多摩川子どもシンポジウム in 世田谷(2015)



自然は偉大な先生だ! 水辺に親しむ子どもたちの学習発表会
「川の中に秘密基地を作りたい」
「もっと川をきれいにして流しそうめんをしたい」
――魚型や花びら型の付箋紙に自由に書き出し、多摩川をイメージした模造紙に貼っていく子どもたち。「NPO法人せたがや水辺デザインネットワーク」が主催した『多摩川子どもシンポジウム in 世田谷』には、幼稚園児から高校生までの約60人が参加し、日頃の活動についての発表やアイデア出しを通じて、これからの多摩川の利用について考えました。
都立世田谷総合高校の男子生徒2人が進行を務め、まずは二子玉川小学校の2年生と、“エノキン”ことフィールドアドバイザーの榎本正邦さんによる、「兵庫島と谷川緑道での巣箱設置について」の発表からスタートです。「巣箱を新しく設置するだけじゃなく、それをずっと維持管理していくことが重要で意義がある」とエノキンさん。多摩川も、昭和40年代には生活排水が流れ込み、水面は泡だらけで汚れきっていましたが、下水道施設の整備による生活排水の減少などによって、環境改善が行われた結果、今ではアユが飛び跳ね子どもたちが潜れるほどきれいな姿に戻ったのです。また、水質がきれいになった多摩川の環境を守っていこうという機運が流域に広がり、環境をみんなで考えながら、継続的に保全していこうという活動も盛んになりました。続けることの大切さ、“美しい自然を次世代に残したい”という強い思いが伝わる印象的な言葉でした。
砧南小学校の「探鳥会後の研究発表」では、鳥の鳴き声をまねるなど、体を使って伝えようとする子どもたちの姿に、会場の大人たちにも思わず笑みがこぼれます。喜多見児童館の子どもたちは、かつての“渡し舟”を再現。25人の子どもたちの夢をのせた「夢叶丸(ゆめまる)」は、多摩川の両岸、世田谷と川崎の交流の橋渡しという役割も果たしました。多摩川は今も昔も、行政の境界線だけでなくお隣同士の交流の場だということを子どもたちに教えてもらいました。
今年で活動16年目を迎える「砧・多摩川あそび村(きぬたまあそび村)」は、学区・学年を超えた子どもたちが集まり、日頃“やってはいけない”といわれる遊びを思いっきり楽しむことができる魅力的な場所です。火のおこし方や木の登り方を教わったり、穴をひたすら掘ったり。遊び以外にもライフジャケットの装着方法も学び、原始的だけど大切な「生きるチカラ」を実践で身につけられる、たくましい活動です。
シンポジウムの後半、「多摩川子どもフューチャーセッション」では、発表グループごとに“たまがわでやりたいこと”を魚型や花びら型のメモ用紙に自由に書き出し、多摩川をイメージした模造紙に貼っていきました。「多摩川に子どもの島を作る」「キャンプをしたい」「川の中に秘密基地を作りたい」と想像力豊かな発想があふれてきます。この子どもたちの夢を実現するために、私たち大人ができることは何だろう。大きな宿題をくれたシンポジウムは、発表者の集合写真撮影で閉会となりました。「アイラブたまがわー!!」の掛け声でパチリ。子どもたちにたくさんのことを教えてくれる自然をいつまでも守っていきたい、守るべきだと強く思わせてくれた有意義な3時間半でした。
文:篠宮悠子(Loco共感編集部)
【プログラム】発表者一覧
・「探鳥会・巣箱の設置」世田谷区立二子玉川小学校総合学習
・「水辺での総合学習と探鳥会後の研究発表」砧南小学校3年生
・「セタフェッショナル・水辺の流儀」
東京都立世田谷総合高校奉仕の授業
・「第17回アドベンチャー in多摩川いかだ下り」教育委員会 小林昭一
・「宇奈根の渡し」喜多見児童館
・「川遊びと自由研究」世田谷区立玉川小学校
・「狛江水辺の楽校の活動」狛江水辺の楽校
・「とどろき水辺の楽校の活動」とどろき水辺の楽校
・「せたがや水辺の楽校とボク」せたがや水辺の楽校
・「ビオトープ・みんなのみなみ池」砧南グリーンズ
・「せたがや水辺の楽校はらっぱと多摩川での川あそび」
砧・多摩川あそび村
更新:2015年3月31日 取材:2015年3月8日
コメント
- ※本コメントはFacebookソーシャルプラグインを使用しており、これによって生じた損害に対して当社は一切の責任を負いません。
- ※コメントを投稿するにはFacebookにログインする必要があります。