まれ、それに導かれるように人々が集まってきます(最初は遠くから訝しげに眺めていた人たちも、いつしか表情をゆるめ、だんだん近づいてきます!)。買い物客だけでなく、そこに並ぶ各店舗で働いている人も店先から顔を出してパレードを見学。楽団の演奏を中心に街がぎゅっとひとつにまとまっていくような、そんな幸福な感覚があたりに満ちています。

そう、まさに今、目の前で“アート”と“暮らし”が交わっているのです。さらに言えば、その音は過去とも共鳴しています(なにしろこの場所は、かつて竹やぶだったのですから!)。未来に向かって鳴り響いてもいます(将来的には中延がアートに溢れた街になったらいいな、という発起人・今村ひろゆきさんの想い!)。

今年で2回目を迎えた『中延EXPO』。体験したかったのに時間の都合で諦めたことも、そして実際には体験したのに文字数の都合で書けなかったことも、まだまだたくさんあります。だから最後にひとつだけ告白しておきましょう。中延・戸越エリアで暮らしている人がちょっぴりうらやましくなってしまった、ということを。

中延EXPO見どころマップ

中延EXPOの見どころをGoogleマップでご紹介。アイコンをクリックすると各スポットの写真を見ることができます。


更新:2014年11月11日 取材:2014年10月11日

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